第31話 ひるね追いかけられる?

【アランガント冒険者ギルド】に一枚の指名手配書が貼られる。


「お。何か新しいクエストか?」

「何々?この異界人を生きて捕まえた者に1千万ゼニー!?」

「うわ。ギルドハウスが建てれちゃうわよ」

「金色の猫だな!此奴を捕まえるのは俺だ!!」

「私たちが先よ!!」


 指名手配書を見たプレイヤー達や、npcが我先にとギルドを飛び出して行く。そんな中ぶるぶると震える者が1人。


「此奴は……俺はやめとくよ。もう、猫は懲り懲りだ」


 この騎士はメアに心臓を喰べられた男。名をデット。あのトラウマにより、今は猫と会わない為にこの人類国家アランガントに来ていた。あの戦いで、称号:【心臓を喰われし同志】を獲得し、人種からモンスターデュラハンに特殊進化した男である。


 称号:【心臓を喰われし同志】

 効果:特定npcディオニューソス貴方に同情しております。貴方も僕と同じ目に……

 神呪装飾:【ザグレウスの心臓1/5】を貴方の喰べられた心臓の代わりに移植されました。

 神呪装飾:【ザグレウスの心臓1/5】

【バラバラ人間】装備時スキル

 効果:どれだけバラバラにされようと、心臓を喰われようと、一部でも残っていたらHPが1残り続ける、そして回復する。この装飾は解呪出来ず、種族がデュラハンになる。


「ああ、天気がいいな」


 デットはギルドを後にし、お気に入りの喫茶店を目指して歩き出した。


 一方その頃、ひるねと白は、白の故郷の場所を聞こうとしたら、背後から捕まえられそうになっていた。


「にゃ?!」

「何すんの!」

「へっへっへ。オメエさんを捕まえれば、借金が返せんだよ、悪く思うな〜よ」


 背後から歯の抜けた猫背のおっさんが捕まえに来たので、壁蹴りで交わす2匹。


「逃げるよ!」

「はい!ひるね様!」

「逃がすかよ!」

「「ジャンピングキャットキック!!」」

「ぐふぅ……」


 2匹は逃げると見せかけて、逃げた先の壁を蹴り上げ、そのままの勢いでおっさんを踏みつけ気絶させた。おっさんの上でハイタッチする2匹


「息ピッタリだね!」

「はい!」

「こ……」

「あは、寝てなさい。【尾突】」

「ッ……」

「ふう、これで一件落着!」

「ひるね様。まえ、前」


 ひるねは前を向くと、目が¥マークにしたnpcやプレイヤーがいた。ひるねの笑顔が引き攣る。


「金の猫は俺のものだ!」

「私の者よ!!」

「「みゃ?!【木登り】!!」」


 急いで街路樹を登り屋根の上へ避難する。


「くそ!」

「降りて来なさーい!!」


 追っ手も木を登って追いかけようとするが、時間が掛かりそうだ。その隙に逃げようとした矢先。体操選手みたいな人が壁を蹴って屋根に上がってくる。


「【パルクール】俺からは逃げられねえぜ〜」

「乗ってくださいひるね様!」

「ん。よろ」

「何処へ逃げようと追いかけるぜ〜」


 身体をくねくねしながら迫ってくる男。


「着いてこられるものなら追いかけてみるの!!【超加速】!!」

「な?!……早すぎんだろ」


 男は目で追う事すら出来ず、白は男の横を通り過ぎていった。あの場にいた全員を置いてきぼりにし、一息付く。


「なんなの〜わたし追いかけるられるより、追いかけるほうが好きなんだけど……」

「どうして追いかけってまあ、兵隊さん倒してしまいましたし……ひるね様あれ!」

「な?!ありゃま〜」


 2匹は商人ギルドから今張り出した捕獲賞金の貼り紙に写る白と、冒険者ギルドから張り出されていたひるねの手配書を見て絶句する。


「居たぞ!!」

「やば!」

「ひるね様、飛ばしますよ!【疾風】!」

「お願い白さん!」

「じゃまです!」

「ッ?!またこれかよーー!!!!!!!」


 逃げた先を歩いてきたのは、デット。白が打つかる。その衝撃で遠くの彼方へ飛んでいった。

 その一瞬停止したタイミングで追いつかれ、スキルの範囲に入ってしまう。


「チャンスや!【スリープスモーク】!!」

「あは?!スリープ!それはダメェ〜むにゃむにゃzZ」

「え?!ひるね様!僕がどうなか、し、なく、ては……z z Z」

「しゃあ!この子達は私の物や!!」


 2匹は寝てしまい捕獲されてしまうのであった。

 飛ばされたデットはというと……


「はあ、今日は厄日かよ。俺の頭何処いった〜」


 頭を探して森を彷徨っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る