第73話 ロッソの恐ろしさ 暴食の暴走
「【ジャック】!!」
グラ・オブルークのレンガの家に向かって【切り裂く】の10連撃が炸裂するが、レンガの一欠片たりとも破壊出来なかった。
「んーどうするかにゃ」
メアは立ち止まって考えるが、いい考えが思い浮かばない。そんなときロッソがメアのマントを掴む。
「ローんにゃ?なんか策あるにゃ?」
「こくこく」
ロッソは自身ありげに首を縦に振る。
「俺の仇頼むぜー」
「やったれローにゃ!!」
「こくこく」
メアはオーロと一緒にロッソが何をするのかを興味深そうに見つめる。
「はーふーはーふー……よし!」
ロッソは深呼吸して覚悟を決める。
「母なる海よ。ああ、大いなる海よ。海は深く冷たく、全ての生き物が産まれた場所。そして帰る場所。我が名はロッソ!!海の火山を司るネコザメ!我が求めるは全てを呑み込む力なり!我が敵を燃え尽くせ【マリン・マグマウェーブ】!!」
ロッソの足元が盛り上がり噴火した。そこからマグマが吹き出し、津波の如く勢いで【3匹の子豚の煉瓦の家】に迫り、呑み込んだ。
「ぶひぃー!!!」
グラ・オブルークの悲鳴が教会に響く。
「やったか?!」
「それフラグだにゃ!!」
「こくこくはふぅー」
ロッソが全てを出し切り宝箱の中で眠る。
「……六章:我が脂肪を無くす事は出来ない」
「なんか細いにゃ」
冷え固まったマグマの中から生還したグラ・オブルークは痩せ細っており、風が吹けば吹き飛びそうな程弱弱しい姿だった。
「クソが!クソクソクソ!!!おでのカロリーをまた使わせやがって!!このままじゃ、書に意識があばばばばばば……」
「何にゃ?」
「止まったぞ」
グラ・オブルークの身体が痙攣したかと思うと、【暴食の書】が奴の上空に浮かび上がり、無数の黒い手がグラ・オブルークの身体を操りだす。ぐにやりぐにゃりと関節が曲がってはいけない方向に曲がったりしている。瞳には正気が宿っておらず、口からは唾液が垂れ流しになっている。
メアは背筋がヒヤッとしたから、振り返りざまに【血塗られたメス】で【切り裂く】を放つ。
「【切り裂く】?!」
ガキンッと音がした後、パキッと何かが折れる音がした。そこにはさっきまで目の前にいた筈のグラ・オブルークそして、メスの先端が折れ、それを食べていた。
「ぎにゃ?!」
メアは完全に壊される前に【血塗られたメス】と、嫌な気がしたので【乙姫様の手編み羽衣】をアイテムBOXに仕舞った。ロッソとオーロが装備を外した事で消えて行く。その消えた場所が空間ごと抉れた。その抉られた場所は誰かが噛みちぎったようになっており、【蓋が破壊された封印されし宝箱】がロッソたちを守る為に【身代わり】が発動されてしまう。
(危にゃかったにゃー)
メアは動揺し肝を冷やし、冷や汗を流す。【スダルシャナ・チャクラム】がメアの心情に反応するようにメアの全身を緑色のエネルギーが包み込む。
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