第8話 夢遊病スターシアンへ
【夢遊病】は無事?に【スターシアン】に到着した。移動途中、天気が曇りになったりしたり、【スライムバードゼリー】が400個もあったのに、残り10個になったが、どうにか到着した。
【スライムバードゼリー】を200個食べた時。
『生きる残る為に、同じ物を200個連続で食べるプレイヤーが現れました。称号【
効果:特殊npc
特殊装飾:【
特殊装飾:【
【生命の煙】装備スキル
効果:アイテムボックスにあるHP回復アイテムを、飲食しなくても煙に変換し、煙管で吸い回復出来ストック出来る。漂う煙には一定時間防壁を張り魔法攻撃を肩代わりする。防壁にはHPゲージがあり、そのHPゲージは回復アイテムの回復数値である。注意、満腹ゲージは回復しない。この装飾は、奪われず、壊れず、譲渡不可。
「なんだろうあれ?」
「雲?の上に宝箱?」
「見て、猫が入ってるみたいだよ」
「寝てるみたいだけど、これプレイヤーだよな?」
「何で煙管吸ってんだ?」
門に近づくとプレイヤーや、門番のお兄さんnpcに囲まれる。一人様子のおかしいプレイヤー。何故か息が荒く近づく、猫耳を生やす獣人プレイヤー。
「はあ、はあ、何にゃこの種族、猫にしては大きいにゃ」
そのプレイヤーは手を伸ばし、ひるねを触ろうとする。【夢遊病】は自身が感じた身の危険に従って、【尾突】を放つ。レベル50の【尾突】を避けられる訳もなく、獣人プレイヤーを吹っ飛ばす。
「ぶにゃ?!」
獣人プレイヤーはパッシブスキル【根性】でHPが1残った。
「この猫さんヤバいにゃ、今の一撃目で追えなかったにゃ。それにHP全損とかヤバすぎるにゃ」
「マジか」
「ニャル子って、モンスターを撫でたり愛でたりする為に、敏捷特化だったよな」
「そのニャル子が攻撃を避けられ無いどころか、見る事すら出来ないとは……ごくり」
「てか、寝てるのに何で攻撃出来てるんだこの猫プレイヤー」
※ニャル子
ギルド:もふ獣騎士団ギルドマスター
FWOの全もふもふを観察し、触りたいという獣人プレイヤーが集まるギルド。
そこのギルドマスターでレベルは30
攻略組の最高レベルが現在60後半である事を考えると、中堅層のプレイヤーではあるが、回避力だけならトップ層に勝るとも劣らない。
見た目は黒猫耳赤い瞳のアサシン獣人である。
周りを囲んでいたプレイヤーやnpcが一歩後退る。
「にゃ、とおっても?」
【夢遊病】は【スライムバードゼリー】を食べ過ぎて、不機嫌だった。途中から煙で吸っていたとはいえ、同じ味はもう嫌。
【夢遊病】に備わっていたAIのレベルが上がり、辿々しく喋り始めた。ひるねは、今も気持ちよく寝ている。
「どうぞどうぞ」
「こちらの水晶に触って下さい。何もなければそのままお通り出来ますので」
【夢遊病】が聞くと、プレイヤーがモーセのように一斉に左右に避け、道ができ、急いで門番npcのお兄さんが水晶を用意する。
「にゃ」
「はい。犯罪履歴はありませんので、お通り下さい。ようこそ【スターシアン】へ!」
水晶はカルマ値を測定するアイテムである。
みんなが見送る中、現在一生懸命回復ポーション・弱を飲んでいたニャル子は、急いで後を追う。
「絶対逃さないにゃ」
ニャル子は、【隠密】を使ってひるねの後を追う。近づ、離れずの距離を保ちつつひるねを観察する。
【隠密】種目:アクティブ MP:不明
効果:発動すると姿が見えなくなる。音や匂いは消せない。発動中1秒に付きMP:1が必要。
クールタイム:30分
「ニャルほど。お魚さんが食べたいのかにゃ」
ひるねは寝ている為、満腹ゲージは全然減らないが、それでも長い間何も食べていなかった為、満足ゲージが残り三分の一まで減っていた。調理していない【スライムバードゼリー】は満腹ゲージが回復しない。
【夢遊病】は【
その姿にキュンキュンして、胸を抑えるニャル子。
我慢できず、ひるねの前に姿を現す。
「しゃー!!」
さっきの奴だと思い、全身の毛を逆立て威嚇する。
「さっきはゴメンにゃ、お詫びにこの焼き魚奢ってあげるから許してにゃ」
「さかな、くれる?」
【夢遊病】は尻尾をピンとし、閉じていた金色の瞳を見開く。それにキュンとし、胸ぐらをグッと握るニャル子。
「ニャルに任せるにゃ!へい!大将、このアユをくれにゃ!」
「はいよ!今焼くからちょっとまってな」
大将は生け簀の中から、アユを取り出し、迷いの無い包丁捌きで、ハラワタを取り出し、軽く塩を振りかけ、炭火でじっくりと焼く、それをふすふすと見つめる【夢遊病】。それを後ろで目をギンギンに輝かせながら観察するニャル子。そんな二人に見られているからか、ちょっと気まづそうな大将。
「お待ちどう!熱いから気を付けなよ」
【鮎の塩焼き】品質:3
説明:新鮮な鮎を手際よく捌き、炭火でじっくり焼いた逸品。
満腹ゲージ:35%回復 HP:100回復
「わかってるにゃ!これはお代にゃ」
ニャル子はぷんぷんしながら、300マニー渡す。
席に座って手招きするニャル子。
食欲に負けた【夢遊病】は【蓋が破壊された封印されし宝箱】をアイテムボックスに仕舞い、【觔斗雲】も消す。そしてヒョイと席に座るが微妙に机に届かない。
「にゃうー」
「ニャルの上乗るかにゃ?」
「うー」
【夢遊病】は迷う。記憶に新しいのは、先程襲われそうになって反撃した記憶。
ふと思う。
(こいつ、よわかったな)と。
迷ったが、食欲には勝てなかったようだ。
「わかったにゃ」
(にゃ〜♡冗談だったのに乗ってくれたよ、うわ、どうしよう……でも触ったら、絶対嫌われるよね)
ニャル子は生殺し状態で、動かないようにし続ける。そんな事とは知らず、【夢遊病】は焼きたての魚を見つめる。尻尾が左右にゆっくりと揺れ。
魚をしっかりと眺めた後、【夢遊病】は本能に従って魚を前足で抑え、齧り付く!!
「ん?!」
「ん?」
【夢遊病】は噛み付いたまま止まる。尻尾や耳はピンッと立つ。
「んみゃーーーー!!!!」
「わ?!びっくりしたにゃー」
「んみゃ、んみゃ」と、言いながら魚に噛みつく。
【夢遊病】の二又に分かれている尻尾が激しく揺れ、ニャル子の頬を往復ビンタする。町の中じゃ無ければ、ニャル子は確実に死んでいただろう。でも、ニャル子は幸せそうだった。
「けぷ。まんぞくにゃ」
【夢遊病】は一匹まるまる食べ終わり、余韻を楽しむように、肉球についた魚汁をペロペロと下で舐める。二又に分かれた尻尾は、ハートの形を作っていた。その後ろで椅子に徹していたニャル子は、尊死した。ついでに【夢遊病】はお持ち帰りように10本買ってもらった。
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