第120話 ご都合主義?

 さて、王都ダンジョン第10階層である。

 龍神丸を先頭に紅桃と疾風が左右。その後ろをチビと自分とペンタントちゃんという布陣で進む。

 ガチャ

 玄室に続く扉を開き中に入る。


 フシュルルル


 待ち構えていたのはゴリラの頭に歪な雄山羊の角。一対の蝙蝠の羽を持つ2メートル近い3体の巨人。


「うひっ!」


 思わず変な声が出た。これは資料にもあったグレーターデーモンではないか?

 グレーターデーモンは中級魔法を使い、魔法の無効化、直接攻撃では毒の状態異常の付与を与えて来るモンスター。あと戦闘中に仲間を呼んで増殖する厄介者だ。


「一匹づつ確実に仕留める!」


 紅桃が真ん中のグレーターデーモンに襲いかかり龍神丸がその後に続く。


「がぁ!」


 残ったグレーターデーモンが呪文の詠唱を始める。


「えい!」


 スライム飴を投げて呪文詠唱の邪魔をするが、邪魔出来たのは一匹だけ!


 ゴウ


 グレーターデーモンの掌に光の球が生まれ、辺りを白く染める。


「大凍!?」


 氷柱らしきものが生まれ辺りに巻き散らされる。


「にゃ!」


「チビとペンタントちゃんは回復魔法を!」


「「広域回復!」」


 2人から淡い光が溢れる。


「うりゃ!」


 紅桃が金棒でグレーターデーモンを殴る。龍神丸が噛みつく。が、グレーターデーモンには効いた様子がない。う~ん決定力に欠けるな・・・


「みんな一旦引くよ!」


「おう」


「ぎゃう」


 合図をして逃げ出す。

 魔法防御力も高いグレーターデーモンが相手だと武器を更新しないと厳しいかな?

 となるとしばらくは第10階層を巡回してヤバそうなのとの戦いを避けつつ、レベルアップとドロップ品による武装強化である。


「よしリトライ!」


 再び扉を開けて突入!


 シャン!


 澄んだ鈴の音が辺りに響く。


 シャンシャン


 それが目の前にいる道化師の持っている杖から響いてくる。


「地獄の道化師!?」


 王都ダンジョン第10階層の解説書にある危険度の高いモンスターのー匹だ。特にブレスが強力だと解説されている。なお、ブレスは体力の半分なので速攻でぼこるのが正しい。


「取り巻きは単なるゴースト!道化師を集中攻撃!」


「おう!」


 紅桃が金棒で龍神丸が噛みつき、疾風が十字槍で道化師に襲いかかる。


「ライトニングスピア!」


 続けてペンタントちゃんの指から魔法が放たれる。


「チビはゴーストに浄化を!」


「にゃあ!」


 チビの手に光る球が浮かんで放たれる。


「がぁ!」


 道化師を取り巻く3体の影がサラサラと粉のように飛び散る。浄化完了!


「チビ。回復魔法準備!」


 声をかけつつこちらも回復ポーションを準備する。


「うりゃ!」


 紅桃の金棒が道化師の脇腹を直撃する。


「がう!」


 龍神丸の牙が道化師の肩に突き刺さる。


「がぁ!」


 道化師は持っていた杖を龍神丸に叩きつけるが、すかさず回復ポーションを投げてフォローする。


「わんぉ!」


 疾風が十字槍を突き刺さす。


「ごは!」


 道化師が口を開けてこちらを見る。口には炎のようなものが現れる。ブレスか!


「せいゃあ!」


 紅桃が金棒で道化師の顔をかちあげる。

 炎のようなものが道化師の口から溢れるが、炎は天井に向かって放たれこちらに害はない。

 強敵でも敵が単独なら簡単に対処出来るよね。


「おら!」


 紅桃の膝蹴りが道化師の腹に刺さる。


「わんぉ!」


 疾風の十字槍が道化師の顔面を突き刺さす。


「ぎゃう」


 龍神丸が道化師の肩を噛み千切る。


 ボフン


 道化師は魔石と魔銀色の宝箱を残して消える。


「魔銀色の宝箱?」


 これはレアアイテムの予感!

 早速鑑定。罠は「転移」・・・「転移」だって!?これは失敗すると石の中にいる案件では?

 慎重に宝箱を調べる。

 ふむふむ。ワイヤートラップですね?箱の蓋にワイヤーが張ってあり、蓋をあけるとワイヤーが起動装置を発動させるモノです。つまりワイヤーを切断すれば罠は起動しません。


「よし」


 ツールを差し込んでワイヤーを切断すると宝箱を開ける。


 中身は・・・槍と剣と金貨251枚。

 さらに槍と剣に鑑定をかける。


 蜻蛉切

 短・中距離

 両手武器

 人間種に50%追加ダメージ


 え?いきなり?え?


 悪魔斬

 短

 片手武器

 悪魔種に50%追加ダメージ


 いやいや都合良すぎるでしょう?どうなってるの!?

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