第21話 第13回新人戦最終バトル蘇生合戦

「ふぁー」

「やっと起きたにゃ」

「ん?おはよう」


 ひるねが【睡眠Ⅱ】の効果が切れ起きる。


「それじゃあ最後の1人を探すにゃ」

「アーちゃんは、脱落しちゃったかな〜」

「知らんにゃ」

「もしかしたら最後の1人はアーちゃんかもね」

「どうだろうにゃーピー」


【觔斗雲】を呼び、ヨイショッと乗り込むと、2匹は炎で燃え上がる森に向かった。

 そこにはアウローラが【羽休め】していた。


「コケー全!回!復!!」

「あ!アーちゃん!」

「クケ?あれひーちゃん?最後の1人ひーちゃんだったんだ」

「そうだよ、まあ、わたしだけじゃないけどね。紹介するよ、こっちの黒猫がナイトメアのメア」

「にゃん」

「あーその子が例の!宜しく!」

「宜しくにゃん、鶏肉。じゅるり」


 鶏を見たからか食欲が隠し切れていないメア。

 握手を求めて近づいたアウローラが1歩、2歩、3歩と後ろに下がる。


「ねえ、その子。あたしを食べようとしてない?コケー!!」

「あーメア、ロックバードの串焼き好きだから。多分鳥=美味しい物だと思ってるんだと思うよ」

「にゃん!」

「クケ?!」


 メアが【觔斗雲】から飛び降りるようにアウローラを襲う。


「危ない、危ない。時間も迫ってるみたいだし、喰われるのは勘弁してほしいから!バトルだよ!吹っ飛べ!【突進】!コケー!!!!」


 アウローラが【突進】して来る。

 メアは華麗に避ける。ひるねは【突進】をもろに喰らうが、吹っ飛ばされた先で普通に起き上がる。



「【ラビットジャンプ】にゃん」

「あひん!やったな!メアやるよ!」

「にゃー」

「「【加速】!」」

「【切り裂く】」

「【乱れ引っ掻き】にゃん」

「?!2人同時とかずるいコケー」


 奇跡的に発動した【迷護】が上段から迫るひるねの【切り裂く】を横に逸らす。しかし、下から迫るメアの【乱れ引っ掻き】が39しかないHPを吹っ飛ばす。


「呆気なかったにゃん」

「これで終わりじゃないコケー!!【ファイアーストライク】!!」


【不死鳥】で蘇ったアウローラが、ひるねとメアの視覚外から【ファイアーストライク】を決める。基礎HP320を全損させ倒す。


「油断大敵コケ」

「アーちゃんがね【尾突】」

「コケー?!」


【輪廻転生】で蘇ったひるねが【尾突】で、またしてもアウローラのHPを消し飛ばす。

 ひるねに意識が向いた瞬間、メアは【影移動】で影に隠れ、アイテムボックスから爪研木を取り出し、【爪研ぎ】をし腕力を+10%する。そして【闇属性付与】をする。準備万端である。


「コケー!!まだまだ!!」

「そこにゃ!【切り裂く】!!」

「コケー!」


 蘇生ざまにメアがアウローラのHPを消し飛ばす。

 めげずに蘇り、5回に1回くらいで動きの遅いひるねのHPを【ファイアーストライク】で消し飛ばすアウローラ。遂にひるねたちの魂のストックが尽きる。だが、アウローラも幾度の蘇生のデスペナティで基礎ステータスが軒並み1になっており、装備の追加ステータスしか残っていない。


(このままじゃ勝てない。ひーちゃんたちの蘇生回数も分からないし、こうなったら)


 バレないように近くの炎に蘇生したアウローラは、森に残る炎を食べ始めた。


【炎袋】種目:パッシブ

 炎を頬袋に貯める。それをMPに変換出来る。貯めたMPを使用し、2倍のMP分を消費するとその魔法攻撃の威力を倍にする。


「どこ行ったにゃ?」

「どこだろうね?」


 メアは内心焦っていた既に魂のストックが無い。あまりにもひるねが攻撃を貰ったからだ。これなら寝ていて貰った方が良かったのでは?と思うほどである。取り敢えず何処から来ても良いように【蓋が破壊された封印されし宝箱】を取り出し、それに入る。


 そして遂にアウローラが姿を現す。頬袋が激しく燃えていた。


「ひーちゃん、メア。これで終わりコケ。炎をMPへ!【竜魂ドラゴンソウル】解放!!おいでませ!クーちゃん!!」


 竜紋が左目に現れ、近くの木が凍る。アウローラの前にクエレブレが召喚される。


「ん?」


 呼ばれる事はないと思っていたクエレブレが、魚をもぐもぐしていた。呼ばれた事に気付き、急いで魚を飲み込むと咳払いをし、名乗りを上げる。


「わ、我はクエレブレ!氷の地底湖に棲むドラゴンである!喰らうが良い【絶対零度】」


【絶対零度】種目:アクティブ MP:100,000

 効果:半径10kmを全て凍らせ、範囲内にいる全ての生き物に近い順から凍呪、凍傷、凍結、氷Ⅲ、氷Ⅱ、氷

クールタイム:1日


 ※【氷】

 15分間敏捷が-20%になる。

 ※【氷Ⅱ】

 30分間敏捷が-40%になる。

 ※【氷Ⅲ】

 1時間敏捷が-80%になる。

 ※【凍結】

 2時間敏捷が0になる。

 ※【凍傷】

 4時間敏捷が0になり、1分毎に基礎HPの1%のダメージを与える。

 ※【凍呪】

 HPが全損する。リスポーン後も敏捷が8時間0になる。この状態異常は無効化耐性を貫通する。


 視界やモニター全てが真っ白になり、視界が戻るとフィールド一帯が氷の世界とかす。


「アーよ、また後でな」

「コケー!!ありがと!ばいばーい!!」


 アウローラが翼を振ると、氷を滑るように帰っていった。誰もが、この映像を見て、今度こそアウローラの勝ちを確信していた。

 翼を振るアウローラの背後で凍っていた蓋の外れた宝箱が崩れ落ちる。其処から現れるは2匹の黒と金の猫。

 2匹は【蓋が破壊された封印されし宝箱】の装備スキル:【身代わり】で【凍呪】を肩代わりした。無効化は出来ないが、呪いの矛先を【蓋が破壊された封印されし宝箱】に変更し、耐えたのだ。


「「【加速】!からの!」」


 その声で振り向いてしまうアウローラ。


「【切り裂く】!!」

「【乱れ引っ掻き】にゃ!!」

「コケー……」


 振り向かなければ【迷護】で防げたのに、アウローラはすっかり忘れて首を刎ねられてしまう。周りの炎が全て氷になっており、蘇生先が存在せず、アウローラは死んでしまった。


『サバイバルバトル終了!!』


 アウローラが消えると同時に上空に現る終了の文字。2匹は安堵し、ぐで〜と横になるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る