第3話 ひるねは不貞寝死する

 ひるねが頭を抱えながら絶望する。てか、泣いていた。オーブは、ひるねの背中をポンポンと叩いて落ち着かせる。


「大丈夫かい?ひるねちゃん」

「ぐすん、大丈夫です。ありがとうございます」


 全然大丈じゃなさそうなひるね。居た堪れなくなり、とある情報を教えてあげる事にした。


「ひるねちゃん、君なら多分このスキル【日光耐性】を覚えれると思うんだよね」

「【日光耐性】?」

「そう。このスキルは上位の吸血鬼ヴァンパイアが覚えるスキルでね。このスキルを経験で手に入れるには、日光によるダメージのみで1000回死ぬが条件なんだよ。これを取れば、日光ダメージを50%カットしてくれるよ」

「でも、それでと0.25ダメージ入るから、わたし40秒で死んじゃうよ」

「耐性スキルはね。強化出来るんだよ、その強化方法はさらに1万回死ぬこと。それが出来ればスキルが強化されて、【日光耐性:強】に変化して90%軽減できるんだ。そうなれば自動回復が間に合うから、寝てる間なら0.75回復し続けられるから、お昼寝できるよ」

「わたしがんばるよ!!」


 ひるねの眼光に光が宿る。それを見て、オーブは優しく笑った。


「さて、猫用装備を渡して終わりだよ」


 オーブがバッと翼を広げると、ひるねは勝手に装備される。


【初心者猫用白半被】耐久+5 敏捷+5

 効果:汚れたり破れたりするが、耐久が存在しない


【初心者用白尻尾輪】知力+5 幸運+5

 効果:汚れたり破れたりするが、耐久が存在しない


「ありがとうございます」

「うん!それじゃあ、行ってらっしゃい!!」

「はい」


 ひるねはFWOに旅立った。それを確認し、オーブは悪魔のような笑みを浮かべる。


「さて、挫折しない事を祈るよ。マザーに申請、睡眠状態でのリスポーン設定に追加項目を申請」


 オーブは、ひるねのためにとある設定を足すのだった。


「ここは?どこ?」


 ひるねは森にぽつんとある塔の最上階、そこにある宝箱の上にいた。

 猫系統は普通初心者が降り立つ最初の街か、その周辺の森の中だが、猫又に進化した事により初期リスポーン地点がランダムとなり、とあるダンジョンの上に太陽さんさんな場所に設定されてしまった。


「まあ、場所は何処でもいいとして、この宝箱開くのかな?」


 宝箱から降りた瞬間、ひるねは死んだ。

 そしてまた宝箱の上にリスポーンした。


「あ、今死んだよね。寝てないから、わたしのHPが日光ダメージで20秒で死」


 計算し終わったとこで、ひるねは死んだ。

 そしてまた宝箱の上にリスポーンした。


「んだ、また死んだな。この宝箱、凄い開けたいのに開けるまでに死ぬな、よし寝よう」


 ひるねは宝箱の上で不貞寝して、そして死んだ。

 すぐリスポーンするかと思ったら、勝手に設定画面が表示された。


『状態異常睡眠で死亡した場合の設定。睡眠状態のままリスポーンする、または睡眠状態を回復し、デスペナが発生させリスポーンするか。どちらか決めてねby.オーブ』


 デスペナとは、死亡した場合全ステータスがゲームない時間で半日半分になる。


(オーブさんからか、これで心置きなく不貞寝死出来るよ)


 ひるねはすぐさま睡眠状態異常のままのリスポーンを設定して、眠りについた。そこで意識は完全に夢の世界へ。


 ヘッドギアから起きる時間をお知らせするアラームが鳴るまで、ひるねは眠り続けたのであった。


 ひるねが寝ている間。ひるねの身体は【夢遊病】の効果で、幾度となく宝箱を開けようと動き、日光の継続ダメージで死んでいた。


 その最中のログ

 100回目の死を経験した時。

『プレイヤーの中で敵にダメージを一切与える事なく、100回死んだ者が現れました。称号:【世界最弱生物】を授与しました』

 称号:【世界最弱生物】

 効果:デスペナルティが4分の1に変更。特定のnpcに絡まれやすくなり、優しくされる事もある。


 1000回目の死を経験した時。

『プレイヤーの中で敵にダメージを一切与える事なくかつ、誰にも会わずに1000回死んだ可哀想な者が現れました。称号:【死を背負う者】を授与しました』

 称号:【死を背負う者】

 効果:特定npc死神が関心を持ち可哀想だと思っている。

 特殊武器:【死神の爪】をプレゼントされました。


 特殊武器:【死神の爪】腕力42

 効果:装備中カルマ値の高さによって腕力、敏捷を強化する。この装備は、奪われず、壊れず、譲渡不可。


『スキル【日光耐性】を獲得しました。』

【日光耐性】種目:パッシブ

 効果:日光によるダメージを-50%する。


 ひるねはこの事をまだ知らない。

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