第32話 特急!白虎〜

 メアとニャル子が移動する背後に強い殺気を感じ取る。


「何か来るにゃ!!」

「にゃんだって?!」


 急停止し、背後に向かって臨戦体制を取る2人。その目の前に現れたのは大きな大きなバス並みの大きさの白い虎だった。


「あの体格、風格、まさしく白虎!!」

「まだ来るにゃ!!」


 背後から青龍と思わしき緑色の龍。朱雀だと思われる炎を纏う孔雀。だいぶ遅れてやって来たのは玄武だと思われる尻尾が蛇で黒い巨大な亀が空を回転浮遊してやって来た。


「白虎や、あの2人から何か感じるケー!」

「我は白虎!そこの2人、我の愛子をしっているな」

「そんなにいやつしては、答えるもんも、答えられんて」

「皆さんー早すぎますよー」


 感情的な朱雀と白虎。温厚的な青龍と玄武。それには出生が関係している。

 朱雀と白虎が子を宿し、白虎の名と能力を継承する。反して青龍と玄武は、長生きの為まだ世代交代をしていない。


「にゃ!中の四神様勢揃いにゃ!」

「迫力すごいにゃ〜」

「して、そこの黒猫。我の愛子の事を知らんか?」


 2人には凄く思い当たる事がある。


「ちょっと待つにゃ、もしかしたら……ステータスメンバーにゃ」


 ブォンと表示されるメンバーの状況。


 2.【ひるね】【指名手配中】【人類国家アランガント】で南門の兵を瀕死にする。白虎の息子白と行動を共にしているが、【睡眠】の状態異常で捕まっている。『緊急クエスト:白虎の息子を白虎に送り届けよう』を遂行中。


「にゃー」

「白虎様!!おそらくニャルのメンバーのひるねんが今行動を共にしていると思うにゃ!!」

「それは誠か!」

「さっきまで、迷子だったにゃ。でも、【アランガント】で捕縛されちゃった見たいにゃ」

「やはり、あそこか」

「ニャーたちも其処を目指してるにゃ!」

「急ぐケー!!」

「巻き込んでしまったようだの〜」

「儂のー甲羅にー乗せて行ってあげるー」

「玄武よ、お主じゃもっと遅くなるだろう。じゃからわたくしの背になるが良いぞ」

「ありがとうにゃ!」

「にゃん!」

「乗ったようだな、我らの愛子と其方の仲間を救出しに!【スキル連同】!【ウィンドガード】!【超特急】!」

「出発ケー!!」


【スキル連同】種目:アクティブ MP:不明

 効果:自身に掛かるスキルを他者にも同じ効果を及ぼせる。1人辺りMP:100が必要。

 クールタイム:10分


【ウィンドガード】種目:アクティブ MP:50

 効果:風の盾を前方に出す。自身の知力分まで魔法攻撃を防ぐ。自身の知力×1秒。

 クールタイム:5分


【超特急】種目:アクティブ MP:500

 効果:スキル使用後の500秒、敏捷が10倍になる。

 直進しか出来ない。

 クールタイム:1時間


 空に浮遊する白虎→朱雀→青龍(inメア、ニャル子)→玄武の並びで、動き出す。何故か玄武だけ回転してるけど。

 感じた事もない速度で視界が進む。それなのに風を全く感じない。


「はえー」

「凄いにゃ!!」


 2人のテンションは爆上がりした。

 尻尾や耳がピンと立ち。ふすふすと鼻息を荒くする。それを玄武が微笑ましく見ている。

 その視線に気づいた2人は玄武の方を見て、あんなに回って気持ち悪くならないのだろうかと思った。


 そんな2人の前の3匹は身体に力が入っていた。


「やはりあの国はダメだな」

「この機に滅ぼしてやるケー」

「先ずは坊やを助けなければ、無事でいてね……」


『緊急クエスト:白虎の愛子の救出戦に強制参加しました』

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