第123話 討伐報告をしました

 見事王都ダンジョン第10階層主を倒し護符を奪取したので第1階層へ戻る。護符を見せて第10階層を攻略したことを伝えると、迷宮を管理していた人が1人走ってどこかに行く。

 どうせこれからギルドには報告に行くのだから慌てる必要は無いのに・・・


「おめでとうございます」


 王都の冒険者ギルドに行くといきなり祝福された。


「ありがとうございます?」


「あぁ!王都ダンジョンの第10階層主が討伐されると王都に討伐したことが知らされるんですよ。ダンジョンが休眠期に入るんで」


 受付嬢が説明してくれるには、王都ダンジョンの第10階層主を討伐すると、ダンジョンはモンスターが出現しなくなる休眠期に入るらしい。気付かなかったよ。

 で、これは王都ダンジョン特有の現象らしく、ダンジョン内のモンスターの数もリセットされるらしい。なるほどスタンピードの兆しを掴んだら第10階層主を倒せば良いってことだ。

 そして、モンスターが居なくなったダンジョンは優良な鉱山に変貌するらしい。なので冒険者に限らず一般人でもツルハシとズタ袋を手にダンジョンに潜るという。なんでも第8階層からは金や銀といった貴金属が採掘されるとか・・・なるほど迷宮管理の人が走って行ったのは冒険者ギルド以外の所に知らせるためなのね・・・


「ギルドマスターがお呼びですので、手続き後に必ず面会して下さいね」


 指示された通り受付で手続きをしてギルドマスターに面会できるようにお願いする。


「こちらにどうぞ」


 受付嬢の一人に案内されてギルドマスターの部屋に案内される。


「マスター。第10階層主の討伐者を案内しました」


 ドアをノック。中からどうぞの声がするので部屋に入る。


「はじめまして。ロシマの冒険者ギルドのギルドマスターでトモエ・アルフォードと申します」


 部屋の中で待っていたのは真っ白な髪に赤い瞳のエルフの女性だった。


「冒険者のクリュウと申します」


 小さく頭を下げる。


「第10階層主を討伐したそうね?」


「はい」


 そう言ってスペースから護符を取り出す。


「確かに」


 護符に手をかざし、鑑定を発動させたトモエは、護符が本物であることを確認する。


「護符は間違いなく本物ね。ギルドはあなたを第10階層主討伐者と認定します」


 トモエは護符を返して来る。


「提出しなくていいのですか?」


 返ってきた護符を手に取りながら尋ねる。


「その護符を取り上げる?そんな恐ろしいこと言わないでよ」


 トモエは苦笑いをする。

 確かに護符を取り上げたら反感を持つ冒険者もいるだろう。


「複数所有は出来ますか?」


 気になっていたことを尋ねる。


「第10階層主は倒されると最低でも3ヶ月は不在となりますから6個となると数年かかりますね」


 ・・・なんと、最奥の玄室に掛かっていた看板はネタじゃなくて、ちゃんと意味があったのか!


「ありがとうございます。無駄足をする所でした」


 素直に礼を言う。


「そうそう。これはロシマギルドからのお願いなんだけど、この護符を王家にも見せに行って欲しいの」


 へ?


「王都ダンジョンはスタンピードの可能性はかなり低いんだけど、それでもね王家の人も実際に護符を見て、安心したいんだと思う」


 なるほど納得の理由である。今回の討伐で最低3ヶ月はスタンピードが発生しない。為政者には有り難い情報であり、礼の一言でも言いたいのだろう。


「判りました。その話お受けします」


「そうか!ではこれを」


 そう言ってトモエさんは机の引き出しから一通の手紙を取り出す。


「王城への紹介状だ。門兵に見せれば話は通る」


 トモエはさらさらと手紙の末尾に何やら書き込む。多分、紹介状自体は文面が定型なものがあって、自分の署名と日付けを書き込めば紹介状としての体裁は取れるようになっているのだろう。

 手慣れた手つきで蜜蝋で封印するとこちらに紹介状を手渡す。


「お城には、先触れと言って、先方に訪問する時間のお伺いを立てるのが礼儀ですよ」


 アドバイスありがとうございます。

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