第107話 王都ダンジョンその3

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「王都ダンジョンか」


 田中さんが食い気味に尋ねてくる。特に職業スキルスクロールについて。

 どうやら、何時間も徘徊して職業を得るよりユニークジョブを得られなかったらスキルスクロールでさっさと希望の職業を得たいという層もいるらしい。あと、開拓者になる気はないが商才や工芸系のスキルを得たいという人が出てきているらしい。まぁスキルの補助があるのとないのでは見える世界が違ってくるので、ピンポイントで覚えられるなら欲しがる人も出てくるだろう。


「副職業のスクロールはドロップしていないのですが・・・」


「人型モンスターからドロップする・・・と推測出来ただけでもありがたい話だ」


 田中さんは笑う。


「データを集めましょうか?」


「そこまでする必要はないよ。スキルスクロールも必要という訳じゃないからね」


 田中さんはカラカラと笑う。まぁ田中さんはJ隊の人だから商売には興味がない・・・いや、J隊の人は商売を考えてはダメなのか。


「まぁ俺たちも王都ダンジョンに潜ってみるか」


 ということになった。


 データを共有して王都ダンジョンに潜る。田中さんたちは田中さんたちでパーティーを組む。

 こちらはいつものメンバーにプラスして、迷彩の上下に金色のショートカット。薄い雀斑のあるシャーロッテ・ガーリー・ホームズさんとそのテイムモンスターのパペットがいた。

 前衛が紅桃、チビ、パペット。後衛が自分、カイヤ、シャーロッテさんとなる。


 エレベーターで第9階層まで降り、落とし穴で第10階層。そして第1玄室へ。


「さて、行きますか」


 扉を開けて中に入る。中には和風の鎧を着た侍が6人居た。


「ダイミョウか!」


 冒険者ギルドの解説に評価があった最下層のモンスターの1体だ。


「任せな!」


 紅桃が一番高価そうな鎧を着た男に飛びかかる。


「わんぉ!」


 疾風が十字槍でパペットが棍棒で侍風の男に殴りかかる。


「毒のポーション」


 ヒョイヒョイと毒のポーションを敵の後衛に向かって投げる。

 今回の毒ポーションは中味が外気に触れると嘔吐感に襲われるガスになるタイプだ。


「ぐぇ」


 盛大にえずく侍たち。味方を巻き込まないよう、すぐに効果はきれるんだけどね。


「わんぉ!」


 疾風の十字槍が侍の喉を貫く。


「ま゛!」


 パペットの一撃が侍の頭を粉砕する。


 ペカ~


 とパペットが光り出す。これは、進化!?

 光りに包まれたパペットがむくむくと大きくなる。

 光りが収まると、そこには石の人形が・・・


「ウッドゴーレムがストーンゴーレムに!」


 人形というよりは人間の石像である。それもギリシャ風の男性像。

 あーあーいけません!いけませんお客さま!下を履いてください!お客さま!!


「Oh!」


 いやOhじゃありませんよシャーロッテさん。


「パンツが必要ね!」


 石像ですがそうしてください。たぶんそのままだと石像でも外は歩けないと思う。


「いけ!」


「ま゛!」


 シャーロッテさんの命令で後衛に襲いかかるストーンゴーレム。

 材質が木から石になったせいか、一撃一撃が重い。


「キェェ!」


 奇声を上げて侍が切りかかるが、刃は通らない。ストーンゴーレムの斬撃攻撃の大幅な減少だ。


「ふおっ!」


 侍が素早く呪文を唱えると、手のひらが火の矢が打ち出される。が、これも僅かに表面を焦がす程度に留まる。


「ま゛!」


 ストーンゴーレムの拳が振り下ろされる。


「ぬぉ!」


 侍が刀を掲げて受けようとするが、ストーンゴーレムの一撃は刀をへし折り、そのまま頭を砕く。


「ぴぃ!」


 カイヤが手に持ったクナイに魔力を通す。クナイの刃が赤化する。


「わんぉ!」


 疾風が牽制しカイヤが空中から仕掛ける。


 サシュ


 疾風の一撃が侍の顔を掠める。


「ぴぃ!」


 カイヤの一撃が侍の喉を掠める。


「ぬうん」


 侍が刀を振り回してカイヤを牽制するが、空中の相手を牽制するのは案外難しい。下から槍で牽制されていてはなおさらだ。


 ザシュ


 ついに顔面に致命的な一撃を受けて待は倒れる。


「ぐわっ」


 それと同時に残る侍もストーンゴーレムによって叩き伏せられていた。

 残るはダイミョウ1人となっていた。

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