第104話 スキルスクロールはどこから?

 書簡の配達は即座に終わらせた。まあ、その後のウジナギルドでのやらかしの結末が未だ当事者に報告が来ないのかについて質問したよ。

 まぁ、こちらが異世界に来るのが週二日の土日限定だからすれ違うのは仕方ないんだけどね。


「という訳で今後とも厳しく指導いたします」


 白髪頭の老人・・・王都商業ギルドのグランドマスターがそう言って頭を下げる。

 事件の進捗を尋ねたらグランドマスターが出てきたでござる。

 まあ地方の組織がやらかした事とはいえ職員が強盗の教唆だからね。その犯罪を暴いた人間に組織のトップが会いに来るという配慮ぐらいするだろう。

 まあ、社員教育の徹底と監視の強化ぐらいしかやることはないだろうけどね。


「解りました。これからも宜しくお願いします」


 と、いい感じで締めて商業ギルドをあとにする。

 次に訪れたのはスクロール屋。

 彫金なんて生活系のスキルがあるなら他にも便利スキルのスクロールがあるんじゃないか?という開拓者ギルドからの依頼があったからた。


「経理、在庫管理・・・こちらでは便利スキルでも日本じゃコンピューターがあるんだよな」


 と思いつつ経理のスキルを手に取る。上限はあるけど費用は国持ちである。基本職以外の職業スキルを購入していく。

「算盤士」「建築士」「盆栽士」・・・なんだろう通信教育的な何か?

 ただ習得出来れば食べて行けそうよね・・・え?「書道家」?


「あぁ、城の公式書類は全部毛筆だからね。役人に文字の指南をする人間が要るんだ」


 スクロール屋の店番をしていた魔族のお兄さんが教えてくれる。

 待って・・・こちちの世界って執筆は毛筆なのか?そう言えば書簡は紙だったよね・・・でも英語にも読めるんだったよね?謎である。まぁ買っておこうか。


「そう言えば、モンスターを使役するスキルとかないんです?」


「あぁ、取り扱ったのは過去に数例だな。なに?お嬢さんテイムスキル持ってるの?あるなら買うよ?」


 え?買うってなに?


「あれ?知らないの?スキルって売れるんだよ」


 詳しく聞いてみると、初級スキル6種類全部を最大レベルに上げるとどれか1種類をランダムでスクロールにコピー出来るようになるという。

 なるほど、スキルスクロール屋なんてものが商売として成り立つ訳だ。


「ちなみにおいくら?」


「マジでテイムスキル持ってるの?そうだね最低で金貨100枚かな?レアだし」


「ちなみにデメリットはあります?」


「権力者にバレると囲われるぞモンスター5匹を戦力化出来るスキル製造機として有用だからな」


「それってスクロール屋からも情報が漏れるってことじゃないか?」


「まさか!うちは秘密厳守がモットーです」


 魔族のお兄さんの笑顔が怪しい。


「そう言えば、このスキルスクロールってスキルコピー以外にも手に入れることは出来るの?」


「あぁ、全10階層からなる王都ダンジョンでモンスターからのドロップで手に入れることは出来るよ」


 ほうほう・・・というか王都にダンジョンがあるんだ?


「そのダンジョンって?

 」


「北門を出た所にあるよ。まぁ入場料が要るんだけどね」


 お兄さん、右手の人差し指と親指をくっつけて円を描く。こっちでもお金を示すジェスチャーって同じなんだ。


「分かりました。取り敢えずこのスキルスクロールを下さい」


「はいよ。毎度あり」


 お金を渡し、欲しいスキルスクロールの番号を告げる。

 スクロールをバックを経由してスペースにしまうと、冒険者ギルドに向かう。そこで王都ダンジョンの情報を漁る。


 冒険者ギルドの資料にも王都ダンジョンのことは詳しく書いてある。


 色々なタイプのモンスターが跋扈する迷宮型ダンジョンで、なんと第10階層にはドラゴンや巨人。悪魔も出没すると言う。

 本当かな?

 基本的には通路と玄室が繋がるように存在し、通路でモンスターとエンカウントすることは少ない。

 最下層の玄室で出会うモンスターは必ず宝箱を落とすのも特徴だそうだ。

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