第8話

おはようございます。

 今日は寝坊平気だったね!


 よかったよかった、毎日寝坊しそうだったら大変だもん。

 それに今日は午前授業だから帰ってすぐにゲーム出来るんだよねー。


「おい!来たぞ!!」


 …………誰だよ。ほんと誰だよ。来て欲しくねぇよ。


「寝起きだ帰れ」


「…私だ」


「え、あ…おおねぇなんの用事で?」


「妹の家に用事が無ければ来ちゃ行けないのか」


「そういうわけじゃないけれど」


「じゃあなんでもいいだろ。飯持ってきたぞ」


「それはありがたい」


 私、ご飯、つくれない。


 気付いたら全部燃え尽きてる。なんでだよなにもしてねぇよ。

 とりあえず食べ物は火を通せばいいと母に教わったが。

 それじゃ駄目だとお姉に怒られた。ぴえん。


 ありがたーくお姉から朝ごはんを受け取る。

 お、サンドイッチじゃん。


「いただきまーす」


 ─────うむ。美味い。

 チーズとハムは王道の組み合わせ。誰がなんと言おうと私が許さん!


 あっさりとサンドイッチは私のお腹に入ったところで、お姉が話を切り出す。


「父さんと母さんから毎日送れって言われたからよろしくな」


 …ん?


「すみません、よくわかりません」


「私が璃瑠を学校まで毎日送ることになった。両親は心配症だからな」


「へー、じゃあ起こしてね」


「任せろ」


 お姉は早起きだからね!起こしてもらうよう頼んでおけば安心!


 …………お姉まで寝坊したらどうにもならないけど。

 そんときはそんとき、かな?


「というわけで、支度してこい」


 はーい。


 顔を洗って、歯磨きして、制服に着替えて…………案外支度すること少ないな?


 いや、それはいいことなんだけどさ…今までもそうだったんだけど改めて少ないなって思ってさ…

 ということで、支度が終わったのでお姉の元に戻ります!


「行くぞ」


「まだ40分前なんですが」


「10分前登校は当たり前だろう。話したいことがあるから30分なんてすぐだ。拒否はさせない」


 この強情な姉め。

 走ればそんなに急がなくても30分ぐらいは余るというのに……。

 恨みがましい視線を向けておく。


 だがそんな視線に気付いた姉は私を引っ張りだしやがった。

 許さん。マジで許さん。


 そして無常にも閉じられた玄関の扉。

 あれ?お姉って合鍵持ってたっけ?


「表情に出ている…合鍵はお前に貰ったぞ。覚えてないのか?」


「覚えてないけど。ってか生徒会長と学校行ったら噂されるんだけどー!」


「今更だろう」


 今更ぁ!?ということはもしかして既に噂されてんの!?ふざけんな!なんですけどー!!


「私が昨日話しかけただろ…そんなことはどうでもいい、私が話したかったのはストファンのことだ」


 お!?マジか!

 お姉はなにを話してくれるんだろう!私は話すこといっぱいあるけどね!特にいあいあちゃんのこととか!


「まずは私のことからか…?最初に話すべきは種族か…ランダムを引いてみたんだ」


「おん」


「なんだその中途半端な返事は。レア種族を引けたぞ!」


「選んだの?」


「選んだが癖が強い種族でな…天使だ」


 天使。天使。てんし…

 その言葉は私の脳内を反芻し、理解するまでに時間がかかった。

 ───ようやく理解した私は口を開く。


「うっそだろお前」


 その言葉は、今の私の心の内を表していたのだろうか。

 私にはさっぱりわからない。


「話を続けるぞ。次にステータスの項目が増えてるとは思ってなくてな…HP、MP、攻撃力、防御力、素早さに均等に20だ」


「それで」


「天使って本来は魔法中心なんだよ。これが示すことが分かるか?そう、今のところは撲殺天使だ」


 ……………はぇ?ぼくさつてんし?

 わたし、よくわからない。むずかしいのわからない。


「うっそだろwwwwぼくさつwwwぼくさつてんしwwwやっべぇw腹よじれるwww」


「そんなに笑うな!そのせいでストーリークエストでも『撲殺天使か…』って言われたんだからな!!」


 wwww嘘だろw公認かよw

 お姉が魔法攻撃力とか知らなくてよかった…知ってたらこんなに面白いものは見れなかったかもしれないからねw!


「〜〜〜っ!そういうお前はどうなんだ!」


「私もレア種族引いたよ。吸血鬼」


「吸血鬼…マジか…そういうのあったんだな…」


「で、ステータスは魔法中心。お姉みたいなミスはしなかったよ」


「うるせぇ」


「で、眷属が出来た。ナビゲーションAIのいあいあちゃん」


「…………いあいあちゃんは私のキャラクタークリエイトも担当してくれたから知っている。だがなぜ眷属に…?」


 それは私も知りたいよー。

 運命を感じたって言っていたけど…AIは本来運命を感じな…………そこで私は、ストファンのコンセプトを思い出した。


『キャラクター1人1人にストーリーがある』


 ……それは、ナビゲーションAIにも適用されるのかな。

 だとしたら、いあいあちゃんには吸血鬼に関わる背景がある…?

 たとえば、吸血鬼の眷属になる為に生み出された存在、とか…


 ────こればかしは考えたって無駄だ。

 ちょうど学校にも着いたし、お姉に別れを告げてクラスを確認してこなきゃね。


 まぁ、どんなクラスだろうが友達本と過ごすんだけどね。


 本はいいぞ。みんなも友達がいないーってなったら友達と一緒にいるのをおすすめする。

 …………さて、クラスはっと…1-1ね、おk。


 友達はいるのかって?それ聞いちゃうの?

 ─────いないよ!なんか悪いか!

 この高校にはなぁ!お姉しか知り合いがいないんだよ!銀髪赤目なんてな!浮く存在なんだよ!


 存在感はあるけどね!

 そんな心の内を悟られないように私はクラスに向かう。


 いいもん。お姉がいるもん。お姉だって生徒会長は怖いって恐れられてるんだからぼっちだもん。


 私が教室に入ると、元々ざわざわしていた教室がさらにざわざわする。

 多分私の噂でもしているのだろう。こういう反応は慣れっこだ。


 しばらく友達と過ごしていると先生と思わしき人物が入っていた。


「はいはい、みんな静かに!えーっと、まずは先生の自己紹介からか?ふむ…私の名前は翡翠碧ひすいみどり。よろしく」


『よろしくお願いします!』


「早速授業してくぞー、まずは数学からやっ────」


 ◇◆◇

 学校終わりぃ!

 よし、さっさと家に帰ろう。

 帰りまで送るとは姉に言われてない。

 ダッシュダッシュダッシュ!!!


 ────ぜーはーぜーはー。

 ようやく家に着いた……距離は長いぜ…


 さて。水を飲んでっと。

 ストファンにいざログインっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

─ストーリー・オブ・ファンタジア・オンライン─銀髪赤目の高校生がはじめるVRMMOゲーム〜彼女はゲーム内で色々なストーリーを見たいようです〜 星光らる @neinraru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ