第127話 ドワーフを勧誘する
「ハイO-!」
陽気な木こり歌と共に行進するドワーフの後について行く。
彼らが切り出した木材を異次元の扉に収納して彼らの集落に届けるクエストを受注したからだ。
無論、異次元の扉を使う事でギルドに対して指名依頼をするという形にしている。
手数料でお金はさっ引かれるけど、代わりに国に税金とかを納めてくれるのだから便利である。
ちなみにこちらのギルドにもクラン結成の手続きはしている。
ソロで活動するより施設利用などの優遇措置が得られるからだ。
「さてついたぞ」
赤帽子のドワーフ・・・レッドさんが
「はい。みんなよろしく」
「おうさ」
紅桃たちが異世界の扉を開けて木材を運び出す。
チビと疾風がコンビで紅桃が一人で軽々と木材を運んでいく。
「さて、お店を開くとしますか・・・」
集落の広場に移動して屋台を出し、レジャーシートを広げて武器や生活雑貨を置いてゆく。
武器を置くのは生活雑貨の値段がどれだけのものかの目安のためだ。
「これは・・・」
「ステンレス製の包丁ですね。ステンレスは錆びに強い鉄の合金です」
それを聞いたドワーフのおじさん顔に深い皺を寄せる。
「これほどの業物が銀板一枚だと?」
値札を見て目を丸くするドワーフのおじさん。機械打ちの量産品のハズなんだけど評価が高いな。
「包丁と砥石。塩をくれ」
結局そのドワーフのおじさんは包丁を大事そうに抱えてお金を差し出す。
「まいどありがとうございます!」
お金を受け取ってお礼を言うとドワーフのおじさんは複雑そうな顔をして立ちさる。
「今のところの売れ筋商品は?」
「さしすせその調味料ですね」
ペンタントちゃんが教えてくれる。
砂糖と塩は判るけど、酢は穀物酢だし正油と味噌は日本特有の調味料だ。
「塩分が決め手らしいです」
なるほど。塩分補給には都合がいいよね。
「あとシャツが人気です」
衣料品がお高いのは異世界(中世?)あるあるだけど、それはこの世界でも同じらしい。Τシャツは値段が他の服より安いので王都でもウジナでも売れ線だったりする。
「おい。嬢ちゃん」
レッドさんが二人の男女を連れて現れる。
「要望があった、鍛冶職人だ。見習い卒業予定だったのを連れてきた」
ベテラン職人どころか中堅でもないのはこの集落ではそういった層は仕事にあぶれていないということだ。仕方ない。
「ギムレットともうします」
がっちりとした、髭はあまり濃くない青髪の男性ドワーフが小さく頭を下げる。よくよく顔をみると若いのが判る。
「カレンといいます。お世話になります」
紅桃ほどはがっちりしてはいないけどそれでもいい体格をした赤茶色の髪の少女が頭を下げる。
「荷物は
にっこりと笑ってみせる。実際、二人分の家財なら余裕だろう。
「そうそう。得意なものは?」
「得意?あぁ、わっしは大剣と大斧ですね」
ギムレットが答える。
「あちきは手斧に短剣。ハサミといった小物類ですね」
カレンが引き取るように答える。
「なるほど・・・ちなみに戦う術は持っていますか?」
「まぁ、大剣や大斧を作るので基礎はありますが・・・」
「あちきは習得してません」
二人は顔を見合わせてからそういう。
「基本レベルとスキルレベルを上げて貰いますそのためのバックアップは惜しみません」
「はあ?」
ニ人は何を言っているのかわからないといった顔をする。
判るよ!鍛冶師に戦闘力が要るのか疑問なんでしょ?でもね。モノを作るのにステータスはバカにならないのよ!
同じ鍛冶スキル1でもレベルを上げて器用の数値が高い人の方が良いものを作るのだ。
スキルレベルを上げるのも大事だが、基礎レベルも上げましょう。サポートしますからと説得した。
交昜は大好評のうちに終了。近いうちに再び来ると約束させられた。
何か必要なものは何かと聞いたら、酒が欲しいと言われる。出来れば酒精が強いものが欲しいとも言われる。流石ドワーフ。
今度来るときはウォッカを仕入れてくることにしょう。
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