第44話 反撃のアランガント

「ふう、うちらの戦力は圧倒的ケー」

「わたくしたちにより、この南門は崩壊したの〜」

「でも、青ばぁーよー。何か嫌なーというかー安心ーするようなー」

「玄じぃも感じるか」


 四神により兵は死に、プレイヤーも数度の死に戻りによりデスペナが凄いことになっており、一時撤退し一息着いていた時。「キッキッキ」と引き攣った笑い声が静かな戦場に響く。


「新手かにゃ?」

「にゃん?」


 メアとニャル子も四神の側に座っており、壊れた城壁から現れたドス赤黒く染まった白衣の女を睨みつける。


「キキ、いやー凄い事になってるみたいだけど、君たちにこの子たちを殺せるかな?」


「「「「?!」」」」


 メラの背後から何十体と現れたのは人。それも獣人と、モンスターを組み合わせたであろうキメラであった。四神は目を見開き、苦虫を噛むように唸り声を出す。


「良くも!我らの民を!!」


 怒るのもその筈、キメラにされた母体の特徴が中に住む白猫人族。緑龍人族。紅孔雀人族。玄甲人族。たちの特徴と一致したからだ。


「キキ。その表情!怒り!憎しみ!ああ♡良い!!」


 身悶えながら身体をくねくねと動かすメラ。


「貴様らは!人の理すら踏み躙るケー!!」

「儂らの家族をよくも!!」

「わたくしたちが貴様らの国の1人たりとも生かさず、殺してやる!」


 何時も穏やかな2匹すら、怒りを露わにし憤怒していた。玄武ですら、普通に喋り出す。


「キキ!人の理?獣人ごときが人族と同等だと?キキ、獣人なんて人にもモンスターにも成れない成り損ない、俺たちの実験や遊び道具にされることこそ最上の喜び!!人族の為に死ぬことをもお望み!キキ」

「クズにゃ」

「殺すにゃ」

「黙って聞いておれば!すまぬ我らの民よ【神雷】!!」


【神雷】種目:アクティブ MP:150,000

 効果:100本もの雷を合わせ1箇所に落とす。物理防御、魔法防御を貫通し相手を一撃で殺すスキル。もし仮に、【根性】などで耐えたとしても、雷の中心部に近い所から、地面を伝わり近くにいる敵に痺呪、痺傷、痺結、麻痺Ⅲ、麻痺Ⅱ、麻痺の状態異常を与える。

 クールタイム:3日


 ※【麻痺】

 15分間手と口以外が動かなくなる。

 ※【麻痺Ⅱ】

 30分間手と口以外が動かなくなる。

 ※【麻痺Ⅲ】

 1時間手と口以外が動かなくなる。

 ※【痺結】

 2時間手と口以外が動かなくなり、アクティブスキルの発動が30%の確率で発動しなくなる。

 ※【痺傷】

 4 時間手と口以外が動かなくなり、1分毎に基礎HPの0.5%のダメージを与える。そしてアクティブスキルの発動が60%の確率で発動しなくなる。

 ※【痺呪】

 HPが全損する。リスポーン後も8時間手と口以外が動かなくなり、アクティブスキルの発動が90%の確率で発動しなくなる。この状態異常は無効化耐性を貫通する。


「キキ!それは知ってますよ【避雷針】」


 ぼそっとメラがスキルを発動させると、【神雷】がメラの元ではなく、城壁上部に突如現れた【避雷針】に当たり霧散する。


【避雷針】種目:アクティブ MP:500

 効果:雷の落ちる場所や雷によるダメージ状態異常を一度だけ肩替わりする。

 クールタイム:1時間


「な?!」

「お忘れですか〜俺はこのキメラちゃんたちの記憶を見ているのですよ?貴方達四神のスキルも、勿論知っているのですよ。知っているという事は、その対策だって出来るのですよ」

「ッ?!」


 白虎が冷静な判断を出来ていれば、その可能性を考えたかもしれないが、早く同胞を助けたいという気持ちが、彼女の判断を誤らせてしまったのだ。


「行きなさい!!俺のキメラちゃんたち!!」


 そして始まる哀しみの戦い。

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