第29話 中への旅路。 メアとニャル子の場合

「ひる姉とあの鳥探すにゃ」

「了解にゃ!!」


 2匹は円を描く様に移動しながら探索を始めた。それから数刻。2人は息を荒くし、聖水を飲み、桜姫の串で満腹ゲージを回復していた。


「いないにゃ」

「そうにゃ!メアにゃんは、仲間のステータス見れるのかにゃ?」

「にゃ?ステータス?」

「そうにゃ。チーム組んでるならお互いの今の状態が見れると思うにゃ」

「やってみるにゃ。ステータス!チーム!」


 声に反応してチームメンバーの名前などが浮かび上がる。


 1.【ナイトメア】【スターシアン】近郊を捜索中

 2.【ひるね】【捕縛】【人類国家アランガント】に輸送中

 3.【アウローラ】【気絶】【貧乏神の隠れ家】にて、休憩中


「ヤバいにゃ!ひるねん捕まってるみたいにゃん!鳥の子はよく分からにゃいけど」

「【アランガント】に向かうにゃん」


 向かおうとした時、横腹にぶら下げていた魔導書【ニャルデ・ウェルミャス・ミステリニャス・ニャクロミコン】が、浮かび上がり深淵を通って行く。


「にゃんだ?!」

「何かレベルが上がったにゃ」


『ひるねのレベルが5上がりました。HPが25、MPが10、腕力、敏捷、幸運、深淵が10上がり、耐久、知力が5上がりました』


 レベルが60まで上昇する。


『レベル60到達時パッシブスキル:【猫憑】を獲得』


【猫憑】種目:パッシブ

 効果:自身を殺した者に霊体化した半魂が取り憑く。取り憑いたものステータスを半減し、フレンドリーファイアが機能しなくなる。


『闇ギルド所属。ブラック、サーベルを倒しました。ニャルラトホテプに供物が捧げられました。討伐報酬。回復ポーション・中10個、解毒ポーション・強2個、スリープポーション1個、闇ギルドのローブ2個、劣悪な短剣2本を入手しました。ニャルラトホテプが喜んでいます。深淵が濃くなりました。深淵(+10)』


【回復ポーション・中】品質:5

 説明:若い薬師が作った苦い薬水。とても不味い。HPを回復出来る、基本回復量100+品質×10の数値を回復する。

 満腹ゲージ:0%回復 HP:150回復


【解毒ポーション・強】品質:9

 説明:腕利きの薬師が作った苦く無い解毒水。

【毒】【毒Ⅱ】【毒Ⅲ】を完全に回復させる。

【猛毒】【激毒】を90%の確率で回復させる。


【スリープポーション】品質:10

 説明:薬師見習いが作った眠り薬。

【睡眠耐性】が無い物を必ず眠らせる。

【睡眠】15分間眠りにつく。睡眠中ダメージが2倍になり、状態異常のダメージでは起きない。攻撃を受けると起きる。


【闇ギルドのローブ】耐久(+83)装備耐久83

【隠密】装備スキル

 効果:発動すると姿が見えなくなる。音や匂いは消せない。発動中1秒に付きMP:1が必要。

 クールタイム:30分

 説明:闇ギルドが特殊な技術で服飾師に作らせた特殊なローブ。

 譲渡可能。


【劣悪な短剣】腕力(+10)装備耐久30

 装備スキルなし

 説明:見習い鍛治職人が練習で作った短剣。長さや剣が曲がっていたりする。

 譲渡可能。


 魔導書【ニャルデ・ウェルミャス・ミステリニャス・ニャクロミコン】も深淵を通り戻ってくる。


「闇ギルド。何かきな臭いのに巻き込まれてるにゃ」

「ステータスも変わったにゃ」


 2.【ひるね】【迷子中】【人類国家アランガント】近郊で迷子中。白虎の息子白と行動を共にしている。『緊急クエスト:白虎の息子を白虎に送り届けよう』を遂行中。


「白虎にゃ。確か中の虎の都で騒ぎがあって、四神が【アランガント】に向けて進軍を開始したって聞いたにゃ」

「ひる姉、何に巻き込まれてるにゃー」

「取り敢えず【アランガント】に行くにゃ?」

「そうにゃね。ひる姉がこれ以上巻き込まれてる前に合流するにゃ!!」

「鳥の子はいいにゃ?」

「あの鶏は、どうしようも出来ないにゃ」

「そっか。じゃあ、【アランガント】に向けて出発にゃ!!で、【アランガント】ってどっちだったにゃ?」

「え?ニャーも知らないにゃよ」

「仕方ないにゃ、案内してやるにゃ」

「にゃ?!」


【幸運を齎す死神猫の尻尾用カンテラ】から

【霊蒼炎】に宿る猫の魂が現れる。


「にゃーゴーストキャットにゃー!!」

 ニャル子のテンションも爆上がりである。


「そこの彷徨える魂の君、【アランガント】はどっちにゃ?」

「あっち」


 彷徨えるゴーストが指を指す。


「ありがとうにゃ。次の生では良き人生を合掌」

「ありがとう……ございます」


 ゴーストが昇天して行く。

 因みに霊自体は見えていない。


「あっちだって、後は頑張るにゃ」

「あ、うん。ありがとうにゃ」

「にゃ〜ん!もっと喋りたかったにゃー」


 宿る猫様が【幸運を齎す死神猫の尻尾用カンテラ】に戻る。ニャル子は、残念そうに天を仰ぐ。


「置いて行くにゃよ」

「にゃー、今行くにゃ!!」


 アウローラの事は見捨て、2人るひるねの居る【アランガント】に向けて移動を開始した。

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