第15話 【スターシアン】にドラゴン襲来!! 後、少し掲示板回

 時刻は土曜日正午少し前。

【スターシアン】に新人が集まっていた。遠くまで行っていて帰ってこれない新人もいるが、見えるだけでも100人はいそうだ。

 そこに転移場所である噴水から続々と、明らかに初心者じゃないプレイヤーも来ている。

 今回は、何故か上級者プレイヤーが多い。それは、昨日起きた世界の言葉マザーによる物が大きいだろう。


【始まってから】FWオンライン総合攻略スレ【1年】

 1.名無しの異界人

 ここは総合スレです。

 ルールとマナーを守りましょう。


 333.名無しの異界人

  あー明日の初心者イベ見に行く奴いるか?


 334.名無しの異界人

  俺は行くぞ!おも知れえ奴がいるかも知れないしな!


 335.串刺し料理人

  わたくしは、もう来ていますの


 336.名無しの異界人

  串焼き売ってるの?じゃあ、私も行こうかしら、クエストもひと段落したし


 337.FWOの母

『このFree World onlineの世界に異界人名ひるねのスキル【夢遊病】が覚醒し、初の個としての人格を獲得した事を此処に祝福致します。異界人ひるねに【パラケルスス】の称号を授けます。最初の錬金術師として、特殊装飾:【錬金生命体ホムンクルス金の猫】をプレゼント致します』


『全異界人へ、この世界は自由な世界です。npcと良好な関係を気付いて結婚してもよし、悪道な道に進むもよし、新たな生命体を生み出すもよし、彼女みたいに寝てもいいのです。何をやっても良いのです。何をしようとマザーは止めません。偉業を成し遂げた者には、今回のようにプレゼントを与える事もあるかも知れません。どうかこの世界では自分を抑えないで下さい。マザーは貴方達を見守っています』


 337.名無しの異界人

  ?!


 掲示板が何事だ!と、凄い速度で進み。誰かこのプレイヤーの情報をと、お祭り騒ぎである。


 457.串刺し料理人

  起こった場所は、【スターシアン】ですの。というか、わたくしのお客さんですの。その方


 458.名無しの異界人

  はっ?!【スターシアン】てことは、このひるねとかいうプレイヤー、初心者なのか?そんなわけ無いよな?俺たちが1年プレイしたのに、こんな事なかったんだぞ、そんなこと……


 459.戦場カメラニャン

  にゃっはっは!ひるねんは、初心者にゃ!!まだ初めて2週間くらいのヒヨッ子だにゃん!!まあ、そのヒヨッ子に出会いがしらにキルされかけたにゃんけど


 460.黄金騎士

  ほう。てことは、明日のサバイバルに出るのか、これは観戦しに行ってみよう


 461.名無しの異界人

  これは嵐が起きるぞ


 この後、適当な雑談が続く。

   

 屋台広場では、桜姫が既に屋台を出して長蛇の列を作っており、そのお隣では桜姫に肖ろうとチア服の少女が相棒のゴリラと一緒に、飲み物を売り歩いていた。

 少女から買えた物は、幸せそうな顔をしていたが、相棒のゴリラから購入した者は、なんとも言えない顔をしていた。

 他にも所々で屋台を開き、売る者。久しぶりに会ったな、最近どうよと話すプレイヤー。

 人が多い事に戸惑って、あわあわしているプレイヤー。街中を歩く大きな盾を担ぐスライム。まあ、さまざまなプレイヤーがいる中で、異質なプレイヤーが1人。


「クックック。今宵のサバトの主役は我だ!!この新薬で、小童共を恐怖のどん底に落としてやるのじゃ!」


 赤い瞳を輝かせながら白衣をはためかせる中学生くらいの少女。下は、真っ暗な服を着ており、手には色々なカラーの液体が入った試験管を持っていた。

 周りは、少女の事を何故か生暖かい目で見守っている。


「ニャー」

「zZ」


 個性豊かな人がいる中、もっとも視線を集めているのは2匹の黒猫と金の子猫。教会の時計塔の上で、へそ天でお昼寝している。


「あいつか?」


 黄金の騎士がニャル子に聞く。


「にゃん?あーアーサーにゃん、ほんとに来たのにゃね」

「ああ、流石に気になったからな」

「そっか〜」

「で、あいつが例のマザーが言っていた初心者なのか?」

「そうにゃん!黒猫が人工知能生命体のメアにゃん、金の子猫がプレイヤーのひるねんだにゃ」

「ほう」


 金色の騎士アーサーが殺気を向けてみる。

 メアが反応してのそりと起き上がり、アーサーを凝視しする。


「むな」

「?!ピー!!」


 見つめ合う横でひるねが寝返りをうち、時計塔から落下し始める。メアは急いで【觔斗雲を呼ぶ笛】を吹いて、ひるねの下に【觔斗雲】を滑り込ませキャッチする。

 ひるねは助けてもらった事も知らずに、すぴーすぴーと寝息を立てている。


「にゃー」


 と、安堵し、ふと金色の騎士の方を見るとそこにはニャル子だけが立っており、ニャル子もひるねが無事で良かったと、胸に手を置いていた。


「ふにゃ?何かあーちゃんの気配がする」

「んにゃ?」


 急に起きて素っ頓狂な事を言うひるねに呆れていると、城門の上に備わっている物見櫓からカンカンカンカンと大きな音がなる。

 何だ何だと?慌てだす。門番の人が大声で叫ぶ。


「敵襲!!敵襲!!ドラゴンが波に乗ってやって来るぞ!!」


 緊急クエストか?!と、ワクワクする上級者プレイヤーと、ドラゴン見てみたいと興味津々なプレイヤー、急げ逃げるぞ!と逃げ惑うnpc、城門を急いで閉めようとする警備隊。

 プレイヤーは鐘が鳴った城門の上に登り、npcは逆の城門に荷物を抱えて逃げていった。

 2匹は、好奇心に押され鐘の鳴った城門へと向かう。

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