第39話 王城制圧部隊動きます!!
玄武が派手に南側の防壁を破壊したと同刻。ひるね、マリー、白も行動を開始する。
マリーは種族がバレないように、フードを深く被っている。周りの使用人たちは、あまり気に留めていないようだ。自分達に危機が迫っているのだそれどころではない。
「ひるね様どうしますか?」
「んー取り敢えず人質にされないように、獣人さんたち助けようか」
「場所は知ってますの。わたくしが案内しますの」
「ん。お願い」
マリーの先導で城内を歩く3匹。
どんどん下に下がっていき、邪気が漂い始める。石造の階段を降りていく、衛兵は国の危機で持ち場を離れておりすんなりと中に入る事が出来た。
異臭がひどい。白は顔を歪める。マリーは【深淵裁縫】でマスクを作り、ひるねと白にも深淵マスクを渡す。
そこらかしこに転がる、骨、骨、骨。腐った死体らしきものも……
その全てが獣人族。それもほとんどが【中】固有の種族。白猫人族。緑龍人族。紅孔雀人族。玄甲人族。だと分かり、白の脚に力が入る。
「僕たちの民を……」
「今なら分かりますの。だからこそお父様倒し、この国を終わらしますの」
「そうだねマリーちゃん、これから償っていこうね。わたしも付き合ってあげるから」
「はいですの」
気を取り直して奥に進むが生きている獣人が見当たらない。そんな中しくしくと泣くようなか細い声を白が聞き取る。
「こっちから声が聞こえます!!」
「行こう」
「はいですの」
3匹が向かった牢屋は、他の牢屋に比べて綺麗になっており、その中には兎人族の親子がおり、母親は衰弱し、目が虚になっている。娘の方も足に巻かれた包帯は赤く染まりカピカピになっている。
「誰?!」
娘の方がひるねたちに気付き耳をピンッと立たせて威嚇する。
「わたしはひるね。こっちの白い猫が白さん。こっちの黒猫獣人がマリーちゃん」
「助けに来たよ」
「……」
マリーは喋らない。これまで見て見ぬふりをして来たのだ、何と声を掛けていいのか分からないのだろう。警戒するように、ひるね、白、マリーの順で顔を見る兎娘。マリーの顔を見て、目をカッピラき近くに転がっている瓦礫を思いっきり投げつける。
「おまえ!!」
「……ッ!」
「マリー!」
「白くん。大丈夫。わたくしが逃げてはいけないの。受け止めなければいけないの」
頬を掠め血が流れると共に、フードの下の猫耳が露わになる。
「な?!貴様、いつから獣人になった!」
「兎さん。わたくしはこの国を滅ぼす為に、こちらのひるねちゃんの眷属になったの。これまでわたくしの一族で苦しみ、殺された者に許されるとは思いませんの。でも、これから生まれる被害者は減らしたいですの。だから、信じてわたくしたちと立ち上がってはくれませんの?」
「信じ…」
信じきれず、唇を噛む兎娘。
「信じてみましょう、ラビちゃん」
「ママ。動いちゃ」
「私はもう長くないわ。だからどうか娘のラビちゃんだけでも……」
「ママ?!」
力なく横に伏すママさんの手を握るラビ。ひるねは急いで【切り裂く】で鉄格子を切り裂き、ママさんの口に聖水を突っ込んだ。
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