ダンジョンの秘密

第135話 マカハドマのダンジョン攻略その1

 学校が春休みに突入したので本格的にマカハドマのダンジョン攻略に取りかかることにします。


 冒険者ギルドの掲示板に掲げられた常設の依頼をスマホに写していきます。

 異世界の文字をカメラ越しに撮っても文字として認識出来るというのは少し不思議。


「作物の収穫系が多いね・・・」


 常設されている依頼を改めて見ると、穀物の収穫というのが多いことに気付く。

 これは穂先だけとか根元から丸ごととか欲しい部位が違うからだ。

 まぁ麦の実だけ欲しい人もいれば麦藁が欲しい人もいるだろうからね。

 ちなみに食糧品の小売り店というのはあまりない。必要ならダンジョンに入ればいいからね。食糧品を食品にしている店がある程度だ。

 そういった店の人が冒険者ギルドに採集を依頼している感じ。

 農家の人が居ない代わりに冒険者がいて、小売りの店がない代わりに冒険者ギルドがあるようだ。

 小売りの店が間にあるだけで値段が上がるもんね。

 とりあえずダンジョンの第一階層に入る。


 ・・・おぉ麦麦麦。それが手前から奥に黄色から緑へとグラデーションがかかったように生えている。


「さあ苅るにゃ」


 チビが土魔法で小麦を根から掘り起こし、カイヤたちカラス天狗が集めて束ねる。

 それを紅桃が抱えて異次元の扉に運び込む。

 イネ科の植物なので収穫するためにも数日は乾燥させる必要があるのだ。

 ちなみに刈り取った麦は翌朝には種を撒くまでもなく芽が出て1か月程度で穗が実りそこから半月ぐらいで収穫出来るようになるらしい。農家要らんよね。


「あ!イナゴ!!」


 疾風が指差した先から黒い点が飛び立つ。


「ヒートウェブ!」


 疾風が最近取得した熱風を放つという風魔法と火魔法の融合魔法を行使する。

 まぁ範囲に熱い空気を撒き散らすものでどちらかというと髪を乾かしたり洗濯物を乾かしたりする生活魔法とも言える魔法だ。素早く唱えられるので牽制に利用したり虫系のモンスターには効くんですがね。


「収穫!」


 カイヤたちが袋を取り出して突っ込んで行く。

 獣人って昆虫食に躊躇しないのよね。寧ろ大好物

 だったりする。重要な動物性タンパク質だもんね。


「わぁーい!」


 疾風もチビも遅れまいとイナゴが落ちていった場所に走り出す。あぁ、袋に入れながらもチョイチョイと摘み食いをしている。半生だろうに実に美味しそうに食べている。


「佃煮にした方が旨いだろうに・・・」


 紅桃がズレたことを呟く。いや、酒飲みにはアテにしか見えないのか・・・味は海老に似ているらしいからね。


「虫は自分はパスだな」


「ただ、常設依頼でも良い値で引き取ってくれるんですよね」


 ペンタントちゃんが苦笑いする。確か500グラムで銀貨一枚だ。ちなみにカイヤたちが持っている袋に一杯ぐらいがだいたい500グラムになる。

 なおイナゴは三カ月の周期で発生するそうだ。


 麦を刈り取り逃げだしたイナゴを狩りと、半日ほど収穫すると、小麦が1トンイナゴが3キロが集まった。3キロのイナゴとかどん引きだよ!


「第一階層は小麦と大麦といった穀物類で第二階層は野菜だっけ?」


「あと牛と兎のモンスターがいますね」


 牛は肉とチーズ。牛乳に皮。ウサギは肉と毛皮がドロップだったハズ。

 なお牛乳は皮の水筒に入ってドロップするのでレアらしい。

 さて、第二階層に上がる。野菜は数日おきに収穫出来るものが変わるらしい。


「さて、今生えているのは・・・」


 ここでも活躍したのが土魔法。初級の穴を掘るだけの魔法だけで生えている草の周りの土を掘り返す。


「ジャガイモ!」


 地面を掘り返して出てきたのはジャガイモ。うん。この世界のジャガイモはダンジョンが由来。良かったこれでうちににはジャガイモ警察は来ない。だってダンジョン由来だもんね。

 ジャガイモもサクサク掘り返してコンテナに詰めて異次元の扉の向こうへ送り出す。

 次は・・・人参に玉ねぎに白菜!これはシチューにしろという天啓!

 この日はJ隊異世界駐屯地の皆さんとウサギ肉のシチューパーティーを開催することになりました。

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