第33話 暗躍する物達

 闇ギルド【アランガント支部】が失敗したせいで、自分の首が飛ぶ可能性が生じ、焦り怒りが露わになるマネマニが居た。


「くそが!高い金を払って雇ったというのに、獲物を逃がすとは!」

「だ、旦那様!!」

「何だ!!」


 メイドがビクビクしながら部屋に入って来る。


「先ほど、王女様のご依頼の1匹と珍しい金の猫を捕まえた者が!!」

「それは誠か!!」

「はい!」

「連れてまいれ!」

「今すぐに」


 メイドは急いで呼びに行く。マネマニは闇ギルドが失敗した事を知った時、直ぐに裏から手を回していた。それが幸を生じた。


「マッマッマ!私の運もまだまだありますねー」


 胸を張って笑っていると、ドアがノックされる。


「連れて参りました」

「マッごほん。入りたまえ」

「はい、失礼します。こちらがその2匹を捕まえて下さったルビア様です」

「マネマニ様、お初にお目に掛かります。只今紹介されましたルビアと申します」

「挨拶は良い!それで本当に捕まえたのだな」

「はい。【ゲージ】」

「おお〜」


【ゲージ】種目:アクティブ MP:不明

 効果:捕まえたモンスターをゲージに入れ異空間に保管出来る。捕まえているモンスターの数に応じてMPが消費され、入れている間は消費したMPが回復しない。割合5匹毎にMP100。


 指をパチッと鳴らすと2つゲージが現れる。白はもう起きており、牙を剥き出しにしながら威嚇している。ひるねは、案の定寝ている。


「素晴らしい!おい。あれをご用意して上げなさい」

「はい!只今」


 パンパンと手を叩くとメイドが出ていき、少ししてからゼニーが積み上がったカートを押して来る。


「お待たせ致しましたー」


メイドが額の汗を拭う。


「凄い金額や!」

「マッマッマ!ルビア殿、助かったからな。ちょっと色を付けて置いたぞ」

「あ、ありがとうございます」


 1匹1千万マニー。2匹分で2千万マニー。其処に特別報酬5百万マニー。合わせて2千5百万マニーがルビアに渡さられる。


「おおきに。それじゃあこっちの2匹をどうぞ」

「マッマッマ。また何かあったら頼むぞ」

「はい」

「お見送りしてやりなさい」

「はい。それでは失礼します」


 ルビアは上機嫌にマネマニ商会を後にした。


「マッマッマ!そんなに威嚇しても無駄だ、その檻の外にある陣は、【仮奴隷陣】。私には逆らえんぞ」

「ガルル!?」

「マッマッマ。ちゃんと機能しているようだのう」


 檻に噛み付こうとしたら、陣から鎖が飛び出し、白の身体を拘束する。高笑いするマネマニの部屋に兵士が慌てて入って来る。


「マッ?!どうした?」

「報告申し上げます!此方に中の四神が接近していると報告が」

(母様)

「まあ、そうだろうな。大丈夫だろう、あの者に連絡しておけ、これから私は王城に向かう!」

「は!」


 正装とお気に入りの宝石を身につけ、メイドと兵士に2匹を馬車に積み込ませ、王城へと向かう。


 場所は変わって荒れた貧民区の奥に先ほどの兵士がやって来た。


「メラ様」

「あー開いてるぞ」

「失礼します!」


 兵士が古びた研究所に入ると、何日もお風呂に入っていなそうで、何かの返り血が付いた白衣を纏う女性がいた。


「で、どうした」

「は!マネマニ様より、伝言であります!アランガントに向けて、中の四神が迫っております。対応されたし!だそうです」

「キキ。そうか四神か、わかった準備しておく」

「は!それでは失礼いたします」


 口が裂けたように三日月型に口元が吊り上がる。


「遂に此奴を使える日がキッキッキ!!」


 バイオ液に浸かる何かの瞼が開く……

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