第16話 ドラゴンの上の鶏。再会?
「目標蒼いドラゴン!魔法隊!!構え!!」
「「「「雷よ、落ち」」」」
「コケー!!!」
アーサーが指揮をし、その場にいた魔法使い関連のジョブに付く人たちに攻撃の構えを取らせる。
鱗の色から水属性と判断した魔法使いたちは、【サンダー】の詠唱を始め狙いが射程に入るのを今か、今かと待つ。
後少しというとこで、1羽の赤く燃える鶏が蒼きドラゴンの頭上に現れる。1人の魔法使いが、アーサーの放ての号令の前に、その鶏に向けて、【サンダー】を放つ。上空で待機していた幾つもの雷が、その魔法に釣られるように鶏に落ちる。
「ろ。【サンダー】!!」
「コケー!?」
「ふぎゃ」
【サンダー】は【迷護】の2分の1を引き当て、アウローラの横を通りすぎる。
「え?外れた」
「テメエ!先走ったくせに外すんじゃねえ!」
「ごめんて」
「どうすんのよ!」
「次の魔法なんて間に合わねえぞ!」
「私なんてもうMP0よ〜」
実は後ろに乗っていた迷わし神にヒットしていた。丁度クエレブレの背後で見えなかっただけ。
正直、幸運-666のアウローラが1/2の確率を引く事はリアルラックすら無いアウローラには不可能に近い。偶々近くにアウローラよりも、幸運値がマイナスの神様が居たから、不運がそっちに飛び火したにすぎなかったのだ。
奇跡的に生き延びたアウローラは、大きく息を吸い全力の【目覚まし咆哮】を咆哮する。
「攻撃しないで下さーーーーい!!!!!!!」
耐性のある者以外のステータスが軒並み下がり、1匹だけいた元々耳が無いスライム以外の人達の耳がキーンとする。そのスライムはというと、咆哮の声圧で背後にあった壁に衝突していた。
近くのプレイヤーが大丈夫か?と安否を確認すると、大丈夫大丈夫と粘液状の手?を振っている。
アウローラの声に反応したのは、少し遅れてやって来たひるねだった。
「よっと。あーちゃん!!」
「コケ?!あ、シーじゃなかった、えーとひーちゃん!!昨日ぶり!!」
「うん。昨日ぶりだね。それよりそのお乗りになられているドラゴン?、ネッシーさん?はどちら?」
「この子?クーちゃんって言うの、2日前に友達になったの!!」
「アーよ、儂をクーちゃんて呼ぶのは勘弁してくれんか?」
「いやー!クーちゃんは!クーちゃんなの!コケー!!!」
「ぐうぅー」
「諦めるのじゃ、クエレブレよ。この子は強情じゃぞ」
「そうだったな」
再会を喜び合う2匹、1匹はマザーに認められた猫、もう1羽はドラゴンらしき者と友達とか言う鶏。
その背から何故か杖をついたおじいちゃんまで降りて来る者だから、みんなパニック状態。
「ひるね嬢、あの鶏嬢とその下のドラゴンについて、教えてくれないか!!はあ、はあ。遂に、遂に遂に!ドラゴンを発見したプレイヤーが!!出来るなら俺が見つけたかった!!だが!念願のドラゴンなんだ!!是非とも俺に紹介してくれないだろうか!!」
「え?貴方、ちょっと怖いんですけど」
さっきまで前線でカッコよく指揮を取っていたのは何処へやら。友好的なドラゴンと聞いた途端、目の色を変えてアーサーはひるねに迫る。ひるねは1歩2歩と後ずさる。
「シャーひるねに近づくにゃん」
「すまない。取り乱した、まずは自己紹介から、俺はアーサー・ドラグナイト!!ギルド白竜騎士団団長!であり、ドラゴンに乗り空を飛ぶ事を目指す者!!」
全然、落ち着きを取り戻せていないアーサー。黄金の大剣を地面に刺しにかっと笑う。
『正午になりました。ログイン中の参加者を強制転移します』
ひるね、アウローラを含めた初心者プレイヤーが全員特別サーバーに飛ばされてしまう。
残されたのは観客で来ていたその他大勢と、決めポーズを決めたアーサー。それを見て腹を抱えて笑うニャル子。
「あ」
「にゃははは!!!アーサー、タイミング最高にゃん!!」
「まあ、ドンマイ」
「ワン」
「そんな時もあるわよ」
「お前ら慰めるなら笑うな!!」
ドレッドたちが励まそうとするが、ぷるぷると肩を上下に揺らしていた。そして耐えきれなくて笑い出す。
「我帰っていいかな?」
「どうしたもんかの〜」
アウローラが連れて行かれてしまい、どうしたものかと悩むクエレブレと迷わし神。
「取り敢えず此処からでも見えそうじゃし、あの子の勇姿見ていくかのぉ」
「そうだな……」
クエレブレと迷わし神はその場に横になり、アウローラ観戦を始めた。
アーサーは、近くにドラゴンがいる者だから、気が気じゃなくずっとそわそわしながら、後ろを振り返る。友人に引き摺られながら、広場に戻っていった。
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