第49話 実験開始です!実験動物は主人公?!

「ひるね様」

「「「ひるね(姉)ちゃん」」」

「ふがっ?ここは?」


 みんなの呼ぶ声で起き上がると、其処には一面の花畑が広がっていた。何処までも広がる花畑に一本だけ大きな木が風でゆらゆらと葉を揺らしている。日向ぼっこにちょうど良さそうだとひるねは思う。


「キミはこの状況でも寝ることだけだね」

「ふしゃー!!」

「「「ひゅっ??」」」

「寝る為にこの世界に来てるからね……ってニャル様?!」


 白は毛を逆立て尻尾を狸にし、他3人は顔を青ざめている。


「あれ?何か1匹多いけどまいっか。さて、此処はキミの心の中だよ」

「わたしの中ね〜」

「キミの心って意外と綺麗な……ん?あの奥の方、あれは食虫植物に散らばってるのは拷問器具かな。キミやっぱりそっち系なの?」

「そっち系って何ですか!……まあ、血は好きだし、血抜くとこはずっと見てるけど」

「ゑ?マジですかひるね様」

「ひる姉ちゃんワイルド」

「わたくし眷属になるの早まったかも知れないの」

「まあ、人それぞれですし」


 白は警戒をとく。3人は少し呆れるようにひるねを見る。


「まあ、キミの趣味がどうのこうのは好きにしてって感じなんだけど」

「ちょっ」

「キミたち、あのままだと勝てないよ」


 否定しようとしていたひるねがニャル様の言葉で押し黙る。


「やってみなきゃ分からないでしょ!!」

「それが分かるんだな〜」

「どうしてですの?」

「マリーくんのお父さんが言ってたでじょ【エルダーワイトキング】だって。これを見てみれば分かるよ」


 ニャル様が見せてきた画面を覗くと其処には【エルダーワイトキング】の主な能力が載っていた。


【エルダーワイトキング】

 物理攻撃が効かない。本体は時空の狭間にあり、顕現している身体を殺しても、本体にはダメージが入っておらず、近くのゾンビやワイトの身体を生贄にし蘇る。


 これを見て顔を険しくする4人。


「まあ、キミたちひるねくんとメアくんに上げた魔導書【ニャルデ・ウェルミャス・ミステリニャス・ニャクロミコン】の効果で、無効化を無効にしてるから攻撃自体は通るんだけどさ。でも、彼ってさ自分の魂のごく一部で顕現しているから、どんだけ倒しても殺しきれないんだー」

「お……う……」

「無理ゲー」

「そんなのどうすれば」

「厳しいですわね……」

「でも、何か手があるから此処に隔離したんですのよね?」

「そう。手はあるよ。さあ2択だよひるねくん!」


 2択と聞いて嫌な顔をするひるね。


「そんな顔しないでよーじゃあ先ずは痛くない方法から、①僕の眷属になって次元を超越する。②俺の実験台として手術を受ける。こっちは痛いけど、種族とかそのままだよ」

「ッ!……②で」


 凄い嫌な顔しながらひるねは覚悟を決める。


「クークックック。やっぱりキミはこっちを選ぶんだね〜」


 ニャル様が髪ボサボサの老人博士に姿を変え、手に持った虹色をどす黒くしたような液体の入った試験管が爆発する。

 5人は(うわー)とした顔をしながら、一歩下がった。ひるねは早まったかと少し冷や汗を流すも、口元は新たな力に今か今かと笑顔になって行く。

 それを見て、ニャル様も三日月のような笑顔が釣り上がった。


 一方その頃。現世のアランガント王は、王妃も蘇生したから椅子がなくなり、仕方なく魔法で椅子とテーブルを作って紅茶と菓子を食べていた。


「長いのー」


 もう一方。メアは、キメラ軍団と戦闘中だと云うのにひるねの危機を感じとっていた。


「みゃ?!今にゃんか悪寒が……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る