能力者の世界で、能力を「使えない」少女は最強となる

ソラ

第壱話、「無能力者」

この世界には、能力とダンジョンがある。能力を持たないものである無能力者の数は減り始めており、段々と無能力者の人権が軽視されるようになった世界で、私は無能力者だった。能力者である幼馴染や両親のおかげで十七年も生きてこれたから、本当に感謝している。っと、そんなことは本人に何度も言ってるし、今更か。

で、ダンジョン。ダンジョンには、モンスターと言われる人外の何かがいて、それを倒すことで身体能力が強化されていくらしい。まあ、モンスターと戦ったことは無いから、分からないんだけどね。そんなことを考えながらも、私は布団から出る。


「おはようお母さん、お父さん」「おう、いい朝だな、アイ」「ええ、今日も快晴ねぇ」「あ、璃那リナちゃんは?」

「まだ来てないぞ。まあ、遅刻はするなよ。藍」「もちろん!」そんなこんなでご飯を食べ、着替えとかを済ませ、玄関を開けると、璃那ちゃんが扉の前にいた。「あ、おはよう璃那ちゃん!」「うん、おはよう藍ちゃん!」その後、ふたりで新緑の並木が並ぶ道を歩いていると……



次に


何かから



私との手が触れ合った。そして、私は空中で璃那にお姫様抱っこをし、着地した。「璃那、大丈夫?」「ぁぅ……うん」何故か璃那の顔が赤い。そして……私は、『そいつ』の接近を感じ取り、璃那をおんぶして岩を削り、棒を作った。

そして目の前に現れたのは、双頭の狼、オルタロス。

「冥府の番人のなり損ないで私を倒せると思わない方がいいよ。」そう忠告するが、目の前のオルトロスは襲いかかる。「グオオオオオ!!」だが———ドゴッ!という鈍い音と共に、オルトロスの首が片方潰れる。次の瞬間、もう片方の首も潰れた。「——遅かったね。」……やっぱり、弱い。ただ、こいつはダンジョンの一番奥にいるボスとやらではないらしい。「まあ、多分ボス以外はで殺せるね、この調子なら」っと、璃那は大丈夫かな?

「相変わらず顔は赤いけど、怪我とかはないね。」怪我がなくて何より。さて、ボスを探しに行きますか!


《side璃那》

拝啓、藍ちゃんのお父さんお母さん。私は今、あなた方の娘におんぶされています。

いや、なんで人くらいのサイズの狼を素手で倒せるんだろうね……しかも、顔が近いし呼び方もいつもと違うし……後半に関してはごほ……ゲフンゲフン。で……何故私は某絶叫ジェットコースター並みの速度で動ける女の子におんぶされているんだろう……まあ、藍ちゃんに密着できるからいいけど。


《side藍》

「ふぅ……ついた」いやぁ、璃那のかわいい声が聞けて満足満足。さてと……「ここにボスがいるっぽいね、気配が特別強い。危ないから、璃那はここにいて。」「あ、うん。」

そして、そこにあった扉の奥には……【恐るべき地獄の番犬—ケルベロス】がいた。「本物の番人のお出まし、かな。」


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