第77話 ハゲルトン神父のお願い オアシスの消失
メアはシスター達や、ハゲルトン神父が起きないものだから、どうにかこうにかみんなをベットに寝かせた。ひるねみたいに深淵をうまく使えない為。
「ふにゃー疲れたから、にゃーもねるにゃ」
メアはハゲルトン神父の横で丸くなり、眠りに着いた。
次の日の朝
「メアさん。起きて……」
「ふにゃ?」
聞き慣れた声で一気にメアが覚醒し、飛び起きた。
「にゃ!!」
「ほほ。メアさんは元気ですな」
「お父にゃん!!昨日あのにゃと起きにゃいから、間に合わにゃかったと思ったにゃ!!」
「それは心配させてしまいましたな。起きなかったのには、理由があるんですよ」
「理由にゃ?」
キョトンと首を傾げていると、シスターたちが戻ってきた。お風呂上がりのようで、湿っぽい髪をタオルで乾かしていた。
「あら、メア様起きたのですね」
「にゃ!みんにゃも無事?」
「はい!メア様のおかげで何とも」
「それは良かったにゃ!」
「ハゲルトン神父様。それじゃあ、私たちは昨日から滞っている仕事をして来ますわ」
「ああ、頼むよ」
シスターたちは各々の仕事に向かって行った。迷える子供や病気の人の看病や治療費まで教会持ちでやっている為か、仕事はちゃんとやらないと財政難になるからだ。
「で!お父にゃん!さっきの続きにゃ」
「それでは話そうか。あれはあのオークに魂を消化されそうになった時だったか」
ハゲルトン神父が見た光景を話し出した。
「母上!!今日こそは母上の武術を教えてもらいます!!」
「ハッハッハ!!あたしの武術を教えて欲しいだ?寝言はあたしを捕まえてからにするんだね!」
「今日こそは捕まえてやる!!」
砂オークの子供が砂鬼族の女性に向かって突進する。
「よ!」
「あ?!げふ!!」
「アッハッハ!!あたしを捕まえようなんざ100年早いのさ!!」
「むー!」
砂オークの子供は転んで全身に砂を浴びる事になった。座ったまま、膨れる子供。そこに大きな砂オークの男が現れる。
「ガッハッハ!静花も大人気ねえなー」
「クラフト!あんたが!優しくしすぎるからでしょう!」
静花の顔が般若に変わる。正確には付けていた画面が変化したのだが。
「悪かったって。そんなに怒るなよ〜グラ。良い子だから、オアシスで砂を落として来ておいで」
「ほーい」
顔色が悪い父クラフトを見ながら、グラはオアシスへと向かった。
この大きなオアシスは三種族が交代で守り、みんなでこのオアシスを守って来た。だから、其処には何時迄もオアシスがあると思っていた。
「え?」
だがグラの前に広がるのは水が無くなったオアシスの跡地。ただそれだけだった。
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