第4話 ひるね目覚める?

 朝。ひるねことシエスタは、とても晴れ晴れとした気持ちで目が覚めた。

 朝の支度をし、リビングに向かう。


「おはよう〜」

「ん?シーおはよ……」


 ママはシエスタを見て動揺する。

 そこに今起きて来たであろう、髪がぼさぼさのパパがリビングにやって来て、ママと同じくシエスタを見て動揺する。


「ママ、シー」

「ママ、パパどうしたの?わたしの顔に何か付いてる?」


 シエスタは、両親の反応にきょとんとしている。

 ゲームないでたくさん寝たからか、シエスタの肌には少し艶が戻り、パンダみたいな隈は消えていないが、顔色は良くなっていたのだ。


「いや、シーがいつもより元気そうだったから、驚いただけよ。ねぇ、アナタ」

「ああ、ママの言う通りいつもより顔色が良くなっててびっくりしただけだよ」

「そっか、ゲームで寝たからかな〜」

「「??」」


 朝ごはん中ずっとその意味を考える両親であった。


 登校中の通学路。

 その日は、珍しくあさひと会わずに学校に到着した。クラスにも居ないので、何かあったのかと心配していると、チャイム一分前にあさひが飛び込んで来た。


「ギリギリセーフー!!」


「どうした寝坊か?」


 などとクラスメイトがあさひに話しかけたが、チャイムがなりホームルームが始まった為、シエスタは話しかけれなかった。

 一時限目が終わり、シエスタが話し掛けようとする前に、あさひの方から話し掛けて来た。


「おはよ!シー!」

「おはよう、あーちゃん。今日は寝坊?」

「うん!昨日FWOが面白くって、ついつい夜更かししちゃった!」

「そっか」

「ん?なんか今日のシー、いつもより元気っぽい?」


 流石幼馴染というか、両親以外のクラスの誰一人気付かなかったシエスタの変化に気付いた。

 その事に少し嬉しいシエスタ。


「ちょっとね、わたしもFWOやり始めたんだ」

「え?!まじ!!やったー!!」


 ピョンピョンとウサギのように跳びながら、全身で喜ぶあさひ。


「それでね。ずっとゲームの中で寝たからか、今日はあんまり眠たくないの」


 その発言で固まるあさひ。あさひは、これで一緒にゲーム出来ると思っていたら、まさかの寝てた発言である。


「どゆこと?」

「えーとね。かくかくしかじかで」


 シエスタは、昨日のことを話した。


「なるほど、なるほど。種族のスキルで死にまくんなきゃいけなくて、加速時間を利用した睡眠時間の確保ね〜シーと遊ぶには、シーがその【日光耐性:強】をゲットしないと行けないし、まず合流するにしてもシーのいる場所がわからないのか……」

「そうなるね」

「ま、いつかは会えると思うから、フレンドコードで登録だけしといてね!!合流出来たら、偶に遊ぼ!!寝ないといけないと思うから、偶にね!」

「うん」


 シエスタはあさひといつか遊ぶ約束をし、フレンド登録だけして、ゲーム内で寝ながら死んでリスポーンを繰り返す日々を送った。そして遂に一万回の死を経験したのだった。


 10,000回目の死を経験した時。

『プレイヤーの中で敵にダメージを一切与える事なくかつ、誰にも会わずに10,000回死んだ狂者が現れました。称号:【死祭者】を授与しました』

 称号:【死祭者】

 効果:特定npc死神が貴女の事を気に入りました。

 上位npc地獄の番犬ケロベロスが貴女に興味を示しました。いつも死と再生は貴女の隣に。デスペナルティか消失しました。

 特殊防具:【死神のマント】耐久(+42 )技量(-42)

【輪廻転生】装備時スキル

 効果:祈る事で彷徨える魂を冥界へと送る事が出来る。また、送った魂の数だけ、戦闘中であっても死んだ場合そのバトルフィールドに転生出来る。

 着ていると死神としての身分が証明され、教会では手厚い恩恵を受けられる。この防具は、奪われず、壊れず、譲渡不可。

 特殊装飾:【ケロベロスの幼少期の首輪】幸運(+12)

【トリカブト】装備時スキル

 効果:三度噛み付いた相手に回復不可の猛毒を付与、ダメージは毒と同じ1分毎にHPの1%のダメージだが、2分経つと2%のダメージと、1分毎にダメージの%が上がる。この装飾は、奪われず、壊れず、譲渡不可。


『スキル【日光耐性】が【日光耐性:強】にアップしました。』

【日光耐性:強】種目:パッシブ

 効果:日光によるダメージを-90%する。


「やっちゃーすぴーzZ」


 それから沢山寝れる事に喜びを感じていたひるねは、寝続けた。


 その間ひるねの身体はというと、【夢遊病】が遂に動いても死なない身体を手にした事により、解き放たれた。まず最初に身体は宝箱を開けようと動き出した。だが宝箱は開かない、どうやら鍵が掛かっているようだ。でも、身体はランダムな挙動で宝箱の鍵開けに挑戦し始めてしまったのだった。

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