第102話ゲロ!ゲロ!ゲロ!准尉さん登場

吉崎観音先生ごめんなさい。


‐☆‐☆‐☆‐☆‐

 さて呉大和ミュージアムダンジョンという上級ダンジョンに来た理由ですが・・・ズバリもっと走る草の入手です。

 もっと走る草は走る草の上位種で、それなりの確率でマナ草をドロップする。簡単にいえばMP回復ポーションの原材料です。同じ階層にいるスライムの亜種ブロックキューブのドロップ品であるブロックキューブの粘液と混ぜることでMPポーションが作成出来ます。


「にゃ!」


 チビが火属性の付与されたロングソードをブロックキューブに差し込む。


 ジュ


 液体が蒸発する鈍い音が響きブロックキューブの形が崩れる。


「火属性付与は便利だね今のままだとコスパは悪いけど」


 早く彫刻を覚え無いと・・・走る草とブロックキューブを狩りつつ第1階層を徘徊する。


「ケロロ・・・」


 不意にカエルの鳴き声が聞こえてくる。


『おぉ?イレギュラーか?』


 もういいよイレギュラー・・・


「でも、呉大和ミュージアムダンジョンは人型メインだよね?カエルが出たりするかな?」


 そう。ダンジョンイレギュラーと言っても基本はそのダンジョンに由来したモンスターが出る。呉大和ミュージアムダンジョンは人型メインだ。両生類が出没する可能性は低い。


「でも間違いなくカエルの声でしたよね?」


『カエル人かもしれない』


「聞いたことないんですけど・・・」


 でもいても不思議はないよね。爬虫類人とか両生類人・・・


 ズル、ベシャ


「へへっ」


 紅桃が嬉しそうに指を鳴らす。


「そこだ!」


 紅桃の一撃が空を走る。


「ゲロッ!」


 不気味な鳴き声と共に空間が歪む。そして、一体の直立したカーキ色の軍服を着た緑色のアマカエルが姿を表す。


「おぉ?まごう事なきカエル人!」


『リアルタイプケロO軍曹じゃねぇか!』


 おっとリスナー!それ以上はいけない。


 第一、眼前のカエル人は帽垂れ付戦闘帽子とかは被っては無いぞ?まぁ軍帽は被っているが・・・


「何故バレたでありますか!」


 流暢な日本語しゃべっているな。


「おい下呂准尉!」


 何者かに引っ張られてアマガエルが後ろに飛ぶ。


「おお、技呂曹長感謝であります」


 アマガエルを引っ張ったのは赤いベレー帽を被ったアカガエル。


『お、ギロOもいるぞ?』


 だからさぁ!


「何をしているでゴザルか」


 更に茶褐色の忍者装束のガマガエルが現れる。


『お、ドロOだ。前衛三人揃い踏み』


『リアルタイプだと可愛くないな』


『そりゃそうよ!』


 疾風とチビも武器を構えて相対する。


「せい!」


 紅桃が一足でカエルたちの間合いに入る。


「やらせんでゴザル!」


 ガマガエルが紅桃の正拳を受け流す。


「やるねぇ!」


 紅桃が嗤う。


「落ちろ!」


 アカガエルが手にした銃のようなモノで紅桃を撃つ!


『実弾の銃だと?』


 確かに銃から何やら飛び出している。


「ふん!」


 紅桃が筋肉を引き締めると鉄の塊がこぼれ落ちる。

 どうやら紅桃の筋肉を突破するだけの威力はないようだ。


『姐さんすげぇよ!』


『このカエルたち、ダンジョンで火器の威力が減衰するの知らんのか?』


『え?と言うことは宇宙人?』


 え?マジですか?

 まぁダンジョン産なら火器を武器にせんわな・・・


「くそ!やっぱり銃が使えねぇ!」


 アカガエルが銃を棒変わりに紅桃に殴りかかるが、疾風の十字槍によって阻止される。


「ニン!」


 ガマガエルが懐からクナイを取り出し投擲する。


「にゃ」


 チビが盾をかざしてクナイを受ける。


「ぴいっ!」


 すかさずカイヤが火属性付与のクナイを投げ返す。


「ケロロロロロ!」


 アマガエルが舌を伸ばしてクナイを弾く。


「ゲロ!」


 クナイには火属性を付与しているのだ。当然熱い。ジタバタと舌を抑えて悶えるアマガエル。


「准尉さんから離れるです!」


 大きな黒いオタマジャクシが棍を構えてアマガエルの前に立つ。


『あ、○ママも来た』


『あとはメガネだな』


「ひょひょひょ」


 耳障りな笑い声高と共に何かを投擲してくるツチガエル。あ、イボか!


 ポポン!


 投擲されたイボが地面に落ちてモウモウと煙が立つ。


「くそ!催涙ガスか!」


 紅桃がポロポロと涙を流しながら叫ぶ。


「ぴいっ!」


 カイヤが持っていた木属性を付与した芭蕉扇を振ると、ざっと風が吹く。


「くっ逃げられたか!」


 紅桃が吐き捨てるように呟く。


『ダンジョンのお約束知らないし、もしかして本当に宇宙人か?』


「異次元人かもね・・・」


 こちらが異世界に行ける

 のだ。その逆もあるでしょう。


『それにしてもリアルタイプは勘弁してもらいたい』


 うん。激しく同意。


‐☆‐☆‐☆‐☆‐

さて彼らの再登場はあるのか?

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