第22話 表彰式①

「おめでとうございます!!ひるねさん!メアさん!」


 孔雀に似たイベントnpcサクナが、寝転がる2匹の上空から舞い降りる。


「にゃー」

「ん、ありがとうございます」

「お疲れだとは思いますが、お2人には、この後【スターシアン】にて表彰式になります。では!【転送】!!」


 ふわっとした感覚と共に【スターシアン】の噴水広場に戻る2匹。2匹を見て顔を青ざめる人がいる中で、知り合いの人たちは気にせず話しかけてくれる。


「ひるねん!メアにゃん!1位おめでとにゃ!」

「コケー!!勝ったと思ったのに!!でも、おめでと!!コケー!」

「ひるね嬢、メア嬢が、彼のドラゴン殿の【絶対零度】でよく生き延びたな」

「ワン!」

「凄かったわ」

「ああ、色々とツッコミたい所だが、おめでとさん」

「クックック。1位おめでとう、我に勝ったのだから当然だがな!だがしかし、次のサバトでは我が勝つ!首を洗って置くのだな!」

「はいどうぞ。優勝祝いのわたくし特製ビッグ焼き鳥ですの」

「皆さんありがとうございます」

「みゃ!さくら、ありがとにゃ!!」

「メア様。ひるね様。優勝おめでとうございます。私からのお祝いの聖水をどうぞ」

「にゃ?ハゲルトンにゃ。聖水、くるしゅうにゃい」

「有難き幸せ」


 ハゲ神父ことハゲルトンから貰った聖水をぺろぺろ。

 桜姫から貰った鶏肉をハグハグと食べ始めるメア。

 褒めて貰えて嬉しいのか、頬を掻くひるね。そんなひるねの背後に大きな本とペンを持ちやって来る鳩教授と、その背後に隠れる赤と青の忍者夫婦。


「やあ、やあ。ひるねさん。おめでとう」

「あっありがとうございます」

「私は情報屋ギルド伝書鳩ギルドマスタークレラーミュラーだ。皆からは、鳩教授と呼ばれておる。以後お見知り置きを」

「はい。宜しくお願いします。鳩教授さん」

「それでなのだが、君たちが蘇生していたスキルについて教えて貰えないだろうか!!」

「ぅえ?!」

「シャー!ひる姉に近づくにゃ!変態!」


 興奮しながら近づく鳩教授にニャル子と同種の気を感じたメアが、尻尾で串を2本持ちながら威嚇する。


「どうどう、鳩教授」

「すまないでごさるな。鳩教授は、未知のスキルになるとこうなるでござるよ」

「すまない。取り乱した。今後教えても良いと思ったら此方に連絡してほしい、勿論その時はスキルに応じてマニーもだそう」


 フレンドコードが届く、何かに役に立つかもしれないので、取り敢えず登録した。


「機会があれば」

「ああ!それでいい」

「ハグハグ」

「拙者らも良いか?」

「うみゃうみゃ」

「まあ、いいですよ」


 忍者夫婦とも登録した。一息付いた所でサクナが話しかけて来た。


「あの〜そろそろ宜しいでしょうか?」

「にゃ?仕方ないにゃ」

「ひる姉、表彰式にゃ」

「ん、今行く」


 噴水前に用意された特設ステージへと上がる。


「おっほん。それではこれより第13回【スターシアン】新人戦サバイバルバトルロワイヤル表彰式を始めたいと思います」


「先ずはタンク部門と言いたいのですが、1番目立ったタンクさんが、恐怖のあまりログアウトしてしまいましたので、後ほど彼には称号を授与したいと思います」


 あー彼か、と思い当たる人物は、メアに心臓を引き抜かれ喰われた彼だ。


「気を取り直して遠距離部門より、Dr.31さん此方へ!」

「クックック。我呼ばれたり」

「Dr.31さんは、今大会に置いて状態異常のみで数多の異界人を倒しました。貴女には此方の称号:『狂薬師』の称号を授与します」

 称号:【狂薬師】

 効果:特定npc熾天使サマエルが貴女に興味を示しました。いつか貴女が神をも殺す毒となる事を願っております。

 特殊防具:【盲目の眼帯】をプレゼントされました。

 特殊防具:【盲目の眼帯】

薬過毒変やくわどくか】装備時スキル

 効果:左目の視界が無くなる。付けている間スキル【調薬】でのバフポーションの製薬が失敗し、ランダムなデバフポーションになる。デバフポーションの製薬で効果が1段階上昇する。【開眼】する事で、幸運値が付けた期間によって上昇する。この装備は、奪われず、壊れず、譲渡不可。


 早速装備する31。眼帯を付けた事で厨二病度が一段階上がる。


「クックック。我にお似合いの装備だ!」

「カックいいー」


 周りが明らかに優しい眼差しで見守る中、目を輝かせている鶏がいた。


「喜んでもらえたようですね。それでは続きまして近距離攻撃部門より、ぷよっちさーん」

「ぷよ?!ぷよが呼ばれたぷよ?」

「はい!此方へ!」

「恥ずかしいぽよ〜」


 表情が全く読めないグリーンスライムが手?で頭?を掻きながら壇上に上がる。


「ぷよっちさんは、この世界最弱のスライムさんでありながら、準優勝のアウローラさんを巧みなボディチェンジで翻弄し、1デスを奪いました。貴女には称号:【不屈ノ液体】を授与します」

 称号:【不屈ノ液体】

 効果:特定npcヘラクレスが貴方の不屈の精神を讃えています。強気者に挑み、最後まで戦う事を期待している。

 成長武器:【ヘラクレスの盾】をプレゼントされました。

 成長武器:【ヘラクレスの盾】耐久(+121)

【不屈の精神】装備時スキル

 効果:恐怖を抱かせるゴルゴンの顔が彫られている。ゴルゴンの瞳を見た者に【恐怖】を付与。HPが残り1割になると全ステータスが上昇する。上昇率はレベルの数値になる。この装備は、奪われず、壊れず、譲渡不可。


「うわ。すごいぽよ。でも、微妙にぽよのスキルと相性が悪いぽよ」


 ちょっとしょんぼりするスライムちゃんだった。

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