第122話 第10階層主討伐
「カチコミじゃ!」
紅桃が真っ先に玄室に突撃する。
「カチコミって・・・」
思わず苦笑いする。夜、ヒマなときはネットチャンネルで時間を潰す彼女はいま昭和の任侠モノがマイブームらしい。
「なんだ貴様たち!」
重厚な造りの机に座っている黒いローブに白く長い髭の老人の隣に立っている黒い立襟のローブモンタントと呼ばれる女性の礼服であるドレス姿の女性が叱責する。
ざざっと部屋の壁際に立っていたゴシックなメイド服を着た3人の女性たちが立ちふさがる。何だろうこのコスプレ感。というかこの女性たちってもしかして・・・
よくよく女性たちを観察する。赤い瞳に口からのぞく太い犬歯。青白い肌。バンパイアか・・・ということは礼服の女性がバンパイアロードか?
「攻略させて貰う!」
紅桃がまず吶喊する。
「ホーリーサンダー!」
ペンタントちゃんの指先から雷が放たれてメイドの一人に直撃する。
「穢れた魂を浄化せよ!」
チビが
「はぁあぁぁ」
バンパイアロードが爪を伸ばして紅桃に殴りかかるが、紅桃はこれを巧みにかわす。
「おら」
紅桃が滑り込むようにバンパイアロードの懐に潜り込む。
「効くものですか!」
バンパイアロードは嗤う。
ドカッ
紅桃の拳がバンパイアロードの腹部に突き刺さる。
「げぼぉらば!」
アンデッドだから何か胃に入っている訳ではないので口からキラキラしたものが吹き出すだけだ。
「おら!」
左右のストレートがバンパイアロードの顔面を捉える。見る間にバンパイアロードの顔が変形していく。恐るべし聖属性付与された武器。
「はぁ!」
紅桃の左腕がバンパイアロードの左胸に打ち込まれるその瞬間、軸捻転が加わる。コークスクリューブローだ。いや、左胸、心臓の部分に突き刺さる某ボクシング漫画で出てくる必殺技のひとつハー○ブレイ△ショッ○だ。
「がっ!」
叫び声を上げでバンパイアロードは塵に帰った。
「はっはっ。エリザベスが討たれるとはな!」
魔導士がカカと嗤う。というかバンパイアロードさんの名前ってエリザベスさんなんだ・・・
「わんぉ!」
疾風が蜻蛉切で魔導士に襲いかかる。
「なんの!小雷!」
疾風の攻撃をかわすと、手を突き出し呪文を唱える。
バチ
手の先から紫電を纏った塊が飛び出し疾風に直撃する。
「ぎゃん!」
叫び声と共に疾風の全身の毛がチリチリのパーマ状態に!
「ギャグ漫画か!」
慌てて疾風に向けて回復ポーションを投げつける。
「はぁ!」
カイヤがクナイを投擲する。
ガキ!
クナイが空中で弾かれる。魔法障壁か!つまりスライム飴による呪文阻害ができない。
「魔法障壁。物理の間接攻撃は無駄!」
急いで指示を出す。
「ホーリーサンダー!」
「ぎゃ!」
バンパイアが絶叫を上げて灰になり魔石をドロップして崩れさる。
「ホーリークロス!」
チビが間合いを詰めて魔導士に聖属性の乗った切りつけを行う。
「ぐぉ」
魔導士から苦悶の声が上がる。
「うりゃ!」
紅桃が間合いを詰めて魔導士に殴りかかる。
「うがっ」
魔導士がくの字になって吹き飛ばされる。
「おのれ!疾き風よ!光と融合しそのカを解放せよ!核撃!」
魔導士が聞いたことのない呪文を唱える。
ドガン!
ものすごい光と風が全身を叩く。
「なんという呪文!」
カイヤとペンタントちゃんが瀕死状態。疾風とチビが残り半分。紅桃は・・・紅桃は大丈夫っぽい。
急いでカイヤとペンタントちゃんをスペースに戻し、龍神丸を召喚する。
そして矢継ぎ早に回復ポーションを投げる。
「チビ!回復を優先に」
「にゃ!」
チビの手が淡く光る。
「やりやがったな!」
紅桃が魔導士の懐に潜り込むと魔導士を垂直に持ち上げる。
え?魔導士って
してるっぽいけど・・・
「ふん!」
そのまま垂直落下式に魔導士を頭から地面に叩きつける。
ゴシャ
堅いものが砕ける音が響く。
「とどめ!」
疾風が蜻蛉切をチビが独鈷杵を突き入れる。
ボン
魔導士はニ、三度大きく震えると、魔石と護符らしきものと白金の箱を落として塵と化す。
護符を鑑定する。
狂王の護符
AC-10
体力回復1歩毎+10
魔力回復1歩毎+10
魔法障壁-60%
後に狂王と呼ばれた
このぶっ壊れ性能で複製ですってよ?奥様!パーティー分揃えるのって必須では?
「うにゃ!」
チビもそうだと言っている。(気のせい)
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