第44話 電話相談
俺は自室でダラダラと自分のベットでゴロゴロしていた。
「ふぁ〜」
時刻は午後9時…つまり、21時。
カラスも、もう巣へと帰る時間…いやもはや帰っている時間だ。
少し眠たくなる時間帯だ。
特にこれといってやることもやるべきこともない。
スマホでも脳死で触ろうか…
と思っているとスマホが鳴った。
「うわっと…」
突然画面が通話画面に変ったので驚いてしまった。
なんか俺…星北の時もそうだけど驚きすぎな気がする。このままではビビリだと思われてしまう…
ホラーゲーム実況でも見て、ビックリ耐性を鍛えようかな…
「おい…こんな時間に何の用だ?」
俺は通話ボタンを押した。
「もしもし模試!蒼氏今何してるでごさるか〜」
電話をかけてきたのはクデスだった。
もしもし模試という意味のわからない挨拶をかましてきた。
「別に何もしてなねーけど?」
「そんなことだと思ったでごさるよ〜」
クデスはニヤッとしただろう…電話越しでもそれが伝わってくる。なんとなくムカつく。
「……で再度聞くが、何の用だ?」
「用がなければ電話しては駄目でござるか?」
「ラブコメに登場するヒロインみたいな、ときめくセリフを言うんじゃねーよ」
それを言っていいのは美少女だけだ。
オタクが言っていい言葉ではない。
許されない。俺が許しても世界が許さない。
「冗談でござるよ〜そう怒るなって〜」
「クデス…お前は俺の殺意を湧き出させるために電話したのか?」
「イエ…違うでごさるよ…」
今、一瞬イエスと言いかけなかったか?
「いや、暇だったら一緒にサバゲーでもどうでござるか?」
「……ん〜」
俺は今、暇ではあるけど…
暇で死にそうではあるけど…
「いや、遠慮しとく」
「なぜでごさるか?」
「最近ゲームしたいと思わないてさ…」
少し前まではゲーム中毒ってぐらいゲームに夢中だった…だが最近、全く俺はゲームに触れていない。ゲームをしたいと思わなくなった。
歳ってやつか?大人になったということか?ゲームをすると楽しさよりも疲れの方が上回るように感じるようになってしまったのだ。
おまけに、目も痛くなるし…しょぼしょぼする。
「……俺氏にボコられるのが嫌でござるか?」
それも嫌だ。
クデスのゲームの腕はプロ級だ。
だからいつも対戦、タイマンするとボコボコにされるのだ。
「ああ…そういうことにしとく…」
「ププ…逃げたでござるな」
「はぁ?」
「男が尻尾巻いて逃げるとは情けないでござるね〜」
「黙れ」
「は〜い?逃げ野郎の声は聞こえませ〜ん」
「明日、アイスピックで串刺しするからな」
「なぜにアイスピックでごさる?!」
「豚串にしてやろうと思って」
「なるほどでごさる」
納得した… 俺なりの悪口のつもりだったが…
豚串と言うならアイスピックで刺すじゃなくて、棒で串刺しにしてやろうと言えよ!とつっこんでくれると思ったのに…
「なあ、クデス」
「何でごさる?」
「ストレスの解消法って知ってるか?」
丁度良かったので聞いてみた。
「ん〜俺氏のストレスの解消法はアニメ見まくったりゲームをしまくるでごさる」
オタクらしいストレスの解消法だ…
「やっぱり現実から目を背けることが大事だと思うでごさる」
「現実逃避ってことか…」
確かに現実ばかりに見ているとうんざりしてしまう。現実は残酷なのだ。悲惨なのだ。現実を見るぐらいなら非現実を見た方がいい…ということか。
「現実逃避しすぎると将来ニートなるぞ?」
「ニートになりたいでござる!」
開き直った。
コイツ…馬鹿なのか?
「いや、ニートは駄目だろ」
「ニートはチートでござるよ…働かなくても生きていけるのでごさるよ?食って寝るだけの人生…羨ましいでごさる!」
「そんな人生、生きている意味があるか?」
食べて寝るだけの人生のどこがいいんだ?それこそ、生きている意味がない気がする。意味がないと言うと、星北に「意味のないものはこの世にない」と言われるんだろうなぁ…
「生きているだけで充分でごさるよ…」
コイツは駄目だな…ニート確定コースだ。
俺はクデスとの電話を切り、ベッドに倒れ込んだ。
やることもないし、したいこともない、よし寝よう。
暇な時は結局寝るのが1番なのだ。
寝ることはこの世で1番手軽で便利な暇つぶしと個人的に思う。
それに、寝る子は育つって言うし。
早寝はいいことだろ?
俺は瞳を閉じた。
ああ…この感じ、すぐ寝れる…
眠りに誘う天使達が舞い降りてきた…
夢の入り口へ…レッツゴー……
「プルルルル!」
「うぎゃあ!」
またもや、突然の着信音により俺は飛び上がった。
せっかく、寝かけていたのに!
ったく…俺の睡眠を邪魔したのは誰だよ!
画面には中二病末期と表示されていた。
電話相手は鬼介だった。
なぜ名前が中二病末期というと、俺が勝手に設定で変えたのだ。
因みに、クデスはお宅でもオタクだ。
「ごらぁ?!」
俺は電話に出る。
「ごらぁ?!…どうしたんだ…蒼?随分と不機嫌そうだが…?」
そりゃ、睡眠を邪魔されたのだから不機嫌なのは当然だ。
電話越しじゃなくて、目の前にいたらぶん殴っていただろう。
言っておくが、俺は寝起きは悪い方だ。
「何の用だよ!」
「来月テストだろ?だから、クデスも誘って皆んなで勉強会しようぜ」
「……別にそれは構わないけど、そんなのメッセージでよかっただろ?」
「…メッセージより電話をしたい気分だったからな」
そんな、意味のわからない理由で起こされたのか…なるほど。
ぶっ殺してしまおうか?
「明日、
「フッ…ならば、
くだらない中二病の会話に付き合ってられない。
「なあ、鬼介…お前のストレスの解消法ってなんだ?」
一応聞いておこう。
多分、まともな回答は得られないと思うが…
「……そうだなぁ…俺の
電話を切った。
鬼介に聞いた俺が馬鹿だった。
この時間を返して欲しい。
さて、気を取り直して寝よう。
俺は眠いのだ!寝たいのだ!明日も地獄の学校だし…
さすがにもう電話はかかってこないだろう。
フラグじゃないぞ!?
二度あることは…三度…ないぞ?
瞳を閉じた瞬間…
「プルルルル!」
ああもう!
………迷惑電話か?嫌がらせか?
そんなに俺を寝かせたくはないのか?
そう思いイラつきながら電話出た。
「はい?」
「もしもし?陰田くん?」
可愛らしい愛嬌のある声だった。
その声の主は天使と呼ばれる天野だった。
「天野?どうした?」
天野からの電話は初めてだった。
少しだけ、嬉しかった。
「こんな夜遅くにごめんね〜今大丈夫かな?」
「ああ…別に構わないけど…」
さすがは天野、ちゃんと謝罪をしてくれた。
さっきまでの礼儀知らずなやつらはごめんの一言もないからな。
「……別に用という用事はないけれど…ちょっと陰田くんの声が聞きたくなって…」
トクン…
天野はガチのときめくセリフを言った。
ラブコメのラノベでよく見る何気ない電話だ!
「……そうなのか…」
「うん…ごめんね…迷惑だよね…私の自分勝手で電話かけて…」
天野は申し訳なさそうに言った。
「いや、別にいいよ…」
天野なら許しちゃう!
全然気にしてないよ!
「そっか…陰田くん…今何してたの?」
「……黙想……」
変にカッコつけて嘘を言ってしまった。
寝ようとしてたと正直に言うよりも黙想をしていた…の方がカッコいいかなと思ったのだ。
「黙想?カッコいいね!」
やった…カッコいいと思ってくれた。
「あっ、そうだ…天野?」
「ん?何かな陰田くん?」
「一つ頼み事をいいか?」
明日、俺が実行することを天野に手伝ってもらおう。
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