第20話 炎の鶏vs変幻自在のスライムちゃん
「ぷよ」
「コケー!!」
出会ってしまった1匹と1羽。お互いに迷ってしまったことで、生き残った者。出会ったからには戦闘は必然。
「【ファイアーボール】コケー!!」
初期に覚えていた炎魔法を放つ。スライムちゃんは、ぽよんと跳ねると、スライムボディのカラーが水色に変化する。
「【ボディチェンジブルー】ぽよ!」
「コケー?!」
【ボディチェンジ】種目:アクティブ MP:10
効果:プロテアンスライム専用スキル。同族のスライムを捕食する事で、捕食したスライムの姿になる事が出来、その耐性が変化する。
【捕食】種目:アクティブ MP:100
効果:対象を捕食し、相手を溶かすスキル。1分経過で死亡する。相手は体内で暴れる為、全ての攻撃が急所扱いとなりダメージが1.5倍になる。捕食している間、相手のMPを毎秒5づつ吸い取る。
しかし、耐え抜いて相手を倒した場合、プレイヤーでなければ、スキルをランダムで1つ獲得出来る。
2回目以降はスキルを獲得出来る確率が下がる。
炎が水に当たるようにジュッと消滅する。
「効かないぽよ!次はこっちからぽよ!【スパイダーネット】!」
「コケー!!動けない!!」
【スパイダーネット】種目:アクティブ MP:不明
効果:蜘蛛の巣を飛ばし、普通の糸より丈夫で炎に強い糸で身動きを取り辛くする。破られたり、燃やされたりする事で抜け出せる。蜘蛛の巣1つに付き、MP:20を消費する。
蜘蛛の糸のような物で、動きを封じられたアウローラは焼けくそ気味に【ファイアーストライク】を放つ。
「【ファイアーストライク】!!クケー!」
「ぽよ?!何なのその火力」
【
糸が燃え、木々が燃え。灼熱地獄とかす、クエレブレがモニターの外でヒレをバチバチと地面を叩いて笑っている。それを見ている門番は、いつ攻撃されるのかビクビクしていた。
「コケー!!!」
「やべ!」
ぽよんと避けようとするが、少し掠るだけで【炎耐性】を貫通する。炎を吸収出来るであろう、レッドスライムを捕食していない事に、自分自身を怨む。取り敢えず【放水】で少しでも炎の勢いを抑えようとするが、焼石に水である。
【放水】種目:アクティブ MP:不明
効果:MP:10につき1Lの水を放つ。また、アイテムボックスに入れていた水がある場合、その水を利用して放水する事も可能。その場合はMPを消費しない。
「一か八かぽよ!【HP変換】【ボディチェンジロック】【捕食】!」
スライムちゃんが跳び上がり、これまで【貯食】で貯めに貯めたHP合計1,000。【MP変換】でHPを半分消費し、その分MP回復し、MPが上限を突破する。
【HP変換】種目:アクティブ
効果:自身のHPをMPに変換出来る。
【貯食】種目:パッシブ
効果:HPが残っている場合に食べた食料の回復分を予備HPとして貯める事が出来る。上限は1レベルにつき50まで。
「燃えろーーーー!!!!」
捕食しようと飛びかかって来るスライムちゃんに向けて【目覚まし咆哮】を放つ。スライムちゃんは選択を誤った。魔法耐性を捨て、物理耐性が上がるロックスライムの物理防御を無効化した。
そして岩の皮膚も溶け始める。
「く?!最終奥義ぽよ!【膨張】!!」
【膨張】種目:アクティブ MP:不明
効果:MP:30を消費する毎に自身の体積が倍になり、重さも倍になる。
ぶくぶくと泡立ちスライムボディが倍に倍に膨らんでいく。
「コケー!!!」
アウローラは迎打つように、気合いを入れるが膨れ上がったスライムボディに押しつぶされ、HPが底をついた。
「勝ったぽよ〜」
気が緩み元のグリーンスライムに戻る。HPも既に3割を切り、MPはアウローラを捕食した事で回復したがそれでも残り半分。この状態で残りのプレイヤーを倒すのは不可能に近い。
「コケー!!【ファイアーストライク】」
「な?!」
燃える木から【不死鳥】で蘇った鶏が姿を現す。そのままスライムちゃんを轢き殺した。
「クワったー【羽休め】」
アウローラは一息付くのだった。残り2匹。
最後の戦いが始まろうとしている。
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