第2話 ひるねは絶望する?

 オーブは顔を元に戻してから、シエスタに話しかける。


「寝る為に来たことは分かったよ。それじゃあさっさと、他の設定をしようか」

「はい!宜しくお願いします」


 いつもの気だるげなシエスタは何処へやら、あさひのような元気に返事をする。


「それじゃあまずは名前だね」

「じゃあ、ひるねにします」

「ほんとに寝る気しかないんだね、君は」


 ひるねはオーブさんから目をそらす。


「まあ、いいか。じゃあ、次は種族だね。僕のおすすめはこの辺だよ」


 オーブがバッと翼を広げると、三枚のカードが現れる。


「1枚目は、ヒューマン。ステータスの偏りがないから努力次第でどんな自分にもなれる」

「2枚目が、エルフ。魔法もしくは弓を操るのに特化した種族。自然との相性もバッチリ」

「最後は変わり種。黒猫《ダークキャット》。最初はただの黒猫だけど、条件次第では人になったりも出来るよ。他にも色々あるし、ランダムって言う選択も出来る訳だけど、どうする?あ、スキルは種族ごとの基本スキルとランダムで2つ与えられるよ」


 ひるねは冒険する気が無かった。

 寝る事を大事にするひるねは、黒猫に興味が湧いた。猫なら何処でだって寝られると思ったから。


「じゃあ、黒猫にします」

「おっ!やったね。魔物を選ぶ人がやっぱり少ないから、良かったよ」

(何が良かったのか……)


 種族が確定するとひるねの視線が急激に下へと下がる。


(あー猫になったからか)

「じゃあ次に、ランダムスキルのガチャをドーン!!」


 オーブの前に大きなスロットが現れる。


「このレバーを引いてね」

「はい」


 オーブに言われるがまま、レバーを引くとスロットが回転した。


「何が出るかな〜🎶」


 鼻歌を唄うオーブ。ひるねは、自分より楽しんでんなこの鳩と思いながらスロットを見つめていると、スロットが止まった。


「一つ目のスキルは〜【夢遊病】。うわーハズレだね」


【夢遊病】種目:パッシブ

 効果:睡眠系の状態異常に必ず掛かる。睡眠中他の状態異常を無効化し、自動でHPを回復する。(毎秒1回復する)睡眠以外の状態異常の回復。基礎耐久を2倍にし、基礎腕力を1/2倍にする。殺気を感じた時自動で回避または、反撃をする。何も感じない時は、ランダムな挙動をする。


(うん。ゲームをあまりやらないわたしでも、使いづらいスキルってことは分かるよ。まあ、寝るだけだしいいか)


 ひるねはあまり気にしてなかった。そんなひるねに呆れつつ、オーブはもう一つのスキルに目を向けるとそこには。


「気を取り直して次!君のもう1つのスキルはー?【二又】?なんだこのスキル?」

「二股?」


 オーブは見たことがないスキルに疑問符を浮かべる。ひるねは、オーブさんがスキルの表際を見せてくれないものだから、聞こえて来たふたまたと云う言葉だけで、勘違いし、二股ってなんか嫌な名前のスキルだなと思っていた。


「え〜と何々、尻尾が裂け2本に分かれるパッシブスキルと」


【二又】種目:パッシブ

 効果:尻尾が二つに分かれ自在に操れるようになる。尻尾かない種族は覚えられない。


 オーブがぶつぶつとスキルの説明を読みながから、ひるねに渡すと、急にひるねの身体が光出す。それは種族が進化する時の光だった。


「何?!」

「まぶしっ!」


 オーブは瞳を閉じ、ひるねは何事かと飛び跳ねる。

 進化の光が収まる。オーブは、何も喋らずにひるねの周りを飛ぶ。元の位置に戻り首を傾げる。


「わたしどうなったのですか?」

「ん〜尻尾が二又に分かれて、少し大きくなったかな?」

「そ、それだけ?」

「ん〜見た目はね。取り敢えずステータスって言ってもえるかな?ステータスが何か変わってるかもしれないから」

「わかりました。ステータス」


 二匹の目の前にひるねのステータスボードが表示される。


【名前:ひるね】

【種族:猫又】


 Lv:1

 HP:50/50

 MP:25/25


 腕力:10

 耐久:5

 敏捷:10

 技量:1

 知力:5

 幸運:10


 武器:

 防具:

 装飾:


 アクティブスキル:【爪研ぎ】【鳴き声】【木登り】【切り裂く】【影移動】【闇属性付与】【尾突】【乱れ引っ掻き】


 パッシブスキル:【落下耐性】【夢遊病】【二又】【天候状態異常:日光】


 装備スキル:


 称号:


「おうふ」

(なんだよこの闇属性に偏ったスキルは、黒猫の初期スキルなんて、【爪研ぎ】から【切り裂く】までだぞ、【二又】を獲得した事により、特殊進化したのか)


 オーブがひるねのスキルやらをジーと見てる中、ひるねも自分のスキルを念のため確認していた。


【爪研ぎ】種目:アクティブ MP:1

 木などで爪を研ぐ事で基礎腕力を+10%上げる。効果は、爪研ぎしてから1時間有効。


【鳴き声】種目:アクティブ MP:1

 敵に鳴き声をすると、耐久を-5%下げる。効果は、5分有効。


【木登り】種目:アクティブ MP:1

 発動中、木登りがしやすくなり、落下し辛くなる。


【切り裂く】種目:アクティブ MP:10

 次に行う切り裂く攻撃の威力をアップする。

 威力は、腕力に依存し、攻撃範囲なども変わる。

 クールタイム:5秒


【影移動】種目:アクティブ MP:不明

 使用すると影の中を移動できる。移動中は1分毎にMPが5消費され、攻撃が出来なくなる変わりに、自分の耐久以下の攻撃が効かなくなる。また、影が無くなると飛び出る。


【闇属性付与】種目:アクティブ MP:不明

 MPを消費し、次の攻撃に闇属性を付与出来る。威力は消費したMPで変わる。

 クールタイム:1分


【尾突】種目:アクティブ MP:5

 尻尾で敵を貫く。威力は、腕力に依存し、貫通力が変わる。

 クールタイム:5秒


【乱れ引っ掻き】種目:アクティブ MP:20

 爪をによる連続の切り裂く攻撃を放つ。威力は、腕力に依存し、攻撃回数を任意で変更可能。

 クールタイム:10秒


「うん、アクティブスキルは別にどうでもいいかな、戦わないし」


 ひるねはレベル1ではおかしい強さを持っていたが、寝ることが目的のため気にしていない。


【落下耐性】種目:パッシブ

 高所から落下した際のダメージを軽減する。


 最後の一つを見た時、余裕綽々だったひるねの尻尾がボワッと膨らむ。

 オーブがそれにびっくりし、ボワッとしたまま固まるひるねの目線の先を見る。


「えーと」


【天候状態異常:日光】種目:パッシブ

 日光の下にいる間継続ダメージが発生する。

 ダメージ量は秒間全体HPの5%。また、光属性のダメージが倍になる。


「うわ、ひど」

「わたしの【夢遊病】の効果で睡眠中1秒で1回復する、そこから【天候状態異常:日光】の効果で、わたしの全体HPの5%、今のHPが50だから、つまり2.5ずつ減る。てことは、毎秒-1.5。日光に当たれる時間は33秒が限界とか、ま?!」


 急に早口で喋り出し、最後はなーと悲鳴をあげるひるねであった。


(わたしの日光浴がー!!!!!!!!!!!)

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