第34話 我儘王女と怒りの白
白は唸るが、周りは気にしない。ひるねは今だに眠り続ける。馬車が止まり、檻を台車に移される。
大きな門を通ると其処は、黄金に輝くお城だった。
兵士の案内でマネマニ一行は王城を我が物顔で歩く。
「マネマニ様お入り下さい」
「失礼するよ」
謁見の間に入り、膝をつき顔を下げる。
「オルグ・アランガント王のおなーりー」
「表を上げるのじゃ」
マネマニ一行は頭を上げる。
「さて、マネマニよ。例の物が手に入ったのじゃな?」
「ははー。此方が王女様のご所望の白虎の息子です。そちらで眠りについている金の猫も、是非、王女様に献上したく、お持ち致しました」
「流石マネマニじゃ、気が効くの〜ほれ、あれを持ってまいれ」
「は、此方に」
王座の横で立っていたメガネの執事が、懐から巻かれた書状を取り出す。
「そちも流石の手際じゃ、ペンを持っておるかのう?」
「此方をお使い下さい」
「此処をほいっと、マネマニに渡すのじゃ」
「は」
書状を持ってマネマニ元へ行き、開いて内容を確認させる。
「2?!20年!!」
「ほっほっほ。これからも頼むのじゃ」
「ははーオルグ王のお心のままに」
「では、此方にサインを」
膝ま付き首を垂れる。
執事が懐から魔法ペンを取り出し、マネマニはそれを受け取り了承のサインを記入する。
「【契約】」
【契約】種目:アクティブ MP:50
効果:契約した者がそれを破ると、破った程度に応じて天罰が降る。最悪の場合死をもたらす。
執事がスキル名を口にすると、巻物が浮かび上がり光る。そして2枚の紙に分かれ、1枚を執事が、もう1枚をマネマニが受け取り、一礼してから王城を後にして行った。
「マリーを呼ぶのじゃ」
「は」
執事が呼びに行くと直ぐにトテトテと走って来る足音が聞こえて来る。
「お父様!!」
「おおマリ〜」
扉をバンッと開けて王に抱きつくマリー。
「手に入ったですの?」
「ほっほっほ。ほれ、其処におるのじゃ」
「マー!!可愛いですの!お父様ありがと!!」
「マリーが喜んで、儂も嬉しいのじゃ。そっちの金の方もマネマニからプレゼントだそうじゃ」
「マー!こっちも可愛いですの!早速部屋で遊ぶですの!お父様ありがとですの!」
「ほっほっほ」
マリーは王にハグをして、マリー付きの待女に2匹の檻を運ばせマリーの部屋へ。マリーの部屋には、これまで飼ったモンスターたちの写真が沢山飾られていた。そのモンスター全て、マリーの無茶により死んでいる。
「ガルル」
白は威嚇する。
「出て来るですの。わたくしと遊びましょう?」
「遊ばない。家に帰してなの」
「喋れますの?!」
マリーの目が見開く。
「僕は四神白虎の息子!白!聖獣なの。だから喋れる」
「わたくしモンスターと喋るのが夢でしたの!でも、家に帰して?ってどうしてかしら?」
キョトンとするマリーに、白は手をたしたしと床を叩き、尻尾もバシンバシンと床を叩いて怒りを表す。
「僕の友達を殺して攫ったくせに!」
「え……」
マリーは言葉が出ない。あわあわとどうしたらいいのか分からず、周りをキョロキョロとしている。
「そうとは知らずにごめんなさいですの……」
「みゃ?」
「すぴーzZ」
マリーが謝って来たので、白は拍子抜けする。
ひるねは今だに眠り続けている。
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