お昼(寝)猫はゲームの世界で惰眠を貪る。スキルのAIが勝手にゲーム世界を楽しんでます。そろそろわたしも混ぜてほしいな。珍獣、そして死神へ……

お昼寝

第1話 シエスタ運命の出会いを果たす

 いつもの中学に通う通学路、ふらふらと歩道を歩く高身長なのに凄く猫背な少女がいた。


「眠い……zZ」


 少女は歩きながら、半分夢の世界へ。

 そんな少女の後ろから、全力ダッシュで迫る元気な少女が1人。


「シー!!おはよっ!!」

「わ?!」


 元気な少女が勢いよく抱きつくものだから、倒れそうになるシーと呼ばれる少女。が、この物語の主人公の寝子谷シエスタ。飛びついたのが親友の太陽あさひ。

 どうにか倒れるはしなかったが、気だるげな声色で元気な少女に文句を云う。


「あーちゃんか、危ないから飛びつかないでって、言ってるよね?」

「ごめん!!」


 反省してるのか、疑わしい程に元気に謝るあさひ。シエスタはいつもの事だからと、若干諦めながらため息をつく。


「まあ、いつもの事だから良いけど、それにしてもあーちゃんいつもよりテンション高いくない?」

「だって、今日からをプレイして良いって、ママがオッケー!してくれたの!!」

「あー……」


 あさひのあれのことがなんて言っていたか覚え出せないシエスタは、目を泳がしながら遠くを見ると一つの広告が目に入り、そうだ。と、思い出す。


「FWOね」

「そう!それ!この前のテストで赤点じゃ無かったから、頼んだのが今日届くの!!」

「あーちゃん、頑張ってたもんねー」

「うん!!」


 赤点常習犯のあさひは、ゲームを買ってもらう為に勉強頑張ったのだ、まあ、数学は三十一点と赤点ギリギリだったのだが、それでも赤点が一つも無いのは、あさひにとっては快挙だった。

 その日の学校では、シエスタは、あさひからのゲーム話しをずっと聞かされた。

 ホームルームが終わる。


「シー!!またね!!ゲームがあたしを呼んでる!!」

「まっ……」


 シエスタが何か云う前に教室を飛び出し行ったあさひ。


「わたしも帰るか、眠いし」


 帰りもうつらうつらと、歩いていると小さなゲームショップが目に入った。そこにはあさひがずっと話していたFWOのポスターと陳列されたソフト、気になったので手に取る。


「何々、自由な世界へ。時間がない人でも楽しくプレイ……加速時間ゲーム内時間が……にゃ!?1日が3時間?!」


 驚くあまりに猫みたいな声が出るシエスタ。

 何故シエスタが驚いているかと云うと、基本VRの加速出来る時間は、一日が八時間が最大。それ以上は認可が降りなかったのだ。その時間を半分以下にしプレイ出来るようにしたのがこのFree World onlineだったのだ。

 シエスタは、溜め込んでいた貯金を卸し、ゲームを購入し、帰宅した。


 やる事を爆速で終わらせ、晩御飯も食べ、部屋へと向かう。


「アナタ、シーって、あんなに早く動けたのね」

「ああ、動けたんだな」


 両親を困惑させていた。

 そんなことよりと、シエスタは急いでヘッドギアにカセットをセットし、ベットに横になる。


「よし、リンク」


 シエスタの声によってヘッドギアが作動する。少しの浮遊感を感じながら、シエスタは白い空間に降り立つ。するとシステムAI-05 オーブが天から登場した。鳩のような見た目だった。


「ようこそ!Free World onlineへ!!僕は、システムAI-05 オーブだよ!よろしくね」

「はい。宜しくお願いします」

「じゃあ先ずは、アバター制作の前にアンケート!!」

「アンケート?」

「ま、アンケートと言っても、この世界で何をしたいかを聞くだけなんだけどね」


 オーブはバッと翼を広げる。


「それじゃあ、君はこの世界で何をするのかい?」

「寝ます」

「へ……?」


 即返答して来たのはいいが、しかし、寝ますと返答された事で、オーブは鳩が豆鉄砲を食ったように固まる。まあ、鳩なんだけど。


「ん〜と、僕の聞き間違いかな?もう一度いいかい?」

「寝に来ました」

「……」


 気を取り直して、何かの聞き間違いだと聞き返したのに同じ返答が返って来た為に、オーブは、羽で頭を押さえながらいやいやと、頭や身体を左右に揺らす。


「もう一」

「寝に来ました!」


 もう一度確認の為に聞こうとしたら、食い気味応えるシエスタ。


(え?この娘マジで言ってるの?ここはVRの世界だよ、魔法とかもあるし、頑張れば鳥のように飛べたり、魚のように泳いだり、はたまた人じゃないモンスターになれたりする世界だよ!!マザーが心血注いで作り上げたこの世界で寝る為に来たなんて……この娘おもしろい)


 オーブは羽で嘴を隠しながら、悪魔のように笑った。

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