第2話 裏垢と被害者選定
朝起きると、俺は絶句した。なんと
「ふぁぁ…眠い…」
「兄さん、寝不足かい? 眠たそうにしている兄さんもとってもかわいいよ…!」
朝からとても情熱的な言葉をくれる小雪。有難いっちゃ有難いんだけど、前の世界の感性だとどうしても可愛いと言われるのに少し躊躇ってしまう。早く慣れないとな、なんて思いながら朝ごはんを食べ、学校に向かった。
「お、おはよう天辻くん! きょ、今日もいい天気だね!」
クラスの女子が挙動不審気味に話しかけてくる。前の世界の俺もあんな感じだったんだろうか。――っていうか外めっちゃ曇ってますが?
「あはは、面白い冗談言うんだね。おはよう」
「…!////」
少し微笑みながら挨拶をすると、この世界の女性はイチコロと言うかイチムラだ。あっ、一撃でムラムラするって意味ね。
ちなみにさっきの女子は股を抑えて何処かに走り去っていった。さらば
結局この日も授業と言う授業はなく、すぐに昼休みになった。
俺はお昼を落ち着いて食べれる場所を探していると、ある一つの場所を見つけた。
「おー…。ここは中庭…かな?」
「あぁ? 誰だよお前――って男!?!?」
おや、ベンチに先客がいたようだ。その女子の風貌は所謂ヤンキー娘。髪は赤く、制服も着崩しておりそのたわわな爆弾が溢れそうになっている。支えてあげましょうか?
「僕の名前は天辻凪斗。君は?」
「お、俺は
なんか言葉の節々から動揺が見て取れるんだけど…この子もしかして緊張してる?
「うーん…。お昼食べる場所探しててさ、ここで一緒に食べてもいいかな?」
「いいいいい一緒に!? そんなことしたら子供がデキちまう!?」
いやデキないけど? もしかしてこの子ポンコツか?
「…子供?」
「い、いやなんでもないんだ! ほ、ほんとに。だから通報だけは勘弁してくれ!!」
そう言って赤尾さんは土下座をしてくる。なんかこの子かわいいな。
「通報なんてしないよ。だから頭あげて?」
「ほんとか! あんた優しいな!!」
赤尾さんは花のような笑顔でこちらを見ている。…可愛げがある理由が分かった。この子は犬だ。犬に見えてしょうがない。
…よし、この子もリスト入りかな。
リスト入り、それは被害者入りということでもある。どういうことかと言うと、俺は周囲の性癖をかき乱したいが、誰でもいいと言うわけではない。1流の性癖破壊をするには、1流の素材がいるというものだ。
この子もかなりの逸材だ。俺の直感がビンッビンに反応している。あっ、勃起してるわけじゃないよ?
「赤尾さん、それ美味しい?」
俺は赤尾さんが食べてるものに着目した。彼女が今食べているのはただの菓子パン。つまり『そんなんじゃ栄養偏っちゃうよ~、ほら一口食べな?』作戦だ。
「おおお、おう! 旨いけど、一口食うか?」
こいつッ!? クッ、なかなかやるじゃないか。それなら俺にも手がある。
「んむっ…もぐもぐ…あっ、これじゃ関節キスになっちゃう…///」
どうだ!! 俺が長年研究してきた
「関節キス…へへへ…男と間接キス…」
あー、これ完全にアカンやつや。目がイってトリップしちゃってるよ。
俺はメモ帳を一枚ちぎり、そこに連絡先を書いて座っていた場所に置いておく。ちゃんと風に飛ばされないように小石を上に置いて、俺はその場を去った。
▽
チャイムが鳴る。今は5限目が終わったとこだ。次の教科はなんだったかな、なんて思っていると教室のドアがガラガラと開き、美人な先生が入ってきた。
「次の教科は歴史なんだが、準備を手伝ってくれる生徒はいるか?」
ムムッ!! 俺の性癖破壊センサーがビンビンに反応している!!
「はい、ボク手伝いますよ」
「お、おお、そうか。ありがとう。じゃあ早速準備室まで行くぞ」
そう言ってその教師と俺は準備室に向かって歩き出した。
「先生、名前なんて言うんですか?」
「私か? 私は
「僕は天辻凪斗です。よろしくお願いしますね、峰山先生!」
俺が少し上目遣いでそう言うと、峰山先生は顔を背けて返事をした。この人も
その後は何事もなく、授業準備を手伝った。
「それでね、怜」
「ちょっと待って。貴方女の教師と二人きりになったの? 前ダメって言ったわよね?」
俺が今日あったことを怜に話していると、怜のお説教モードに火が付いた。これめちゃくちゃ長いんだよな…あっそうだ。
「――うえ、ぐすっ。ごめんね怜。そんなつもりじゃなくて、ぐすん」
噓泣きである。
「な、凪斗! ご、ごめんね!! えっと、えっと―」
めちゃくちゃ引っかかってるのである。
「私その、凪斗が他の女の子と仲良くしてるのが嫌で…だから許して!」
なんだか俺も罪悪感がでてきたな。別に謝ってほしかったわけじゃないし。
「ううん。僕も悪かったよ。ごめんね?」
「やっぱり凪斗は優しいわね。フフフ」
なんて微笑んでくれている怜を横目に、俺は今日裏垢にアップする写真の事を考えていた。今日はアレが届いているはずなのだ。
家に帰ると、やはり届いていた。――アレとは何か。
それはえっちな下着さ!!
俺は即服を脱ぎ、それを着る。この下着は前の世界で女の人がつけるマイクロビキニのようになっていて、俺のこの男の娘っぽい顔と身体だから似合っているけど、普通の男が着たら地獄みたいになるんじゃないかな。
「うーん、なんかえっちさに欠けるなぁ…。あっそうだ!」
俺は霧吹きに水を入れ、自分の胸に向かって噴射する。すると下着が水を吸い、ぴっちりと身体にくっ付いて乳首が丸わかりになる。
「よし、これだ! うーん、この角度で…こうして…よし!」
挑発するような顔で写真を撮る。小悪魔チックでいい感じだ。
「文面はそうだな…『へ~、ボクの下着姿みてそんなになっちゃったんだぁ…』とかにしとこう」
俺はその写真と文を投稿すると、一気に反応がくる。
<えろい>
<こんなになっちゃったの♡>
<犯してぇ…>
<乳首立ってね?>
<永久保存しろ>
凡そこんなものだった。えろいって言われるのはビッチ冥利に尽きるね…!
そんなことを思い、喉が渇いたのでリビングに行くと、いつもこの時間に起きていない姉、時雨がリビングに居て下着姿を思いっきり見られた。
「凪斗く…ん? なななななななんて恰好してるの!?!?」
「あ、あはは。見られちゃった…」
姉は手で顔を抑え、見ない素振りをしているが、指の隙間からガンギマっている目がギョロギョロと動いている。…飢え過ぎじゃない?
というかこの状況どうする…? かなりまずい。いや、俺ならばきっと大丈夫だ!
「こんな姿見せるの…お姉ちゃんだけなんだからね…?」
どうだ俺のツンデレは!! 喰らうがいい!!!
「なな、凪斗。お、お姉ちゃんはすっごく大事な戦いにいかなくちゃならなくなったの。だから部屋の扉は絶対あけちゃダメよ?」
「わかったよ、姉さん。でも応援なんてしないんだからね?」
俺のラストアタックも無事に効いたようで、姉はせっせと自室に籠り、中からは艶めかしい声が響いていた。
フッ、またつまらぬ
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