差別ととある少女との廻合

さて、どうしようか。ケルベロスは火を吹くから厄介だ。まぁ、仔犬には負けないだろう。とりあえずは……「観察、かな」そう言うと、ケルベロスは火を吹いてきた。「私を脱水で殺す気?」なんて軽口を言いつつ、水筒の水を口に運び……棒を振る。その風圧で火が消える。「この程度、か」仔犬に期待しすぎたかな。「ま、死んでよ。」私が棒を投げつけると、ケルベロスの脳天を割った。ケルベロスの体がチリとなり、一つのポーチが出てきた。「何だろう、これ」そういい、そのポーチを身につけると、視界がホワイトアウトした。



「ん……あれ、教室……?」気がつくと、私と璃那ちゃんは自分達の教室にいた。「十分遅刻だぞ、紅花。」そういわれるが、授業の十分前である。正直、こう差別されるのももう慣れてきた。私が鞄をロッカーに入れようとすると、ポーチが目に入った。「このポーチ、付けてなかったよね……?」気にする必要はないだろうし、一緒に入れた。


そして、その日の昼休み。私と璃那ちゃんは中庭でお弁当を食べていた。「うん、やっぱり藍ちゃんの作ってくれたお弁当は美味しいね」「ふふ、ありがとう璃那ちゃんそういえば、璃那ちゃんのお父さんとお母さんはどこで仕事してるんだっけ?」「あ、私も一緒に食べていいかな?」「あ、二組の空神さん」「空神さん、だとしろと被っちゃうし、そらでいいよ」白さんは私たちと同じクラスだ。「あ、知り合いなんですね」「うんにゃ、家族だよ」「というと?」「白はお兄ちゃんの娘」「「ええっ!?」」「え、二人ともどんな関係だと思ってたの?」「同姓の赤の他人か双子の姉妹」「なるほどね」「あ、そういえば璃那ちゃんのお父さん達の職場ってニューヨークだよね」「うん、そうだよ藍ちゃん」「あ、そういえばさ。藍ちゃんが無能力者なのって、本当?」「うん、本当だよ。検査薬も反応なかったし。」「——じゃあ、何で気を藍ちゃんからはの?」「気?」「そういえば、藍ちゃんって以前授業で外に出た「はぐれ」のスライムに触れた時に、素手でもよね……」「はぐれってことは、食事を満足に取れていないだろうし、触れたものは何でも消化しようとするはず……」「え、あのスライムってそんなヤバかったの?」「常人なら数秒触って指が無くなるレベルだよ」「……私一時間も触ってたんだけど……」「えぇ……」


【作者から】

さて、二話にして藍の特異性が明らかになったこの物語、一体どう転がるのか?!

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