第46話 日本版、ちびくろさんぼ
校長室の
それは両手ほどのサイズで、たくさんの
今回で1637個目。
大海には夢や
まだ、
そこはぎゅうぎゅうに押し込められた船底。プライベートは
何十日と続く航海に、外をながめる窓もない。手足に
それでいて、言葉も文化もない。虫ケラのようにたたかれ、けられ、暴力で充満していた。
でも、おそろしいことに人は環境に
そうだ、石になる。船のバランスをとるための重りなだけ。
(江戸時代ではヨーロッパ行きの船の重りに商売も含め中国のお皿などなど
そして、痛みにも慣れていく。なかなか死ねない中、やっと陸が見えたときには牛豚なみの商品になっていた。
しかし、人身売買はお金の歴史よりも古いだろう。そこに
テリトリーは日本海から東シナ海、さらに南シナ海までも出っ張る。何百年と大陸沿岸部を
彼こそは奴隷解放の父といわれた豊臣秀吉である。
これにて、あやしい美談のはじまりといこう。
あれは日本で最大といわれる農民反乱があった。
3方を海と
彼らは声を受け取っていた。神のもとに平等。中にいる信者たちがすし
そこへ、この海を
「いやいや、ご
宣教師Kがなぜだかうやうやしく出むかえる。
「これはこれはお久しぶりです。なかなか手こずっているようですね」
指揮官Mは細い目でため息をついた。
「はい、そのようですね。できれば、一緒にあの原城へ大砲を
さすがに
「いやはや、それは無理でしょう。そもそも戦闘行為は本国からの許可がいります。むしろ和解でしたら、お力ぞえができますよ」
神の使いが
「そうですか。しかし、和解はありませんよ。
さらには実のところ、
今度はすがるような青い目だ。
「そんな
「ご慈悲?_____ 」
よくもつらつらと! 指揮官Mは知っていた。
なぜ、戦場に宣教師がいるのか? まず、新天地へ
そろそろわかってくるはずだ。それは『助け出す』意味。実際、信者の数ではない。熱心な信者をつくること。それを救い出すための聖戦をおっぱじめる。戦争は『助け出す』というワードが一番、美しいのだから。
そして、 戦争はおいしい。だが、直接してはいけない。もうかりづらいからだ。 熱心な信者がその国の中で内乱してくれればベスト。
もっとも本当のねらいは反乱後に用がある。これだけの大きな農民反乱だ。
表向きだろうが、
農作物のできない時期。生死をかけて戦いを起こし、逆に人手や農作物を奪いにいく。そんなことは大陸の東西で文化は違っても、それほど不思議なことではない。
それは東の国の指揮官(武将)側も同じであった。
大小の戦いや
1回に現在で1000万円もかかるとしたら、かなり
しかし、宣教師は新しい武器も持ち込んだ。与えること、与えられることだと。
そして、争いが起きる。争いが起きれば、奴隷市がたつ。
その争いが広がれば、奴隷の値くずれが起きる。一人あたり現在で1000万円の値が10万円まで暴落するのだ。
もう、これでわかるころだろう。輸送中に10人中、9人死んでも元が取れる。死体になっても魚のエサで
いつしか銀貨が世界共通の価値となった。それでは誰がそれを
指揮官Mは
「前の
それからですよ。私どもはあなたがたへ人を売らないことを決めました。あの城が病魔に飲まれるのを見届けるのがいいでしょう。貿易もお断りです」
開き直る宣教師Kである。
「ああ、あの太閤様ですか! あなたが今、聖人とうたう彼ですが、朝鮮へ攻め入り首級のかわりと大量の耳鼻を持って帰ったという。さぞ、そのときの船底は安定したでしょうね」
指揮官Mは表情一つ変えなかった。
「はい。そして今回の島原の乱ではそれ以上のことを行います。
なぜなら、全員の頭蓋骨すら
宣教師Kは知っている。
この王国はいかれていることを。つい先日、
この異常性。この嫌悪の意味は東洋だとわかりづらい。なぜなら、キリスト教では
だが、もっともは
例えば、仏像や
激しい
そもそもこの王国は
今では海を超えて侵略、
宣教師Kは消化不良の顔を浮かべた。
「先ほどの太閤殿下の話。前政権の話ではありませんか?
今回に限り、どうでしょう? 私たちはあくまで信者だけでも救済したいのです」
あざ笑う指揮官Mだ。
「それでは耳と鼻ぐらいは持たせましょうか?」
最後にうらみごと。
「フ~~~、わかりました。引き上げるといたしましょう。これからは立ち寄ることもございません。この国はバカげている。
指揮官Mは去りゆく彼の背中に伝えた。
「はい、かまいませんよ。今後、宣教師の上陸はできません。布教も不可能です」
すっかりと晴れた顔で振り返る宣教師だ。
「そうですか。実を言うと清々していますよ。
男同士の情愛ですと? わがキリスト教は同性愛を許しません!
ビジネスとわりきるオランダ。理解をしめす中国。ですが、われらにとっては身の毛もよだつ
伝染病や未知の病。
これは動物から同性同士の異種族同士でも発生する。さらに貿易によって爆発(パンデミック)する。あのアメリカ大陸ではヨローーパ産の
もし、もしもだ。もっと強力な病原菌が持ち込まれたら、この海に囲まれた国はひとたまりもない! 外国へ行った者も必ず帰すな! 梅毒だけで十分だ。早急に国を
だから、見せしめに島原は全員、
それからすぐのち。寒く低い空の下。灰色の海。大海には何万もの
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