第46話 アランガント王vs元王女マリー②初めての連携
ひるね一行は作戦を開始した。
キャロママとラビはひるねの影(深淵)の中に身を隠し、フードを冠るマリーの後ろを白とひるねが着いて行く。
「マリーお嬢様如何されましたか?」
廊下を歩いていると老執事が話しかけて来た。マリーが止まったので、後ろにちょこんとお尻を落として座る。
「お父様の所に向かっているのですの」
「陛下の所へ、そうでしたか。只今所用で城内が慌ただしくなっておりますので、お気をつけて……?!」
窓から入ってきた風でマリーのフードが取れる。お辞儀をしていた老執事がマリーの猫耳に驚愕し、目を細める。そして何も言わずに老執事は、ベルトに隠していた暗器を取ろうとする。
マリーは悲しそうに「【魅了】」と口にした。
「ッ?!」
老執事は身体が急に重くなり、マリーに攻撃したくても出来なくなる。そしてマリーの決別の一言。
「自害して下さいまし!!」
「お、嬢様。ぐっ……」
老執事の抵抗は虚しく、自らの暗器で首の動脈を切った。血を噴き出しながら老執事は膝から崩れ落ち床に倒れ、少しビクビクと身体が痙攣したが死亡しポリゴンとなって天に召された。
それをマリーは終始目を離さず見続けた。これがマリーが人生初の自分の意思での殺害だった。
「あはははっ!コレが自分で殺すということですのね!!」
「あは」
「マリーが壊れた」
「ママ、マリーちゃん大丈夫?」
「ん〜どうかしらー」
何かが吹き飛んだのか、マリーは近づいてくる男兵を悉く自害させた。何人かマリーの【魅了】に対抗する男もいたが、その人たちはラビの【聖深淵融合拳】の実験台にされる。
「貴様王女様ではないな!」
「いいえ!わたくしはアラガント国第一王女マリー・アランガント……しかし!その名は捨てましたわ!わたくしはマリー!!この国を滅ぼす逆賊マリーですわ!!」
「マリーカッケー!」
「ック。王女覚悟!!【アランガント流剣技・三日月】!!」
半円を描くように身体を回転させ細剣での一撃がマリーの目前までに迫る。
「凄いですの〜流石にわたくしでは無理そうですの。ひるねちゃん宜しくですの。【緊急召集】【深淵化】」
マリーはレベル20で覚えた【緊急召集】を発動し、ひるねを自分の前に召喚する。
【緊急召集】種目:アクティブ MP:5
効果:近くにいる味方を任意で自分の近くに召喚する。
クールタイム:10分
万が一があると行けないので、【深淵化】でひるねの影に隠れる。
「はいはーい。【液状化】っと」
「はあ!!……ッ??」
男騎士の細剣がひるねを切り裂くが、男は液体か何かを切ったような不思議な感覚に襲われ、一歩下がる。其処に迫るはラビ、その左拳には深淵を纏っていた。
「【聖深淵融合拳】【深淵】【ナックル】!!」
ラビは何人かを殴った時に得た【ナックル】で打撃の威力を少し上げる。
【ナックル】種目:アクティブ MP:10
効果:次に行う打撃攻撃の威力をアップする。
威力は、腕力に依存し、攻撃範囲なども変わる。
クールタイム:5秒
「がは?!」
「?!【脱兎】【深淵化】!ふう。怖かったー」
不意の一撃をもろに受けた騎士は、無理やりな耐性で細剣を振る。その攻撃を寸でのところで避け、ひるねの影の深淵に逃げ込む。
【ひるねの深淵の中】
「おかえりですの」
「おかえりなさい。ラビちゃん、良い動きよ」
「ママありがと!」
何とも平和な世界が繰り広げられる深淵部屋。
「く。貴様たちは何なのだぁーー!!【アランガント流・
時計の形11時から4時に向かって反時計回りの一撃がひるねに迫る。ひるねは避けない。メアの次に信頼している白がいたから。
「【虎咆】!!」
「がは?!」
白の【虎咆】で出てきた虎の霊体が騎士の身体を抑え付けた。
【虎咆】種目:アクティブ MP:80
効果:咆哮を上げると虎の霊が召喚され、相手を押さえつける。自分よりレベルが高いと一瞬しか押さえつけられない。
クールタイム:15分
「じゃあねー【切り裂く】!!」
「くそが……」
「「いえーい!!」」
最後はひるねの【切り裂く】で決着。騎士がポリゴンとなり消えていく。2匹はハイタッチした。
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