第14話 迷鳥アウローラと迷わし神② 急げ大会が始まるぞ!!

 神と1匹はまだ彷徨っていた。


「ねえ〜おじいちゃん、此処どこ?」

「ほっほっほ。何処じゃろうな〜」


 前回は南の孤島にいたのに、今は極寒の地にいた。

 迷わし神の結界で寒さを無効化しているが、少しでも離れたら一瞬で凍死する。そのレベルの場所にいた。


「迷ってても仕方ない!!取り敢えず行くしかないよね!!」

「ほっほっほ、急ぐと滑るぞー」

「大丈?!コケー!!!!!!」


 雪の下にあった氷でツルンッと滑り落ちて行く。迫るはまたも崖。崖にとことんまで縁があるアウローラ。


「ヘルプー!!」

「ほい。危なかったのー」

「コ、コケー。ありがとー」

「あ」

「え?コケー!!!結局落ちるのねー!!」


 迷わし神の足元が割れ、そのまま崖下まで落下して行くアウローラ、迷わし神の方が重いので先に落下して行く。


「脚に捕まって!!」

「はいよ」

「くー!!コケー!!!」


 身軽に脚に捕まった迷わし神の重さで落下スピードが増すが、どうにか地面に着くまでには【滑空】でスピードが軽減され落下ダメージを無効化した。


「ふー疲れた」

「助かったのじゃ」


 一息付いた時、目の前の壁が崩れ落ちる。

 すると洞窟が現れた。


「行く?」

「そうじゃのう〜この高さは登れんしのう」

「じゃあ行くしかないね!!」


 洞窟に脚を踏み入れると、天井から水滴が一滴落ちる。


『隠されたドラゴンの住処の1つクエレブレの洞窟を発見しました』


「え?!」

「貴様は何ものだ」


 ドラゴンと?驚いていると、地底湖を囲むように蒼炎が灯る。目の前に現れたのは、ネッシーのような見た目をしており、瞳は紫で全身は鱗で覆われていた。


「わしは迷わし神じゃ」

「あたしはアウローラ、アーちゃんって呼んでね!」

「貴様、馴れ馴れしいな。」

「ドラゴンさんが聞いて来たんじゃないか!ふん!」

「我相手にその態度良いぞアー。我はクエレブレ、強気な雌は好きぞ」

「そんな好きとか恥ずかしい」

「ほっほっほ。青春じゃのう〜」


『プレイヤーの中で初めてドラゴンに遭遇し、好かれました。称号:【混沌の導き手】を授与しました』

 効果:混沌npcドラゴンの1匹クエレブレが、貴女に好意的な気持ちを抱いております。友好を結んだ者を導き、共に世界を旅しましょう。

 混沌武器:【竜魂ドラゴンソウルの瞳】に呪われました。左目を犠牲にして下さい。


「コケー?!痛い、痛い、いたい、あたしの目がーー、目がー」


 混沌武器:【竜魂ドラゴンソウルの瞳】腕力(x×100)MP(x×300)

 効果:この装備は外す事が出来ない。友好を結んだドラゴンの分だけ、混沌武器は混沌を集め腕力、MPが上がります。(Xはドラゴンの数である)

 混沌シリーズ所有者は、他の呪いに呪われない。

 MP:666を支払い【竜魂ドラゴンソウル】解放と叫ぶと、友好を結んだドラゴンが瞳から現れ、大技を放つか、大技を放たない代わりに一緒に戦闘してくれる。


「終わったようだな」

「終わったようじゃのう」

「もう痛くしない?」

「ああ、これでアーと我はリンクした。魂の力(MP)を支払えば何体でも呼べるようになるだろう」

「ドラゴン軍団、かっカックいい!コケー!!!」


 テンションが上がってピョンピョンと泉を走り回る。そこにひるねからメッセージが届く。


『わたしも本格的に遊び始めたよ、あーちゃんは今何処にいるのかな?明日は【スターシアン】で新人戦で会えるのかな?わたしは、今【スターシアン】にいるから、イベント終わった後にでも打ち上げしない?桜姫さんの鳥串もあるよ』


「こ、コケー!明日は新人戦だったの忘れてた!!一応此処からでも参加出来るけど、あーちゃんと打ち上げしたいよー」

「どうしたのじゃ?」

「明日までに【スターシアン】に戻らないと行けなくなったの!!」

「【スターシアン】か懐かしい所よな。アーよ明日までに戻れそうなのか?」

「無理!!今此処が何処かも分からないし、2日前まで南の孤島にいたんだよ。絶対明日までに辿り着かないよーもーどうしよう!コケー!!!」

「仕方ない奴だな。アーよ、今回だけだ【スターシアン】まで送ってやる、我の背に乗るがいい」

「え!いいの?!」

「ああ、早よ乗れ。そこの神もついでだ乗れ」

「やったー!!ありがとう!!」

「ほっほっほ。助かるのじゃ、よっと」


 1羽と1人が乗ったことを確認するとのそのそと歩きだし、氷の上を滑るように加速しながら、遠くの方にあった崖に行くための坂を登る。

 登り切るとクエレブレは、津波を背後から出し速度を増して行く。


「めっちゃ早ーい。コケー!!!!!!!!」

「ふぉっふぉっふぉ、これは凄いのう」

「アーよ大会なのだろう。寝てても良いぞ、おまえさんたちの時間で昼前くらいには着くだろうから」

「クエくんありがとう!!お休み!!スピーzZ」

「寝着くの早いな」

「ほっほっほ。人生を精一杯生きておるからの〜」


 眠るアウローラを落ちないように迷わし神は支える。ドラゴン1匹鶏1羽と老人1人は【スターシアン】に向けて出発した。

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