第109話 王都ダンジョンその5
「おのれ~このれ~」
血の気のない真っ白な顔の男が地獄の鬼のような憤怒の表情でこちらを睨む。白目が充血したように赤い。
「切り刻んでやる!」
「え?血を吸うんじゃないの?」
ほら吸血鬼って言うじゃん?
「我らは生命エネルギーを吸う。傷口からな!」
ぶんと風切る音がする。
うわっ。
見るとバンパイアの爪が30センチほど伸びている。本気で切り刻む気満々だ。
「ふん!」
紅桃が金棒を振り回す。
「馬鹿め!」
一気に紅桃の間合いに入ってきたバンパイア!
「あばばばば!」
突き抜けるハズの金棒が紫電を放ちながらバンパイアに食い込む。
「雷の属性を付与しているんだなぁ、これが!」
紅桃がその状態からバンパイアを滅多打ちにする。
「ぐは」
「うわばら」
「ほげ」
あぁ、いい声で鳴いてらっしゃる。
「ま゛!」
ストーンゴーレムが両手でわっしとバンパイアを掴む。
「あばばばば!」
再び紫電が走り、バンパイアが悶える。
「ぴぃ!」
カイヤが火属性のクナイをバンパイアの首に差し入れる。
「がぁ!」
口から大量の何かを吐き出しながらバンパイアが吠える。
「わんぉ!」
疾風の十字槍がバンパイアの心臓を貫く。十字槍の穂先には既に聖属性が付与されているので効果バツグンだ!
「ぐおぉ」
断末魔の悲鳴を上げバンパイアは魔石と金箱を残して塵となった。
「金箱か」
鑑定して罠を特定し解除。中身は金貨15枚と杖。ポーション2つ。
杖は魔力増加の杖に魔力回復のポーション2つだ。魔力回復のポーションをシャーロッテさんに渡す。金貨15枚と魔力増加の杖は売却額を見て按分となった。
魔力増加の杖は今のところ需要がないからね。
さて、次の玄室に向うか・・・
第3の玄室に吶喊する。
「「「メェー」」」
2メートル近い身長に4本の腕。雄山羊の顔に上半身は人間で赤い肌。下半身は赤毛の山羊。レッサーデーモン。それが3体だ。
ちなみにデビルの上位モンスターの一種であり、高い魔法耐性がある。中級魔法使いの魔法を行使し、その爪は麻痺毒を分泌する。厄介なのは仲間を呼ぶことらしい。冒険者ギルドの王都ダンジョン情報に乗っていたものだ。
「魔法は効かない。武器に聖属性を付与するからちょっと待って!」
念のため武器に聖属性を付与する。
「おりゃ!」
紅桃が金棒を振り回しながら突撃する。
続いてストーンゴーレム、疾風とカイヤが続く。
ごっ
紅桃の一撃がレッサーデーモンの体を直撃する。
「めっ!」
レッサーデーモンの体がくの字に曲がる。
「滅べ!」
レッサーデーモンが両手を突き出す。
両手から火の槍が生まれて紅桃を襲う。
「ぬぅん!」
金棒一線、ファイアランスをなぎ払う。なんというか豪快である。
「ま゛!」
ストーンゴーレムの正挙がレッサーデーモンの顔面に炸裂する。
「ぐあばら」
派手に叫びながら吹っ飛んでいくレッサーデーモン。
「わんぉ!」
「ぴぃ!」
疾風とカイヤがコンビネーションでレッサーデーモンに飛びかかる。
ガシュ
レッサーデーモンが疾風の十字槍を掴む。
「わふっ!わんぉ!わふっ!」
十字槍を振り回されて疾風が慌てる。
「ぴぃ!」
閃光一線、カイヤの一撃がレッサーデーモンの首を刎ねる。
ゴトッ
レッサーデーモンの首が地面に落ちる。これがあるから忍者は強いのよね。
「あ゛~れ゛~!」
レッサーデーモンが虚空に向かって叫ぶ。
ズモモ
虚空が揺らぐが、それだけだ。どうやら仲間を呼んだようたが、反応はなかった。
「なんだよそれは!」
身構えていた紅桃が攻撃を再開する。まぁ怒るよね。
レッサーデーモンはズタボロにされて魔石を残して塵に帰った。
「ま゛!」
ストーンゴーレムがレッサーデーモンの両肩を掴んで前後に揺さぶる。
「うぼぁ」
レッサーデーモンが腕を振り上げる。その両手には光の弾が・・・
「うごっ」
叫び声と同時に手にあった光の弾をストーンゴーレムに叩きつける。
ボコ
ストーンゴーレムの体の一部が欠ける。かなりの威力である。というか、あれ回復系で治るのか?石が欠けているんだけど?
ボグン
ストーンゴーレムのオルテガハンマーがレッサーデーモンの背中を直撃する。
ズドン
更に両足揃えてのフットスタンプを叩き込む。
「ぐはっ」
レッサーデーモンはそのまま魔石と塵になる。
ボフン
レッサーデーモンたちのあとに残るのは金箱。
鑑定し罠を解除。出てきたのは金貨20枚とスクロール1本。直剣が1本。直剣は真っ直ぐの剣。スクロールは・・・召喚師・・・召喚師?
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