第106話 王都ダンジョンその2

 紅桃が侍にとどめをさしペンタントちゃんが魔法でもう一人の魔法使いを倒す。


「ぎゃ!」


 最後の戦士が床に倒れる。魔法使いが一人倒されてからの展開は早かったよ。

 そして思った以上に人型を倒すことにも躊躇いはなかった。


 ごと


 鈍い音と共に部屋の隅に銅箱が出現する。

 銅箱を鑑定すると罠はピン式の爆弾。早速トリガーを無効化してオープン。

 中身は・・・銀札が数枚。魔法使いのスクロールが1本。どうやら職業スキルのスクロールは人型が落とすという事前の予想通りだ。


「ほいよ」


 紅桃が壁に掛けてあった青い紋章をこちらに投げてよこす。

 これがエレベーターを起動させるキーアイテムか。

 装備に余裕のある疾風の鎧に青い紋章をつけると部屋を出る。

 どうやら一方通行だったらしく、エレベーターのあった通路に放り出される。


「行こうか・・・」


 そのまま『青い紋章を提示して下さい』と書かれた扉に向かう。


「疾風お願い」


「わぉん」


 疾風が扉に手をかざすと、扉が開く。

 部屋に入ると4階層から9階層までのボタンが・・・


「一気に9階層だよね・・・」


 9階層と書かれたボタンを押す。


 ゴンゴン。チン!


 しばらく部屋が揺れ、鐘の音と共に開く。

 第3階層とは違い通路の天井が高くそして広い。


 確かすぐそばに・・・あった落とし穴だ。


「行こうか・・・」


 落とし穴から第10階層に落ちる。

 確か・・・こっち・・・

 つかつかと通路を歩き、扉の前に立つ。


 ぎぃ


 軋む音と共に扉を開くと、ゆっくり中に入る。


 ざっ


 中には巨大な三体の人の影。


「トロール?それとも巨人?」


 それは身長が2メートル50センチ以上の緑色の肌をした巨人。

 鍵鼻に禿頭。手には棍棒。装備は腰布のみ。

 紅桃が飛び出す。


「うりゃ!」


 紅桃の正拳が巨人の腹に刺さる。


「にゃあ!」


 チビが盾を抱えてもう一体の巨人に飛び込む。


 ガシャ


 振り下ろされた棍棒をチビは盾でいなす。


「わぉ!」


 疾風が十字槍でトロールを牽制する。そこにカイアの火属性クナイが飛んでいき傷を与える。

 タンパク質が焼ける匂いが漂う。


「ダークライトニング」


 ペンタントちゃんのトライデントから黒い雷が放出され、カイヤたちが相手をしているトロールに刺さる。


「よし」


 スペースからエルフ弓を取り出し、矢をつがえて1射!ダンジョン内部とはいえ十分に空間はあるからね。


 ずん


 大きな地響きと共にトロールが倒れる。


「わんぉ!」


 疾風がトロールの首に十字槍を突き入れてとどめをさす。まずはー体。


「でりゃあ!」


 紅桃がトロールの腕を取り背負い投げの要領でぶん投げる。


「そりゃ」


 そしてそのまま腕十字固め。ギリギリと締め上げる。


「にゃあ!」


 チビが盾でトロールの棍棒をかちあげる。そのスキをつき疾風とカイヤが襲いかかる。


 ざん


 疾風の十字槍がトロールの脇腹に刺さる。


「ぴぃ!」


 カイヤがクナイでトロールの首を斬りつける。


 ぞぶ


 クリティカルヒット!トロールの首が刈り取られる。


「にゃ!」


 チビが最後のトロールに飛びかかる。

 紅桃に関節技を決められているのでトロールは地面に転がったまま避けることも出来ない。チビも無駄な攻撃はせず、急所を狙う。


 ぶしゅ


 トロールの首の動脈から血が溢れる。


「わんぉ!」


 疾風の十字槍が首を貫く。

 やがてピクピクと痙攣しながらトロールは動かなくなる。


 ドロン


 煙が立ち上り拳大の魔石と牙。棍棒が残る。

 結構大きな魔石である。そしてドロップしたのは銀箱。

 鑑定すると罠は毒ガス。ピンによるトリガー式なのでさっさと解除。

 中身は金貨5枚に回復ポーション。黒い盾。取り出すと宝箱より大きくなるのはこちらも同じか。


 黒い盾を鑑定すると守りの盾という円形の盾。

 受けた物理ダメージを時間毎に5%ほど修復するという。所謂マジックアイテムだ。


「はいチビ。盾を入れ替えて」


「はいにゃ」


 チビの盾を交換し、余った盾はスペースにしまう。


「早速マジックアイテムの防具が手に入ったのは僥倖」


 取り敢えず今日はこれまでということで引き上げることにする。

 冒険者ギルドでトロールの魔石で魔石納品のクエストを完了させた。

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