第67話 久しぶり?の、鳩教授

 朝方、竜宮城の客間にて早くに寝ていたひるねだけが目を覚ます。


「ふぁ〜変な夢……」

「ゲコゲコ」

「あれ?まだ夢の中かな」


 目を覚ますとまだ召喚されていたかえるの王子さまと目が合う。


「やあ」

「夢では無視してすみません」


 ひるねは、かえるの王子さまに土下座をする。眠たかったとはいえ、ガン無視した事は覚えていたからだ。かえるの王子さまは微笑む。


「眠り姫は眠るのが仕事だからね。僕は気にしてないよ、じゃあそろそろ僕は一旦消えるよ」

「あ、はい。また」

「ん、またね」


 かえるの王子さまは、ひるねの深淵にぽちゃんと消えていった。

 暇だったので、廊下を彷徨いていると分厚い本を持つ少女が歩いてくる。


「やあやあやあ。久しぶりだね、ひるねくん。君は随分と姿が変わって……」

「ん?鳩教授さんでしたっけ?」

「私の事を覚えてくれてたんだねぇ〜ずっと待ってたのに全然連絡くれないから来ちゃったよー」


 因みに一度たりとも此方から連絡するとは言っていないので、ひるねに非はない。


「はあ」


 呆れたようにジト目になるひるね。


「それで!それで!あの後から、何かスキルは手に入れたのかい?」


 鳩教授が瞳を輝かせながらひるねにじりじりと詰め寄る。何も無いですとは、言えそうに無かったので昨晩手に入れた【眠り姫のカエル騎士】に付いて教えてあげた。


「ふむふむ。試しに寝る事って出来るかい?」

「まあ、それくらいなら【猫の書】」


 ひるねはもう一度【かえるの王子さま】の本を枕が代わりに寝ると、かえるの王子さまがぴょこっと深淵から顔を出す。


「ほうほう。その影の中も気になりますが、君がかえるの王子さまくんかい?」

「いかにも!僕は眠り姫をお守りするかえるゲコ」

「よろしく!それじゃあひるねくんを起こしてっと【スキルスクロール】【目覚めのモーニングライト】」


【スキルスクロール】種目:アクティブ MP:不明

 効果:魔法系スキルを先にMPを消費する事でスクロールに保管でき、このスキル名と対象のスキルを宣言すると保管してある場所から直ぐに発動できる。


【目覚めのモーニングライト】種目:アクティブ MP:300

 効果:【睡眠】状態を回復し、目を覚まさせる。用途は違うが目眩しとしても発動出来るが、オリジナル詠唱が必要。

 クールタイム:10秒


 ひるねの顔が強めの朝日で照らされ、いつもはぐっすりのひるねも強制的に起こされる。


「んが?!これキライ!!」

「ぐふぁあ?!」

「あ」

「ゲコw取り敢えず【カエル爆弾】で追撃する?」


 かえるの王子さまが何処からか出した爆弾を構える。なんて悪い笑顔。


「あは♡やっちゃえ」

「さすが姫様!」

「くっ!甘んじて受けさせてもらおう!!」


 鳩教授も割と乗り気で吹っ飛ばされた先で、手をバッと開き。【カエル爆弾】をくらった。激しい「ゲコゲコ」音と共に煙が舞い、消えるとひるねの目線くらいまで小さなカエルになった鳩教授だった。


「ゲコゲコ」

「ゲコゲコしか言ってないから、何て言ってるの?」

「これがカエルかって言ってます」

「ゲコゲコ」

「魔法が使えないのかって、でも水中呼吸出来るし、戻れないのがって」

「取り敢えず戻してあげられる?」

「ゲコっと」


 かえる王子さまは、懐から白い爆弾を取り出して鳩教授に打つけると、ぽひゅんと音を立てながら人の姿に戻った。


「なかなか経験出来ない経験だった。はい。スキル代の洞窟の宝箱から見つけた【謎の本】を上げるよ。必要なスキルがあれば教えて上げるから、また面白いの見つけたら教えてくれるかい?」

「わかったから、近づかないで」

「これはこれは、失礼した。それでは私は世界各地の【謎の本】探しをして来るとしよう!はーはっはっは!」

「嵐のような人だったね」

「ゲコゲコ。あ、僕も時間見たいゲコ」

「ん。じゃ」

「ゲコゲコ」


 そしてひるねは1人になった。

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