第121話 突入!

 ダンジョンの恣意的なドロップ品でダンジョン探索が少し楽になった。

 特に悪魔斬はレッサーデーモン戦で絶大な威力を発揮した。まぁレッサーデーモンも数が出る訳じゃないからね。余裕だよ。


「さて、いくよ!」


 扉を開けて中に入る。


「ぎゃう!」


 現れたのはスモールドラゴン!


「テイムするよ!手加減宜しく!」


「おうさ!」


「了解です!」


「ぎゃう!」


「まって!龍神丸はまだ手加減覚えてないでしょう!チビと交代」


「はいにゃ」


「ぎゃうぅ」


 チビが前衛に龍神丸が後衛に位置を替える。


「せい!」


 紅桃が渾身の右ストレートをスモールドラゴンに打ち込む。


「わんぉ!」


 疾風が蜻蛉切を試すように打ち込む。チビは悪魔斬だ。


「テイム!」


 一応テイムを発動する。


「アギァ!」


 なんと一発で腹見せゴロんである。早いなぁ。

 回復ポーションをかけて体力を回復させると即座にスペース送りである。当然だがドロップはない。


「どんどんいこうね」


 次の玄室に向かう。

 ぎぃ。

 扉を開ける。はい。どうみても忍者です。その数8人。いわゆる中忍。この階層ではほぼ雑魚敵だ。でも今は先に進むよ!


「いくよ!」


「おう!」


 紅桃が飛び出す。続いて疾風がそしてチビが飛び出す。


「ふん!」


 疾風が一足飛びに蜻蛉切を突き入れる。それは違わず忍者の首を突く。一撃である。


「せい!」


 紅桃が腕をL字にして肘を打ち込む。そこから潜り込むように懐に入り背中をぶつける。裡門頂肘

 からの鉄山靠だ!

 忍者は後衛の忍者と共に吹き飛ばされる。


「にゃ!」


 チビが剣を振り回しながら突っ込む。忍者がそれを刀で受ける。

 三回切り結んで間を起き再び切り結ぶ。

 ガキ!

 忍者の刀が根元から折れる。まあ斬ることがメインの刀と重さでへし折るのがメインの剣では下手に受けるとそうなるよね。


「にゃ!」


 チビの一撃が忍者の肩を捉える。刀をへし折るチビの一撃に忍者は耐えきれず崩れ落ちる。

 そう言えばダンジョン内の人間のモンスターってテイムしたらどうなるんだろう?


「テイム!」


 反応なし。これはアンデッド系と同じ反応っぽい。テイム出来ませんというヤツだ。まあ、人間をテイムというのも見聞が悪いか・・・


「検証は済んだので全力で!」


 それを聞いて全員が攻撃を再開する。


「ぎゃう!」


 龍神丸が後方から小さな雷の球を吐く。ブレスとまではいかないけど、順調にサンダードラゴンへの道を歩んでいる。そうそう。この雷球だけど、いかにも周りを巻き込んでダメージ与えますよみたいな攻撃だけど、不思議なことにフレンドリーファイア・・・いわゆる同士討ちという事態が発生しないんだよね。


「うりゃ!」


 紅桃が追撃をかけ、チビは止めを疾風は次の相手を攻撃する。

 あっという間に忍者はその姿を消す。

 ドロップ品は魔石と銀箱。銀箱の中味はスキルスクロールと刀と金貨が20枚。

 刀は普通の刀でスキルスクロールは忍者。ドロップ品も余り良くない。


「人間はテイム出来ないというだけでも収穫か・・・」


 倒すと魔石を落とすんだけれど、人間はテイム出来ない・・・まあテイム出来るとそれはそれで面倒くさいことになるか。


「さて次行こう」


 それからも順調に攻略は進んでいく。


 魔術師の部屋

 営業時間AM9:00~PM:17:00

 ※※※在室中※※※


 なんか思いきりふざけた看板のかかった玄室の前に立つ。

 ここが王都ダンジョン第10階層の最奥玄室の前である。

 ふと思いこの看板の裏を覗いてみる。

 魔術師の部屋

 営業時間AM9:00~PM:17:00

 ※※※現在不在※※※


 うわぁ~不在って事態が有り得るのか・・・

 そそくさと看板をひっくり返して玄室を出ていく魔法使いを幻視してほっこりとなる。


「用意しようか」


 まずはカイヤを召喚し龍神丸をスペースに戻す。

 それからスペースから坑魔のマントと独鈷杵を取り出し、疾風とチビとカイヤに装備させる。紅桃と自分とペンタントちゃんは坑魔のマントだけを装備する。

 紅桃に聖属性を付与したメリケンサックを渡す。


「紅桃はバンパイアロードをペンタントちゃんはバンパイアを自分たちは魔術師を狙う」


「「「「了解」」」」


「一当てして行けそうなら押し込む。行けそうになければ引く。OK?」


「「「「了解」」」」


「じゃあ行こうか!」


 そう言って玄室の扉を開けた。

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