第4話

「紫苑様、楓様と蘭様からお手紙が来ております」


あの宴会以来、二人は頻繁に手紙を私に送っている。


よく手紙には押花や花弁が入っている。花弁の方は枯れる様子がないのでおそらく魔法で生成したものだろう。


今日は何が入っているのだろう。


そうワクワクしてまず楓の手紙の封を開ける。


「わっ」


すると沢山の薔薇が手紙から飛び出て咲き誇る。


「凄い…魔法って凄い」


語彙力が無くなるほど感動してしまった。


そして蘭の方の手紙を開ける。


「え?」


そう、こちらも手紙から飛び出て薔薇が笑顔を見せている。


「被るって仲良しなんだなぁ」


もう仲良しレベルが源氏と頭中将やん…





「楓はまたあの泥棒猫に手紙を送っていらっしゃいますのね…」


「酷い…酷いわ…」


「私との約束は忘れましたの…?」


「没落しても愛してくれると思ってましたのに」


「泥棒猫ちゃん…覚悟してくださいませ」

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