第74話 聖痕
(待ってにゃ!)
「うが!」
(お願い、お願いにゃから!行くにゃ!!)
暴走するグラ・オブルークの攻撃を避けながら焦る。
メアの【虚空を見つめる猫目】には、ハゲルトン神父たちの魂が瞳から血を流しながら苦しみ、消化されようとしているのを目にしていたからだ。
メアは焦る。メアを包んでいた緑色のエネルギーが凝縮され、そしてメアの身体に染み込んだ。
『【スダルシャナ・チャクラム】に蓄積された邪悪を贄に、【メア】の身体に吸収されました。【新ステータス:聖痕】を獲得しました。血管に聖痕が刻まれました』
「ぎにゃ?!」
避けている最中に激痛が走り、動きが止まった瞬間。グラ・オブルークの右アッパーをもろにくらってしまい【輪廻転生】で蘇るが、メアは2回目の噛みつきをした。ダメージそのものは無かったが、これで後1回。転んでも唯では起きないメア。
『プレイヤーの中で初めて【聖痕】を刻んだ者が現れました。称号:【冥王ハデスに魂を捧げる聖猫】を授与しました』
称号:【冥王ハデスに魂を捧げる聖猫】
効果:特定npc冥王ハデスが貴女の事を気に入りました。これまで汝が冥界に捧げた魂に対しての褒美として、妻ペルセポネと我の力を与えよう』
『メア専用スキル:【良魂再生】を獲得しました。』
【良魂再生】種目:アクティブ
効果:彷徨えるカルマ値が+の魂を蘇らせる。魂が抜き取られた者を元に戻せる。死んでから3日以内の魂にしか使えず、冬または植物が生えない程寒い場所では発動出来ず、同じ対象には1度しか発動出来ない。また、植物や木にも発動出来る。魂に触る事で発動出来る。
クールタイム:なし
(ありにゃとう!!ハデスにゃま!ペルセポネにゎゃま!!本当にありがとうにゃ!)
「ぶひ?」
先程、絶望に狩られ暗くなっていたメアの瞳に、光が宿る。
急にメアから感じるオーラが変わった事で、グラ・オブルークを操る【暴食の書】がその紙に感じたオーラが天敵の聖属性と分かった途端、回れ右をして教会からの逃走する。
「にゃ?!早!でも!絶対逃がさないにゃ!!おいでませ!!ニャーの友達【白虎】【青ばぁ】にゃん!!」
逃げるグラ・オブルークに向かって【お友達の勾玉】を翳す。
そして召喚されると同時に、メアの思いを汲み取り強力な一撃を放つ。
「わたくしの前から逃げれると思うな!!【大自然の束縛】!!白虎今よー」
「ぶひ?!」
教会の床を突き抜けて現れた巨大な根っこに捕まった【暴食の書】は、どうにか逃げようと根っこに噛み付くが込められている聖属性に大ダメージを喰らう。そして白虎は加速し。
「我の友の怒り!悲しみ!その身で喰らうがいい!!【雷斬り】!!」
「ぶひい?!……」
白虎はグラ・オブルークを通り過ぎ様に肉眼では分からない速度の斬撃で首を刎ねた。その後を追うようにメアはグラ・オブルークから時は放たれた魂に触れ、ついでに噛みつき【トリカブト】が発動する。そしてすぐに魂は、すっと肉体に戻って行った。ハゲルトン神父もシスターも顔色が良くなり、ゆっくりと呼吸を始めた。
「にゃー!良かったにゃ!本当に良かったにゃー」
メアはにゃーにゃーとハゲルトン神父の膝で泣く。白虎と青龍はメアの背中を優しく撫でてあげていると、2匹の身体が薄くなって行く。
「ふむ。時間みたいだのー」
「白虎!青ばぁ!ありがとうにゃ!」
「気にするな。元気になったら、また【中】に来なさい。坊やも頑張って鍛錬してるからな」
「にゃ!また行くにゃ!!」
「今度はわたくしの所においでのー」
「にゃ!!」
2匹は笑顔で消えて行った。メアはゴロゴロと喉を鳴らしながら、ハゲルトン神父に身体をすりすりする。
『【トリカブト】の蓄積ダメージが回復速度を上回り、【暴食のグラ・オブルーク】を倒しました』
首を飛ばされていた状態でしぶとく生き残っていたグラ・オブルークは死んだかと思われた。
「お前も飢えるが良い【飢呪】。僕の変わりにアイツらを……殺…くれ……」
「ぎにゃ?!な、何にゃったんだ?ん?何か身体が重くにゃったにゃ」
グラ・オブルークの魂は冥界へと送られていった。
【飢呪】種目:パッシブ 呪い
効果:カロリー消費が2倍になる。カロリーが1,000以上の時、全ステータスが2倍になる。カロリーが1,000未満の場合全ステータスが2/3になります。400以下の場合全ステータスが1/10になる。
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