第61話 竜宮城へ!行きたかった
「ぴょんぴょん」
「ぴょんぴょんですの」
「2人とも落ちないでねー」
「「はーい」」
マリーとラビは、海岸の岩をウサギのように跳んでいた。
「ひる姉ぇーそろそろ目的地にゃー」
「んー」
ひるねは【觔斗雲】の上で丸くなっており、メアの【カンテラ】がぶら下がっていない尻尾にある紐とひるねの身体を結んでぷかぷかしていた。
「キャローひる姉持ち上げて」
「はーい。ひるねちゃん起きて下さーい」
「みゃーーーん」
ひるねはキャロに前足の辺りを持ち上げられると、信じられないくらい胴体が伸びる。伸び切った所でぱちッと目が開く。
「ん?おはようキャロさん、降ろしてもらっていい?」
「はい」
「すぴー」
「あらあら」
降ろされるとそのまま丸くなり眠りに着こうとするひるね。キャロは頬に手を当てながら首を傾げた後、もう一度ひるねを持ち上げ、メアがサッと【觔斗雲】を仕舞う。
「あーん、わたしのお布団ー」
「みゃっみゃっみゃ。笛も預かっとくにゃ」
「うぐ。いつのまに、はあ……仕方ない起きるよ」
「もう寝ないで下さいね」
「わかってるよ。で、あの2人は何処に行ったの?」
「あら?」
「何処入ったにゃ?」
あたりを見渡し探していると、2人と図太い男の悲鳴が響き渡る。
「「ぎゃー!!」」
「ガメー!!」
「くら〜」
【クラーケン】だと思われるイカの化け物に追われる2人と1匹。
「おっきなイカだねー」
「大きいわねー」
「にゃーん。イカ焼きにするにゃ」
逃げ惑うマリーたちと入れ替わるように、メアが走り出す。その瞳は獲物を狙う狩人の如く、イカを〆る眉間の辺りを【切り裂く】で一線。
「ピギー」
「ふ。またつまらぬ物を切ったにゃ」
「わあー凄い」
「メア姉ちゃん!強い!!」
「助かりましたの」
「危なかったガメー」
2人と1匹はひたいの汗を拭った。
「所でその亀さんは?」
「ん?知らない?」
「分からないですの」
「知らない亀さんと一緒にいちゃ駄目ですよ。2人共」
「「はーい」」
「キャロー焼いてにゃー」
「はーい」
元気に手を上げる2人。亀さんは、お礼と自己紹介を始めた。
「私の名は
「この亀さんが、白虎さんたちが言ってた亀さんだったんだね」
「そうみたいですの」
「では、さっそく……何やら芳ばしい匂いが」
横の浜辺を見るとキャロが【クラーケン】を網で焼いている所だった。
「焼けましたよー」
「にゃー!美味しそうだにゃ!!」
「竜宮城に行くのは食べた後でも?」
「それは全然」
「食べる?」
ラビがイカの串焼きを噛みながら、もう片方にある串を
「宜しいので?」
「うん!一緒に食べよ」
「では、頂きますカメ。はむ!この弾力!流石海の暴君クラーケンカメ!強靭な肉体にほのかな甘み。焦げ醤油の匂いで食が進むカメ!ご婦人!もう一本貰っても?」
「あらあら、お気に召されたみたいですね。はいどうぞ」
「ありがとうガメ!」
「うみゃいにゃー」
「これはなかなか」
「美味ですの」
「ウマイ!」
焼いた側から無くなって行く【クラーケンの串焼き】ものの数分で全てお腹の中へと消えた。
そのまま食後のおひるねタイムと洒落込むのだった。
「ふが。何か忘れてるようなーすぴーZz」
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