第124話 開拓許可が出た

 城での謁見はアポ取りした直後にあっさりと叶った。まぁ護符を王家の人に見せるだけなので手隙の人がいたのだろう。案内されたのは城のー室だった。


「ジュウシロウ・ロシマ。一応この国の第三王子をやっている」


 しばらく部屋で待っていると、一人の緑髪金眼の少年が入って来る。

 待って!銀杏髷なんですけど!緑髪金眼の銀杏髷って・・・ちなみに銀杏髷というのは力士の髪型ね。


「これが護符です」


 笑いをこらえて護符を差し出す。


「間違いないか?」


 受け取った護符を後ろに控えているローブの男に渡す。


「はい。間違いありません護符です」


 ローブの男が護符を鑑定した後に王子に返す。


「よくやった。褒めて遣わす。それと、土地を開墾する権利をやろう」


 え?それは領主的な何かですか?


「いや、優秀な冒険者を囲い込む手段だな」


 王子さまがぶっちゃける。どうやら、王都ダンジョンを踏破できる優秀な冒険者には国に定住して欲しいから土地を与えているそうだ。ただし街からは少し離れた場所に。

 そしてその冒険者がВ級冒険者になれば国は改めて開拓団を編成し冒険者の開拓地に派遣するという。まぁB級の冒険者なら外部から侵入するモンスターの脅威にも対抗できるからね。

 ただ土地を貰っても必ずしも開拓する必要はないらしい。В級だとそうもいかないらしいけどね。

 せっかくなのでJ隊異世界駐屯地のある森を貰ったよ。開拓はし放題らしい。そして自分たち以外の住人も申告する必要はないということ。いいのですか?税金とか。


「C級冒険者がギルドで素材を売買するときに一緒に納める税金とかを考えると人頭税を納めないなんて安いもんだ。まぁ限度はあるけどな」


 王子は笑って説明する。限度とは?


「50人。流石にこの人数を超えたら村として対応しないとな」


 う~ん。それって定期的に役人が来て調べるって事かな?まぁ50人超えなきゃいいか・・・

 ちなみに奴隷は人数に入らない模様。

 時間にして1時間ほど歓談して城を辞す。

 その際、J隊異世界駐屯地のある森を開拓する事を許可する旨の書類を羊皮紙で貰った。もし役人が来たら見せればいいらしい。来るのが確定した瞬間である。早まったかな?まぁいいか。今の規模ならまだ誤魔化せるハズ。


 城を出た後、冒険者ギルドに顔を出して謁見が無事終わった事を受付嬢に話す。ついでにウジナ領の近くの森に開拓許可を得ていて国元から開拓する人間を呼び出した事も情報として提供する。

 冒険者として登録する可能性があると示唆するためだ。


「承りました」


 受付嬢も感付いたらしく小さくお辞儀した。



「という事になりました」


 J隊異世界駐屯地に戻って田中さんに状況を説明する。誰に憚る事なく開拓できるというのは大きい。早速クリュウなる看板が門の前に立てられる。ちょっと恥ずかしいが、この地を貰ったのは自分だから我慢する。

 続いて冒険者ギルドに登録しているしていない人の名簿を用意して貰う。

 自分の開拓地にいる人間は50人までは税金がかからないと王子は言ったけど、それが守られない可能性はある。なら最初から人数は申告しておいた方が無難だろうと考えたのだ。

 ちなみに村人の人数というのは、ギルドに登録していない人数のことで、ギルドに登録すると税金はかからない。

 これはギルドが村長の代わりに本人から税金を徴収するからだ。

 例えば冒険者ギルドだと持ち込まれるモンスターの素材を売る際やクエスト達成の報酬から少しずつ引かれて積み立てられる。

 その額は一年を通して金貨一枚。これが税金として国に納められるんだよね。

 ちなみにギルドには登録できる年齢というのがあって、冒険者ギルドなら最低は10歳から。まぁ10歳で最低ランクでも一年間真面目にクエストをこなせば金貨一枚ぐらいにはなるし、足りなくても数年は冒険者ギルドが支援してくれるんだよね。


 という事で、J隊異世界駐屯地の周辺の森の探索を開始。インップ村のような村が森の中にあるかもしれないからね。

 取りあえずJ隊が探索していない西の森へと探索を開始する。

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