第5話凪とホノ
突然、テーブルに置かれたシチローのスマホが着信を知らせるメロディーを鳴り響かせた。
「ほらシチロー、電話鳴ってるわよ!」
「これはオイラの焼き鳥だからな、盗るなよ! ……ハイ、もしもし……」
『あの、突然のお電話すみません。そちらはチャーリーズエンゼルパイの方のモバイルでよろしいですか?』
シチローが出た電話の相手は、ネオ・チャーリーズエンゼルパイの凪であった。
「え? 君が未来から来たって言う……それで、今どこにいるの?」
通話中のシチローの様子を眺めながら、てぃーだと子豚が頷きあう。
「やっぱり本当だったのね、あのメール……」
シチローはその通話で、電話の相手とこの後の簡単な打ち合わせをしていた。
「うん、それじゃ今からそっちへ迎えに行くよ。そこで待ってて」
電話を切った後、シチローはまだ見ぬネオ・チャーリーズエンゼルパイへの期待に瞳を輝かせながら嬉しそうに言った。
「すぐ近くまで来ているみたいだよ、これから迎えに行こう」
飲み会を切り上げて、てぃーだは店員に会計と代行運転の手配を依頼する。その隣で子豚は、テーブルに残った料理を指差して店員にあれこれと注文していた。
「すいませ~ん。これとこれとこれ……お持ち帰りで!」
「コブちゃん、しっかりしてるね……」
☆☆☆
待ち合わせの場所に、代行運転で現れたチャリパイ……凪とホノの姿を目にすると、ひろきが嬉しそうに指を差して声を上げた。
「あっ、あの二人がそうじゃない?」
「うん、間違いないな……」
四人とも、もちろん凪とホノとは面識が無い。しかし、二人のいかにも未来的なシルバー基調のファッションはこの二人がこの時代の人間ではない事を存分に印象付けていた。
「はじめまして、ネオ・チャーリーズエンゼルパイの
「ホノです。お会いできて光栄です」
二人共、整った顔立ちをした綺麗な女性だった。年齢的にはおそらくてぃーだ達と同世代であろう……
「ホントに未来から来たんだ、凄いな! 後でタイムマシンの事とか教えてもらおうかな」
凪達が綺麗な女性二人という事もあって、いつもよりもテンション高いシチロー。
チャリパイの四人と凪・ホノの二人はそれぞれ簡単な自己紹介を済ませると、ひとまず昼間襲撃にあった事務所へと戻る事にした。
「代行運転帰っちゃったけど、また手配しましょうか?」
てぃーだがスマホで検索を始めると、すぐにそれを凪が遮った。
「運転なら私にさせて下さい。私、一度ガソリン車を運転したいと思ってたんです」
西暦2100年の未来では、化石燃料を動力にしている自動車は、博物館でしか見る事ができなかった。
「でもこの車五人乗りだから一人乗れないわね……」
「じゃあ、シチローはトランクでいいわね」
「やっぱり、そう言うと思った……」
シチローが俯きながら呟いた。
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