第110話 異世界映像の公開許可が出た

「召喚師ね・・・」


 召喚師のスクロールがドロップしたことで地上に戻ってきてスクロール屋に駆け込んだ後、店員である魔族の兄さんにスクロールを見せると、魔族のお兄さんは水晶を操作する。


「おぉあったあった」


 そういって魔族の兄さんは水晶板をこちらに差し出す。

 召喚師。悪魔種、天使種、精霊種と契約し、召喚して使役する職業。って、これ原爆ドームダンジョンでの悪魔や天使との契約と同じだって気がついた。おそらく原爆ドームダンジョンでの悪魔や天使との契約と召喚師は同じシステムで運用されているのだろう。

 日本で実装されていないのは謎だけど、まあ、このスクロールを日本に持ち込んだら日本でも実装されるのかもしれない。

 で、シャーロッテさんは早速付与師と彫金師のスクロールを購入していた。間違いなく使えるからね。

 田中さんたちは引き続き朝から王都ダンジョンに潜るため王都でお泊まりするそうでお別れ。

 シャーロッテさんと共に日本に帰る。シャーロッテさんは明日から日本の中級ダンジョンで付与師のレベルを上げるそうだ。日本の方が転職システムは便利だからね。


 スーパーで野菜や漬け物を買い込んでいく。おにぎりの具となる鰹節や沢庵、シーチキンもだ。

 屋台、順調にお客さんが増えているんだよね。

 で、買い物を終えると、呼ばれていたので駐屯地ギルドに顔を出す。異世界中継がかなり話題になっているらしく、映像のリクエストが殺到しているらしい。

 知らなかっよ。まぁギルドサーバーもSNSもメールはブロックしているからね。


「あ、Qドラ権さんいらっしゃい」


 駐屯地の開拓者ギルドの受付のお姉さんがいい笑顔で出向かえてくれる。


「ギルドマスターがお待ちです」


 ギルドマスターの部屋に案内される。


「ギルドマスター。Qドラ権さんがお見えになりました」


「入って貰え」


 部屋の中から声がしたので入っていく。

 年の頃は50代後半。白髪混じりの髪を角刈りにした男性がパソコンを操作していた。


「初めましてかな?駐屯地ギルドのギルドマスター、馳翔一だ」


 そう言ってソファーを勧めてきたのでソファーに座る。


 コンコンとドアがノックされ、お茶とお茶受けを持ったお姉さんが入ってくる。お茶受けは紅葉饅頭だ。


「まずは、駐屯地ギルドのギルドマスターとしてお礼を言うよ」


 お姉さんが出ていったのを待ってギルドマスターは頭を下げる。

 理由を聞くと、かなりの量の異世界のドロップ品がこの駐屯地ギルドに納品されているという。

 異世界品がこのギルドを経由して研究施設に納品されて、ギルドもそれなりに中間手数料を稼いでいるらしい。

 今の稼ぎ頭は異世界産の檜のような木材。

 異世界産というのがお金持ちな人々の琴線に触れているんだそうだ。

 次にオークやビッグボア。

 フォレストカウの肉。

 流通量が少ないので単価が高くなるそうだ。もちろん味も悪くない。

 あと、異世界の果物。桃のような見た目にリンゴの味がする桃リンゴが人気だとか・・・


「今回来て貰ったのは、異世界映像の第2弾についてだ」


 そうギルドマスターは話を切り出す。


「あぁ聞いてます」


 ちなみに映像は自分たちの背後で浮遊霊のように浮かんでいるダンジョンドローンが撮影しているものだ。なお、異世界人には使い魔だと思われていたりする。


「とりあえず毎回提出してもらっている映像を編集して30分程度の映像にしているから良かったら使ってくれ」


 ギルドマスターが編集映像の置いてあるアドレスのQRコードを渡してくれる。

 画像を編集してくれたのかぁ・・・まぁ自分が編集した画像をチェックしてダメ出ししてなんてやり取りをするのは無駄だよね。

 取りあえず画像チェックして台本書いてから配信しよう。

 取りあえずSNSに異世界映像公開をポストしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る