第63話 乙姫様!

 塩椎神しおつちのかみの後を着いて行き、応接室に向かうなか、進行方向から杖を付く音が聞こえ、現れたのはナマズ顔の体調が3メートルはありそうな大男だった。


「あ!綿津見神わたつみ様!ただいまカメ」

「ふぉっふぉっふぉ。戻ったか。其方はお客様かな?」

「はいカメ」

「こんばんはー」

「はい。こんばんは」

「デカいにゃ」

「大きいねー」

「海の神様ですの」

「私もまさか神様に会えるとは……」

「ふぉっふぉっふぉ。また後でのー」


 綿津見神わたつみはどっかに歩いて行った。


綿津見神わたつみ様は、優しそうな神様だねカメさん」

「はい。綿津見神わたつみ様は、心優しい方ですカメ。でも、怒ると怖いカメ」

「そ、そうなんですの」

(怒らせないようにしよう……)


 震える塩椎神しおつちのかみの姿を見て、怒らせないようにしようと思う一同。

 そうこうしていると応接室に到着した。

 塩椎神しおつちのかみがコンコンとドアをノックすると中から優しそうな声が聞こえる。


「どうぞ〜」

「お客様を連れて来たガメ」

「あら、しーくん。お帰りなさい。で、そちらがお客様かしら?」

「こんばんは。わたしはひるね」

「わたくしはマリーですの」

「ニャーはメアにゃ」

「私はキャロです」

「うちはラビ!宜しくね!!」

「ひーちゃん、マーちゃん、メーちゃん、キャーちゃん、ラーちゃんですね。此方こそ宜しくお願いします。わっちは豊玉毘売命トヨタマヒメ。乙姫ですー」

(なんかキャーちゃんは、叫んでるみたいでは?それにラーちゃんは、某ハンターゲームに登場するあのモンスターみたいだね)

「乙姫にゃまは、何か美味しそうにゃ匂いがするにゃ」


 ひるねがどうでも良い事を考えていると、いつのまにかメアが乙姫に抱き抱えられていた。


「あ、あら。そうかしら?」

「すんすん。あら、確かに。この匂い何だったかしら?」

「うちも!すんすん、本当だ!!」

「ちょ」


 乙姫が自分の匂いを皆んなして嗅ぎにくるから、動揺してメアを離す。


「では、わたくしも。すんすん。これは……」

「思い出したにゃ!!蒲鉾にゃ!!」

「あーそういえば、乙姫様って鮫だったようなー」


 みんなで乙姫の匂いを嗅ぎ、最後にひるねの鮫発言を聞いた瞬間。乙姫からぼふんと煙が現れ、煙が晴れるとそこには大きな鮫さんが現れた。


「もー何であたしが鮫だって知ってるのよー」


 一人称がわっちからあたしになり、恥ずかしそうにくねくねする乙姫様。


『隠しクエスト:乙姫の正体をクリアしました。報酬のランクがシークレットに変わります』


「鮫にゃ!」

「かっこいいー」

「もーこの姿。怖くないですの?夫はこの姿を見て逃げ帰ったのよ」

「えーわたしはカッコいいと思いますよ。鮫ってロマンですよね」

「私も怖くは無いですよ。さっきの姿を見てますし」

「わたくしもお父様が骸骨でしたし、今更そのくらいで驚きませんの」

「あらやだーこれはプレゼントを多くしないと行けませんわね!シーくん、あれを」

「は〜い」


 塩椎神しおつちのかみが奥の棚から、1冊の本と羽衣を持ってきた。


「こっちの本はおまけですーで、こっちが本命。挙げるのは貴女が初めてですーあたしが編んだ羽衣です。どうぞ」

「ありがとうにゃ!」


 特殊装飾:【乙姫様の手編み羽衣】海の中でのみ全能力2倍

【サメちゃんズ】装備時スキル

 効果:海の中で呼吸が出来るようになり、海の中に入ると輝きだし、ステータスの数値が2倍になる。ネコザメの霊が2匹現れ、戦闘中敵に腕力と知力を足して2で割った魔法物理攻撃を偶に与える。この装飾は、奪われず、壊れず、譲渡可能。


【本】

 説明:何か書かれているが読めない。

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