第3話予想外

 T8000の人工知能AIは、人間のあらゆる行動パターンそして思考のパターンをデータベースとし、その中からシチロー達がこの次に取る行動を計算し始めた。


「突然の襲撃からの逃亡……その心理状態と4人の知能指数、そしてGoogleMapからインストールしたこの付近の地形、国土交通省のホームページからの渋滞情報、さらに気象庁からの天候……気温……湿度と『逃走時のカメラ映像』よりあの車の性能を係数に加え最短で待ち伏せに最適な地点と時間は……99.2%の確率でZで待ち伏せするのが最良だ……」


 追跡などしなくとも、緻密な計算で弾き出した場所へと先回りをして待ち伏せをした方が効率も良くリスクも少ない……これが未来のAIが導き出した最適解だ。T8000はその計算結果に従い迅速にZ地点へと移動を始めた。



☆☆☆


一方チャリパイの四人は


「ふぅ……危ない危ない。命を狙われるような依頼なんて受けた覚えは無いんだけどな……」


「あの人誰なんだろうね?」


シチロー達はまだT8000がアンドロイドである事すら知らない。ましてやそれが未来からやってきた事など知る由もなかった。


すると、突然てぃーだが思い出したように言い出した。


「そう言えばさっきのメール、ほらっていうあれ……」


「そう言えば、そんなメールが来てたなぁ……」


シチローはそう呟いて上着のポケットからスマホを取り出しそのメールを探し始める。……すると今度は子豚が突然……


「あっ! そう言えば!」


「どうしたのコブちゃん、急に?」



「わたしたちまだゴハン食べてなかったわ! すっかり忘れてた!」


「そんな事か! 命からがら逃げてる時にメシの事なんて知るかっ!」


「でも、食べてない事に気付いたらよけいにお腹空いてきたわ!」


とにかく何か食べさせろと騒ぎ出す子豚。空腹の子豚は巣で親鳥にエサをねだる雛鳥ひなどりのようにやかましい。


「そういえば今日、四丁目の居酒屋がオープンだよ♪だって」


そこへ伝えられる新しい居酒屋のオープン情報……さすがはひろき、この近辺の居酒屋の情報はすべて網羅している。


「飲み放題三千円はお得だっ!」


「早く並ばないと入れなくなるわ!」


「よし、早速今から行って並ぼう!」


「意義無し!」




それから27Z……そこにチャリパイが現れることは無かった。




『予想外だ……』





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