第69話 ネズミちゃんとスキルの検証

 ひるねは【鼠の恩返し】の効果で、何処かに隠れたストーカー食べられ系ネズミを呼び出す。


「ネズミさんやー」

「チュウ!!」


 物陰から元気に現れたネズミ。ネズミは敬礼をする。


「じゃあ、そろそろみんな起きるだろうから、このスキルの効果検証をするよ」

「チュ♡」


 悶えるネズミ。今からこのネズミを口に含むのかと思うと、少しげんなりするひるね。


「あーむ」

「ゥチュ〜」


(んー味はチーズだけど、この状態だと喋れないな。てか、ネズミさんや飲み込まれとは思はないのかな……いや、飲み込まないけど)


「チュッチュー♡」


 聞こえて来た鳴き声は、嬉しそうな鳴き声だった。ひるねはネズミを舌で転がしながら、みんなが起きるのをテーブルの上で変なポーズで待つ。因みにネズミちゃんです。


「ふぁートイレ……」


 最初に起きたのはラビ。ひるねに気付かずトイレへと消えていった。


「……ふにゃふにゃ」

「ほら、こちらですよ。マリーちゃん」

「はいですの」


 キャロとマリーが起き、キャロに手を引かれながらマリーは顔を洗いに行った。ひるねには気付かず。


「気付かないものだな」

「チュウ」

「何が気付かないのにゃ?」

「びゃ?!……びっくりしたぁー」

「チュ?!チュチュチュ」

「これなんにゃ」


 ひるねがびっくりしたタイミングで、ネズミちゃんが口から飛び出し、メアがキャッチした。


「わたしの非常食?」

「そっかーじゃあ返すにゃ」

「チュッチュウ」

「にゃ?やんにょかーシュッシュ」


 口から解放されたネズミちゃんが、メアに向かってボクシングの構えをする。メアも前足を構えてみる。


「もう2人ともそこまで、ネズミちゃんは取り敢えずわたしの背中にでも隠れてなさい」

「にゃーい」

「チュウ!」


 メアは詰まらなさそうに毛繕いを始める。

 ネズミちゃんは、敬礼した後にサササとマントの下に潜り込む。


「さて、これからどうしよっか?わたしは寝てるだけでもいいけど」

「じゃあじゃあ!またお父にゃんの所行って来ていいかにゃ?」

「?お父さん?あーハゲルトンさんの所ね。いいんじゃないかな」

「やったにゃーカメにゃん起きて!」

「カメ?!ゆ、揺らさないで下さい……うぷ」

「早く地上に戻してにゃ!!」

「わわわ、かりましたから。揺らさないで欲しいカメ」

「ひる姉ぇ行ってくるにゃー」

「はいはい。気を付けて行って来てね」


 メアは酔い潰れた塩椎神しおつちのかみを叩き起こして、お父さん事ハゲルトンさんの居る【スターシアン】に向かうのであった。


「あれ?メアさんは?」

「【スターシアン】に里帰り?かな」

「そうですの」

「私たちはどうしますか?」

「どうするのひるね姉ちゃん!」

「主?どうしましょうか」

「あーしたちは、何かするの〜主人様ー」

「んー各々好きに過ごしたら良いんじゃないかな?わたしは寝ます。お休みzZ」

「あらあら、直ぐに寝るんだから」

「こうじゃないとひるね姉ちゃんじゃないもんね」

「わたくしは深淵を使って縫い物でもしますの」

「我たちは主の近く(【乙姫様の手編み羽衣】)に居ますので、お好きにお過ごし下さい」

「そう。じゃあ、私は料理の研究でもしようかしら〜」

「ノワールちゃん!一緒に此処の探検しよ」

「しっしっし。いいですよ〜」


 各々好きな事をし始めた。


「ゲコゲコ」

「あら、貴方も主を護衛をして下さるの?」

「僕は眠り姫のナイトだからねゲコゲコ」

「ふふ。頼もしいこと」

「チュウzZ」

「此方の方は……成程、主のおやつでしたか」


 マントの隙間から顔を出して眠るネズミちゃんの名前が【名前:ひるねの非常食】になっていたので、警戒するのを止め、周りの警戒するビアンコだった。カエルの王子さまも深淵から顔だけだし、辺りを警戒する。乙姫は今だに酒瓶を抱えて眠っていた。


「またわっちを捨てるのねー次あったら噛んでやるガルルル……」


 乙姫の寝言はなかなかに物騒だった。

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