第8話武器調達①
尊南アルカイナの事務所では、ボスの
「何か面白え事ねえかな……」
煙を吐き出すと同時に大きな
「いやあ、羽毛田~元気ィ?」
その音声を無線で聴いていた舞台役者の卵のてぃーだが、顔を
「シチロー、なんてわざとらしい演技なの……」
「どうしたシチロー、そんな上機嫌で……もしかして宝くじでも当たったか?」
「いや、羽毛田がオセロ好きだって聞いたから勝負してやろうと思ってさ」
「なに、オセロ?」
オセロと聞いて、羽毛田のアタマ……いや、目が輝いた!それもそのはず、実は羽毛田は全日本オセロ協会の会員になっている位のオセロ好きであった。
「まあ、本当は忙しいんだが、シチローがそこまで言うんじゃ仕方がない、ここはひとつ胸を貸してやるとするか」
予定通り、シチローの誘いにいとも簡単にのってきた羽毛田。シチローは心の中で小さくガッツポーズを決める。
(大成功~)
その一方で、シチロー以外の五人は武器庫への侵入を試みていた。
「見張りとかいないんですね……これなら上手くいくかも」
周りをキョロキョロと気にしながら、凪が意外といった口ぶりで呟いた。
「しまった、角取られた!」
「ハッハッハ甘い、甘い!」
アルカイナの事務所にいた羽毛田は、アルカイナの武器庫が狙われている事などこれっぽっちも気付いてはいなかった。その為、シチロー以外の五人は案外簡単に武器庫の扉前まで辿り着けたのだが、そう何もかも簡単にはいく筈もない……てぃーだは武器庫の扉を見て、やはりそうかという顔で無線に顔を近づけシチローに助けを求めた。
『シチロー、電子ロックが掛かっているわ! 羽毛田に暗証番号を訊きだしてよ』
(暗証番号かぁ……)
目の前の羽毛田の顔を見つめながら、その方法を思案するシチロー。まさか羽毛田本人に暗証番号はいくつか?なんて聞ける訳が無い。
「ほら、いつまで考えてるんだ! どうせ負けるんだから無駄な足掻きをするんじゃね~よ」
オセロで優勢な展開を広げている羽毛田は、難しい顔をして考え込んでいるシチローに向かって、次の手を催促し始めた。
「あっ、悪い悪い……ところでさ、帰りにナンバーズ4買おうと思ってるんだけど、羽毛田は好きな番号とかある?」
散々考えて、シチローが出したアイデアがこれだった。とりあえず羽毛田に好きな4桁の番号を言わせれば、その中に暗証番号が含まれている可能性はある。
「俺かぁ~、俺なら2323《ふさふさ》だな」
『2323だって、ティダ聞こえた?』
「コブちゃん、2323よ!」
「了解、2323……と」
ガチャ!
「ビンゴ! 開いたわ」
よっぽどこの番号に愛着があったのか、武器庫の扉の電子ロックは一発で当てられてしまった。
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